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アートに関するメモ(4) 【音楽史】

本メモはアートの基礎的な内容に関するメモです。


1. はじめに 1項目

1-1. ざっくり振り返る
・古代、音高・リズム・メロディの認識、ピタゴラス音律
→中世音楽、コードの認識、同時に鳴るいくつかの音をそれぞれ別々に把握する
→ルネサンス音楽、ハーモニーの認識、ハーモニーはコードによって示されるもの、コード進行の結果として発生する

→バロック音楽、音楽による分節化、ハーモニーで連続した分節を定型化、
ハーモニーを抽象的概念として意識することが一般的になる、
非ヨーロッパにおけるトライアドの明確で力強い感覚に本能的に目覚めた、
現実のコードに依存することなく仮想の存在であるハーモニーを背景にしたメロディが成立

→古典主義音楽、音楽の拡張、音楽による分節化が高度に進んでその分節を高度に組み合わせる、ハーモニーが作品の構成を支配する、反復・対比される要素が明確に分節として分離されている
均衡・調和とは分節を認識するための慎重な配慮

→ロマン主義音楽、古典主義音楽の枠組みを解体しようとする、
表現したいものを均衡・調和といった配慮なしに表現する、
分節を認識してもらおうとは思っていない、ロマンとは現実から離れた理想、あらゆる層の人間に受け入れられることがいいとされる価値観から
明確な個性を示すことがいいとされる価値観へ

→調性の解体、階層性の破壊
❶印象主義的音楽、特定の分節の特性に注目する、
全体の中にいくつかのゲシュタルト化した下位分節がそれぞれの事象と対応した形で並置される
→あらゆる分節の関係性はアーティストの印象に左右される、フィルターを通したインプット
→関係性の緩い分節が多数配置され関係性が認識されにくくなる

❷表現主義的音楽、複数の分節の構築方法に注目する、全体が 1 つの事象と対応するように置かれる
→あらゆる分節の関係性はアーティストの表現に左右される、フィルターを通してアウトプット
→関係性の強い分節が累積され個別の関係性が認識されにくくなる

❸新古典主義音楽、❶❷のバランスに注目する、定型化が難しい分節で階層性のある構築に挑戦、既存の定型を維持しつつ定型における異質な要素を投入する・既存の定型を崩す、
後者は古典主義音楽に匹敵するものは生まれていない

❹ミニマリズム、何も注目されない・注目しないようにすることで階層性を徹底的に避ける、
注目すべきというものが溢れる中で逆説的な存在意義を持つ、最後のニッチ?

→20 世紀音楽、新しい音楽の枠組みを作ろうとする、
調性という構築方法でなくても音楽は構築できる、
分節のルールを設定するとその構築は調性とは無縁である、
機能の使用形態・解釈を多様化した結果、機能が認識できるギリギリの状態を目指す
→ポップカルチャー、古典主義音楽の枠組みをそのまま使っている
→日本の古典音楽などにパラダイム転換の鍵があるのか?


2. 古代音楽 5項目

…前2000年〜14世紀

2-1. 最古の音楽
…ネアンデルタール人、言語は持っていなかったものの音楽を持っていた
→言語は音楽の副産物という仮説、音楽から言語にコミュニケーションの手段が変わる、音楽は感情表現の手段になる


2-2. ピタゴラス音律
…ピタゴラス学派がスケールを発見、音を数学・物理学として研究
→職人がハンマーで金属を叩く音が綺麗な瞬間がある、
2つのハンマーの重さの比が2:1、3:2 の場合に特に美しい
→音には法則があるのでは?

