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納涼。

「夏も中盤に差し掛かってきたことだし、せっかくの飲み会だ。まぁ、俺が怖い話をしてやろう。」
「あれは5年前、まだ高校生だった頃の話だ。中学からの友達3人と夏休みに地元で有名な心霊スポットに行ったんだ。田んぼ道を抜けた先に山を抜けるための小さなトンネルがあってね。事故で死んだ女の霊がでるとか、天上から逆さまのおっさんが急に現れるとか色々噂はあったけど、掘るだけ掘られて使われてない場所だったからみんな信じてなかったんだよ。だから、毎年夏になると年頃の奴らは肝試しに行くのが伝統みたいになってた。そんな背景があって、我々も伝統にならい向かったわけだ、トンネルに。」
「冒険感をだそうってことで4人で歩いて行ったんだ。汗だくになりながら、40分かそこら歩いてようやく辿りついたときには恐怖とか関係なくただただシンプルに暑いから帰りたくなってた。」
「で、ちょっと休憩してからとりあえず中に入ろうってことでトンネルに足を踏み入れたのよ。最初は茶化しあいながら進んでたんだけど、奥に行くにつれて山で鳴いてた虫の声が聞こえなくなってきて、代わりに俺たちの足音と話声がトンネルに響きだした。」
「けど不気味な空気になったのは一瞬だった。しばらく歩いて行き止まりに当たったの。考えもしなかったけどトンネルの反対側はもう塞がれてた。結局そこにはありがちなグラフィティがあっただけで特に心霊現象的なものは起きなくて安心した半面まぁ、みんながっかりしてた。」
「で、そこで、冷めすぎて写真を撮る気にもなれなくてそのまま回れ右して入口に戻ったんよ。帰りも特に何もなくて、山の虫の鳴き声が聞こえてきたくらいで友達の一人がつまづいてこけた。その一笑いだけで俺たちはトンネルを後にしたんだ。」
「で、戻って、道の駅でアイスでも食べようぜなんて話をしながら歩いて、田んぼ道の中盤くらいまで差し掛かった時に後ろから声がしたんだよ。」

 「おーーーーーい!おいってば!待てよ!置いてくなって!」

 「みんな振り向いたね。そしたらその声の主は一緒にトンネルから出てきた友達だったんだ。わけがわかんないでしょ?俺たちも固まったよ。で、そいつが言ったの。」

 「コケたすきに置いていきやがって、誰も心配とかしないわけ?」

 「俺たちは言ったよ。何言ってんだお前。こけたけど一緒に出てきただろ。って。」

 「けどそいつは、いや、でてねぇよ。こけた後、前見たらお前らもういなかったじゃんか。」

 「俺たちは言ったよ。いや、さっきアイスの話したやん。」

 「そんな言い合いをしてたら一人が言った。みんなが言いたくなかったことを。」

 「お前がいなかったとして、じゃあ俺たちと話してたやつは一体誰なんだ?」

 「そこで全員血の気が引いたね。俺たち4人の中に別の何かが紛れ込んでたんだ。」

 「俺たちはそこから一心不乱に走った。走って走って打ち合わせもしてないけどとりあえず全員話してた道の駅についたの。」
「その日は暑い夏の日だったけど妙に体が冷たくて自販機であったかいモノ買って飲んだ。そしてその日以降、誰もこの話は口にせず、トンネルに近づくこともなかった。」

「っていう話なんだけどどうだったw?めちゃくちゃ怖ない?涼しくなった?ww」


ー ガラガラジャーーーーーーー ー


「はー、スッキリした。内臓全部出たかと思ったわ。多分今の俺体重2キロくらいしかないな。」



「ところでお前、電話してた?」

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