なぜに、このオヤジの元に生まれたのだろう。

頑張れよ！
負けるなよ！

先日、実家に顔を出した際、
おふくろが私に話してくれました。

新聞配達の兄ちゃんが
「今日が最後の配達です」と
オヤジに挨拶にきて
泣いていたそうだ。

歳は40くらいだそうだ。
真面目そうだが、
気弱なところがあって、
何か事情があって新聞配達をしている感じがしたそうだ。

オヤジはその兄ちゃんが
新聞配達に来るたびに

頑張れよ！
負けるなよ！

と、声を掛けていたらしい。

オヤジもツラい時期を
過ごしてきたから
わかるということがあるのかもしれない。

急に大金を手にしバランスを崩し、
浮気、退職、職を点々とし
突然パン屋をはじめ廃業し貧乏へと急転直下する。

人間万事塞翁が馬。

なぜか今となっては、
結果的には
幸せに暮らしているのかもしれない。

人生の酸いも甘いも両方を経験した。
その振れ幅分、人生を楽しんだのかのしれない。

人とは違う道を歩むことで、
その生きざまが人を勇気づけることもあるかもしれない。

人の悲しみををわかってやれるというのは、
豊かな人生なのかもしれない。

あの時、
大金を手にし、出世をし
毎晩、飲みに行きまくるオヤジは
健康的に限界だったはずだ。

その当時、
みるみる巨漢になっていった。

オヤジも「中年の危機」で
会社を辞めたのかもしれない。

貧乏を経験し、体力仕事をし
身体を動かさざるを得なくなって
結果的には、
健康になり長生きをすることになったし、

孫に囲まれ、71歳で仕事を続け、
酒もタバコもして自由気ままで幸せに暮らしている。

会社員一筋では決して得ることのない、
紆余曲折があったからこその人生だ。

自由に生きろ。

そんなメッセージを背中で発しているようにも思う。

人生を楽しむ。謳歌する。

そのことに気づくために私は、
このオヤジの元に生まれたのかもしれない。

頑張れよ！
負けるなよ！

は、私へのメッセージなのかもしれない。

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