→ド・ソの協和、倍音という原則
❶弦がまっすぐ張ってドが出る
→弦の長さを2:1に分ける
❷弦の2/3からソが出る、周波数は❶の 3/2 倍
❸弦の残り1/3から1オクターブ高いソが出る、周波数は❷の2 倍・❶の3 倍
→弦をまっすぐ張ったもの・弦の長さを 2:1 に分けたものを同時に弾くと綺麗な音が出る

→弦の長さを 3:1 に分けよう
→第1音、周波数は1とする
→第2音、周波数は1・3・1/2 = 3/2 = 1.5
→第3音、周波数は3/2・3・1/2^2 = 3^2/2^3 = 1.125
→第4音、周波数は3^2/2^3・3・1/2 = 3^3/2^4 = 1.6875
→第5音、周波数は3^3/2^4・3・1/2^2 = 3^4/2^6 = 1.265625
→分母の3を何乗まで計算すると周波数が2.0を超えるか?1オクターブに到達するか?
2と3は素数でありちょうど 2.0 にはならない
→2.0で近似させる、12乗で2.0を超える、音階の数は 2

→対数で考えていく、周波数を3倍にしていく
→ドは0乗、ドの音の周波数を3倍にする、ソは7乗
→ソの音の周波数を3倍にする、レは2乗
→レの音の周波数を3倍にする、ラは9乗
→ラの音の周波数を3倍にする、ミは4乗
→ミの音の周波数を3倍にする、シは11乗
→シの音の周波数を3倍にする、ファは5乗
→1乗はドのシャープ、3乗はレのシャープ、6乗はファのシャープ、
8乗はソのシャープ、10乗はラのシャープ、半音上がる

→音がデジタル化される、管楽器ではトロンボーンがアナログ楽器、
弦楽器ではバイオリン・三味線がアナログ楽器、管楽器の振動は縦波、弦楽器の振動は横波
→ドとミの響きが悪い、2.0で近似させたことのつけ、円は閉じない
→純正律、5倍音、プトレマイオス、$${\frac{m+1}{m}}$$、$${\frac{2m-1}{m}}$$の周波数の比で表される
→これらはうまく転調ができない、弦楽器では比較的自由だが鍵盤楽器では不自由
→バッハ、ウェルテンペラメント、24の全ての調の演奏に対応する調律をするための音律、全ての調性で演奏可能、バッハの平均律はウェルテンペラメント、半音の幅が違うがピアノの音は純粋な3度のコードに近い、調が変わると半音の幅の違いから大きな歪み・濁りが生まれる
→モーツァルト、ミーントーン、純正律の長3度音程の美しい響きを保ったまま
ある程度の転調を可能にした音律
→平均律、オクターブを対数的に12等分して半音を1単位・全音を2単位とした、半音の幅が均一だが純粋な3度のコードを取れない、2音以上を同時に鳴らした時に響きが悪い、微妙に濁っている


2-3. ピタゴラスから始まった音のデジタル化はなぜ人々に好まれたのか?
…純正律のドレミ、、の構成音は主音ドと重ねて聞くと協和するため
→協和度の心理学的実験
→不協和度、高さの異なる 2 音を同時に聴かせて不協和と感じる人数が全体のどれくらいか

→不協和度は周波数差に直接依存する、不協和曲線はパレート
❶周波数差が 0 なら単音が聞こえる
❷周波数差を少し広げると単音にうなりが重なって聞こえる
❸周波数差をさらに広げるとうなりは消えて 2 音の平均周波数を持つ単音だけが聞こえる、
ゴロゴロした感じがある
❹周波数差をさらに広げると 2 音が認識できて聞こえる、ゴロゴロした感じは残る
❺周波数差をさらに広げると 2 音が独立して聞こえる、ゴロゴロした感じは消える
→混成帯域幅❸、臨海帯域幅❷❸❹、いずれも 2 音の平均周波数に依存する、低音になる程高さの区別に対する感度は低くなる
→単一周波数を持つ純音を前提とした
→整数倍波を持つ楽音を前提とする


