10.10

2023.10.10


あの日と同じ看板を目指していた。小さくて青い、白文字の、あの看板。

仕事が終わって、電車に乗り一息つける、と思ったのに車内が何か臭っていた。このまま乗ったまま帰れば今日は早めに家に着くはずだったけれど、アイスも食べたいし、途中の駅で降りることにした。隣の駅。構内は今から改札に入る人、切符を買う人、別れを惜しんで立ち話をする人、ちょっと疲れたからベンチに座っている人ばかりだった。つまりは、みんなこれから帰る人。この駅を去る人。閉店時間を過ぎてからこの駅に用のある人なんて、ほとんど、きっと一人もいなかった。私以外は。

駅を出て、スーツを着た人がちらほらと駅に向かってこちらへ歩いてくる。その道を少し遡れば、コンビニがあるのであった。

オレンジ色の看板は、近くにあるけど好みのアイスが置いていない。だから、少し離れているけど足を伸ばして青い看板を目指すのだった。

あれは、ローソン。


ローソンのソフトクリーム。チョコとバニラのソフトクリーム。美味しかった。




帰りに、豪華客船を見た。

タイタニック号みたいだと思った。


けど、きっと全然、それに比べれば小さい、でもあの近くのホテルよりは大きい、どっしりとした質感の船だった。


船の灯り、遠くのビルの明かり、近くのタワーやホテルの照明、それらが濃い紺色の海に反射して、きらきらとゆらめくのだった。



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