「竜とそばかすの姫」をスプリンパンの監督が見てきた短い感想。

「スプリンパン まえへすすもう!」というアニメの監督をしています井上ジェット( @jetinoue )です。細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」を見てきました。簡単な短い感想を書きます。テーマ的なところや大事なところのネタバレを書くので以下改行します。

読みたい方は以下スクロールをどうぞ。

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感想です。



とても良かったです!!
細田守監督にしかできない、ずっとやってきた大事なテーマを今回は「時をかける少女」や「サマーウォーズ」の時に感じたようなエンタメ性とかなり良い感じでミックスされていて、さらにお歌や音楽、脚本も非常に良い展開でした。すばらしかったです。

そして、この複雑な現代社会の中でどこぞの誰ともわからない人一人を救うということが、とても大変だということを、強く感じることができ、その描写には監督へありがとうという気持ちを抱くものでした。

そして最後にはハグがあり、そこもすばらしいです。

私が監督して作った「スプリンパン まえへすすもう!」でも、お母さんを扱っています。私の実母は私が19才の時に亡くなったんです。人って母親への思いは誰しも強いものだと思います。私の母は若くして亡くなってしまったので、母親が亡くなる描写は自分にとっては非常に重いものでしたがとても好きな作品「はだしのゲン」で非常に辛く滝のように涙を流して泣いたことがあるものですから、もう強く生きることができています。

日本は自然災害が多く、被爆国であり、去年と今年においてはコロナ禍によってまた苦しい日々が続いています。コロナ禍でなくてもデフレと窮屈感のある社会の空気を多くの人が感じたことがあるでしょう。エヴァの碇シンジくんやレイで長年描かれてきたように直面する運命や出来事を乗り越える力が必要な日本の時代だなと思うものがありました。「スプリンパン まえへすすもう!」ではそのような辛さを乗り越えるために、前向きな力を応援する作品にしたいと思ってテーマを設定したものです。細田守監督は、現代社会で解決すべき人間の間に生まれる問題を作品に入れて、アニメというエンタメの中でストーリーにしています。『社会に向き合っている』それがいつもすばらしいと思うものです。

今回はさらにお歌もすばらしくって、映画の中で歌だけ浮き上がることなく、テーマや作品の中に調和していて、それも素晴らしかった。

「スプリンパン まえへすすもう!」も歌があって、最後にハグするところが同じで、主人公は歌とお芝居ができる歌い手さんをキャスティングしたところなども似ていて、共感するところもありました。

良かったです。

それとCGもすばらしかったです。仮想世界Uの中はすべてCGで表現されていました。ベルの造形もすばらしく、口の形が好きでしたし、口の内側の塗り分けも良いし、トゥーン調のセルルックもすばらしかったです。またセルルックCGアニメ特有の早い動きなどの時に、映像的にカクカクパカパカするようなこともなく、かといってブラーが入っているわけでもないのに、すごく良い感じになっていて、それもすばらしかったです。最後歌うときに、口が震えるようにして歌っているアニメーションもすばらしかった。

制作面でも、Uの世界の中をCGにしたことで作画とCGとの制作カロリーの分散もできているとわかり、結果的に作品のクオリティーに貢献しただろうと感じました。コントレールさんも作画で入っていましたね。

あらゆる技術、センス、脚本、監督力、スタッフの皆様の力などなど、すばらしかったです。

以上。結局長くなってしまいました。すばらしい映画をありがとうです。

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