2-4. 最古のクラシック音楽
…グレゴリオ聖歌、宗教曲、クラシックとキリスト教は切り離せない
→演奏できる最古の曲、楽譜が残っていて読解できる


2-5. 最古の楽譜
…9世紀、線は1本もない、音の高さ・長さを直線・曲線で表す
→10世紀、譜線を用いるようになる
→13世紀、4本の線の上に旋律の上下を示す記号を使うようになる
→15世紀、5線譜になる、リズムを示せるようになった、音楽の規則性・法則性が整備された
→楽譜の発明でローマの聖歌がヨーロッパ中に広まる


3. ルネサンス音楽 1項目

…15世紀〜16世紀
美術のルネサンス時代の音楽、初期音楽と呼ぶこともある、キリスト教会で歌われていた宗教曲
→ルネサンス時代の音楽家はサラリーマン、宮廷に雇われて宗教儀式のための音楽を作る
→伴奏に楽器が用いられるようになる
→サンカシアーノ劇場、お金さえ払えば誰でも見ることができるオペラハウスの第1号、それまでは宮廷・大富豪の家に呼ばれないと見れなかった

3-1. ジョン・ダンスタブル
…ルネサンス音楽誕生のきっかけを作る、百年戦争の時にイギリスからフランスへコードを伝えた、フランスに元からあった優美な旋律と結びついて新しい音楽になった


3-2. ポリフォニー音楽
追いかけっこ、カエルの歌の輪唱のような


4. バロック音楽 21項目

…17世紀〜18世紀中頃
美術のバロック時代の音楽、軽やかできらびやか
→エウリディーチェが上演された 1600年に始まり、バッハの死んだ1750年に終わったとされている
→後世に作品を残すという意識を持っていなかった、音楽作品は作曲者の死とともに消える

4-1. オペラ
…歌によって劇が進む形式の演劇
→ギリシャ悲劇を現代風にして復活させる、最古のオペラはエウリディーチェ
→オーケストラが生まれる、協奏曲が生まれる、独奏楽器とオーケストラが合奏する、
貴族・富裕な市民は演奏を聴いて楽しんだ
→序曲が生まれる、遅刻してくるお客様を待っている間に他のお客様を退屈させないように
ドラマ・映画で冒頭に音楽が流れるのはこの名残、オーケストラのための音楽が生まれる


4-2. オペレッタ
…大衆的なオペラ、喜劇が多い
→天国と地獄、メリーウィドウ


4-3. オラトリオ
…オペラから演劇的要素を取り除く
→メサイア、天地創造、四季


4-4. 最古のコンサート
…ロンドン、ジョン・バニスターというヴァイオリニスト
→ロンドンでは入場料形式の公開コンサートが発展していった
→ロンドンにはたくさんのオーケストラがある


4-5. 華やかな建築・美術への批判
…ポルトガル語のバロッコが由来、いびつな真珠
→やりすぎという意味


4-6. ルソーによるバロック音楽の解釈
・和声が混乱している
・転調と不協和音に満ちている
・旋律が耳障りかつ不自然
・抑揚が難しく動きが不自然


4-7. バロック音楽の特徴
❶感情を重視する
…歌詞の有無に関わらず感情を表現しようとした

❷豪華で華やか
…細かい装飾音が多い
→コロラトゥーラ、細かい音符を上から下までジェットコースターのように歌う
→やりすぎと批判される

❸通奏低音
…バスのラインを作曲、ベースのような
→その上に数字を書いてコードを指定する
→この低音・コードが最初が最後まで続く
→低音・コードと対比される形でメロディが強調される
→コードの数字しか書かれていないため即興で自由な演奏ができる


クラウディオ・モンテヴェルディ

…音楽に一般化された感情を持ち込むという革命を起こす、
音楽の基本スタイルを確立、メロディーを担当するソロパート、
リズム・ハーモニーを担当する伴奏パート、ルネサンスとバロックにまたがって活躍した
→初めてヴァイオリンを合奏に取り入れる、感情の起伏を音楽で表現する

4-8. 【オルフェオ】
・妻を亡くしたオルフェは妻を冥界から取り戻す決意をする


ジャン・バティスト・リュリ

…イタリアで生まれたオペラをフランスで発展させる、抒情悲劇という本格音楽劇形式を確立、台本のすべての箇所を音楽にして歌う

4-9. ルイ14世が愛した宮廷舞踏をパフォーマンスの一部に組み込み、舞踏・演劇・音楽が混然一体となった新しい総合芸術を生み出した
→フランスオペラでは各幕の最後はバレエのシーンが入る、リュリはバレエで名を挙げたため
→音楽もフランス語の形式をつくる、イタリア語の形式はイタリア語に合うようにできている


4-10. イタリアで生まれる、音楽の才能を認められてフランスへ、ルイ14世に仕えて大成功
→バイセクシャル、中世ではよくない事とされた
→結婚してたくさん子供を作ってカモフラージュ
→ルイ14世にバレて嫌われる
→ルイ14世が病気から回復した際の音楽祭で指揮をとる、現代とは違う尖った指揮棒
→運悪く自分の足を傷つける、膿んでしまう、これが原因で亡くなってしまう


4-11. 【カドミュスとエルミオーヌ】
・盟友フィリップ・キノーが台本を担当
・オウィディウスの変身物語に登場する伝説の王カドミュスとエルミオーヌの物語がベース
・音楽劇という新ジャンルを生み出すきっかけとなった記念碑的作品


4-12. 【イシス】
・ルイ14世の愛人関係を暴露した作品としてスキャンダルに発展以降
→キノーとリュリの活動は一時中断され、リュリの芸術関係者が一斉に解雇される


アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ

4-13. 【四季】
…ヴァイオリンソロとオーケストラで演奏される、コレッリが確立して大流行していた
→春夏秋冬のそれぞれに詩があってそれを音楽にした


4-14. 【ヴァイオリン協奏曲】
…独奏協奏曲を確立、1人の演奏者とオーケストラが演奏する協奏曲、対立の音楽、不均衡・非調和というバロック精神そのもの


アントニオ・ストラディヴァリ

…ストラディヴァリウスというヴァイオリンのブランドを作った、ラテン語

4-15. 【ストラディヴァリウス】
…最高峰のヴァイオリン

→ヴァイオリンの制作技術は現代の方が上だがあの音色にはならない、ニスの成分で音が左右される、ニスの調合法は途絶えてしまった
→1丁数千万〜数億円、財団・銀行が買って所有し一流のヴァイオリニストに貸すシステム、一流ヴァイオリニストでないと弾きこなせない


ヨハン・ハッヘルベル

4-16. 【カノン】
…同じ旋律を追いかけていく形式の音楽、イギリスやアイルランドの舞曲、急速なテンポ


ゲオルク・フィリップテレマン

…ドイツ音楽の先駆者、楽譜を出版して富裕層に予約販売、バッハやヘンデルと親交がある
→作品は失われた曲を含めると4000曲と言われる、バッハの4倍、当時の名声はバッハを遥かに凌ぐ、

4-17. 【トランペット協奏曲】
・トランペットは華やかさを象徴する、バロックは貴族が贅沢を尽くした時代
→教会音楽では神の声を象徴する楽器とされる
・目の前に宮廷・教会の豪華な部屋が広がるような華やかさと厳かさ


ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル

…ロンドンに行ってオペラを成功させる
→ロンドンでは公開コンサートが盛んで作曲家・演奏者への報酬が高かった

4-18. 【リナルド】


ヨハン・セバスチャン・バッハ

…音楽に歌わせるという革命を起こす、1つのパートにメロディーという歌を書き他のすべてのパートはその伴奏に回るシステムを確立
音楽の父、ドイツ音楽の源流

4-19. 【フーガ in Gminor】
…主題・対主題の模倣と連続、連続は様々な転回・移調・対位法によって複雑になる、バッハの対位法の達人ぶりを示す、ハゲの歌


4-20. 【トッカータとフーガ in d-Moll】
…バロックで最も影響力のある作品、イタリアのトッカータ・ドイツのフーガの要素を取り入れてドラマチックに表現、コードの捻りが多くサスペンスの感覚を与える、鼻から牛乳


4-21. 【G線上のアリア】
…正式タイトルは別、ケーテンで宮廷楽長をしていた頃に作曲、教会や宮廷など色々な場所で働いた
→室内曲、音楽室くらいの広さの部屋で演奏するための曲

・G線上のアリアという名前はヴィルヘルミがピアノとヴァイオリン用に編曲した時につけられた
…この曲はニ長調で書かれてるが1音下げてハ長調で演奏するとヴァイオリンの4本目の弦だけで演奏できるじゃん、ソの音、G線
→G線は一番太い弦、深みのある温かな音色になる

・序曲→エール→ガヴォット→ブーレ→ジーグ

・エール
…第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音(チェロ・オルガン等)
→エールはフランス語、アリアはイタリア語、エアは英語
→メロディという意味、出だしは声楽的、バッハは声楽曲が苦手だった、ヘンデルのアリアの出だしのよう

・最初の音が伸ばされる
→通奏低音が徐々に下降する
→ヴァイオリンとヴィオラのメロディーが絡み合う
→コードが変化
→音と音がぶつかって不協和音が生まれる、音楽に緊張感が生まれる
→不協和音はすぐ協和音になる、緊張感もすぐに解かれる
→緊張・弛緩を繰り返しながら進む


5. 古典主義音楽 14項目

…18世紀中頃〜19世紀
クラシック音楽の完成、モーツァルトとベートーベンの時代
→ベートーベンはロマン主義だったという説もある
→音楽の中心はイタリアからドイツ・オーストリアへ、音楽の都ウィーン

5-1. 貴族・富裕層は演奏を聴くだけでなく演奏するようになる
…演奏して楽しむための曲が必要になる、楽譜が必要になる
→楽器が発展して大きい音を出せるようになる、演奏会場が広くなる
→交響曲が生まれる、伴奏部分が発展、クラシックのコンサートの主流になる
→イギリスは産業革命で経済発展してコンサートが盛んだった


5-2. コンサートの構成
…序曲・協奏曲・休憩・交響曲


5-3. 古典主義音楽までのクラシック音楽
…何を描いたかがわからない、作曲家はただ美しいと思った音楽を書いただけであるため
→とっつきにくい
→運命のようなニックネームをつけて少しでもわかりやすくする
→誤解もされやすい


5-4. フランス革命
…フランス革命以前は音楽は男性・貴族・富裕な市民だけのものだった、
フランス革命以後は音楽は女性・一般市民にも行き渡った
→音楽はフランス革命前後で大きく違う、狂気がアーティスト達の間で爆発する、コンセルヴァトワール、音楽院、保存するという意味
→ヨーロッパの伝統を保存しようとした、譜面に書き込まない細かい暗黙のルールが失われた


5-5. バロック以後フランス革命以前の音楽
…主コードで始まって主コードで終わる、ドかミかソで始まってドかミかソで終わる、調性が変化しない
→フランス革命以後の音楽は主コードで始まらない作品が見られるようになる、ベートーベンの交響曲第1番、チャイコフスキーの交響曲第6番
→ロマン主義音楽は狂気、今までの常識では計れないもの、人智の遠く及ばないもの


フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

…交響曲を確立、音楽で普遍的な感情を表現しようとした
音楽家が職人として雇われていた時代
❷音楽家がアーティストとして自立する時代
❸コンサートという興行が発展する時代
という3つの時代を生き抜いた

5-6. バロック時代の華やかさが終わる
…カール6世が亡くなる、マリア・テレジアが継ぐ、音楽にかける予算が削減される
→皇帝のお墓を見ると時代の移り変わりが分かる


5-7. 車大工の父は音楽を習っていた、家庭で音楽会を開く、ハイドンの美声が知れ渡って学校を推薦される、学校でも美声が評判でウィーン少年聖歌隊に入る、ウィーンへ
→最初の10年はウィーン少年聖歌隊で歌いながらたくさんの楽器を練習した、出る頃にはどの楽器でも最低限生活できるレベル、作曲の授業は重視されてなかった
→聖歌隊を解雇された後は放浪、暖炉もついていない屋根裏部屋を借りて生活する、音楽を演奏して空いた時間で作曲の勉強をした
→モルツィン伯の楽長に就任、作曲する、モルツィン伯の浪費癖によってカネがなくなり解雇
→エステルハージ家の副楽長就任、作曲した交響曲を気に入ってくれた、ハンガリーで最も裕福な貴族、楽長は高齢だったため教会音楽以外の全権を任された、作曲する、ターフェルムジーク、食事の音楽、週2回の音楽会
→宮殿に劇場が建てられる、オペラに深く関わるようになる
→皇帝からオペラの作曲依頼、陰謀により白紙になる
→出版社と契約、曲を自由に売れるようになる、モーツァルトと仲良くなる
→孤独だったハイドンは社会と繋がる喜びを得る
→ロンドンの旅、ザロモンというプロデューサーに連れられる、ベートーヴェンと出会うが仲良くなれなかった


5-8. 【驚愕】
・びっくり交響曲、ハイドンは秩序を重んじる一方で害のないイタズラやユーモアを好んだ、第2楽章の主題が小さな音で始める、2回繰り返された後にティンパニーとオーケストラが大音量でかます
→居眠りをしてしまう聞き手を驚かせようとした可能性


5-9. 【告別】
・最後の楽章の演奏中に演奏者が順番に退席していく、最後にヴァイオリン2人と指揮者だけが残る
…宮殿の滞在が長引いていたことが背景にある、団員たちは家族の元へ帰りたがっていたので曲で侯爵を説得


ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

…音楽に個人の感情を持ち込むという革命を起こす、フランス革命の影響はあるのか?
→音楽が聴くものから何かを感じ取るものへ変わった、解釈が必要になった

5-10. 【魔笛】


5-11. 【レクイエム】
…未完成の作品、伯爵からゴーストライターとして請け負った作品
→モーツァルトの装飾音、16分音符を4つ書く場合、8分音符1つ・16分音符を2つ書く、8分音符に装飾音をつけた、本当に 16 分音符を4つ弾いていたのか?
→モーツァルトの父親の本、ある音を装飾されたくなければその音を装飾音として書き込め
→モーツァルト・バッハ以前の音楽を知る必要、中世ルネサンスの音楽


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン

…音楽にメッセージ性を持ち込むという革命を起こす、音楽そのもので思想を表現しようとする
→難聴になってからピアニストではなく作曲家として生きることを決意
→9つの交響曲が有名、【交響曲第3番、英雄】、この曲が英雄的だという意味、英雄はナポレオンに送るはずだったが謝礼がもらえる確約がなかったため送るのをやめた

5-12. 【交響曲第6番、田園】
…自身で命名したのは交響曲第 6 番の田園のみ、交響詩の先駆け、田園にいるときの感情を書いた


5-13. 【交響曲第9番、運命】
…古典主義音楽とロマン主義音楽の分水嶺に立っている音楽

→ン ダダダダーン、八分休符で始まってその後に八分音符が3つ続く、
ジャズ・ロックでいえば食ったようなUp beat、休むことなく1楽章の最後まで続く、こんな作品を書いた人はベートーベンだけ
→キーワードは喜び、最後の交響曲、亡くなる3年前
→若い頃に出会ったシラーの詩に作曲、歓喜に寄せて、聴力を失って生きる喜びも失う、ハイリゲンシュタットの遺書、芸術だけが私を引きとどめてくれた、50ポンドという安い金額での作曲だったが生きる喜びを取り戻せた

→交響曲第 9 番におけるベートーベンの暗示
❶終わりの楽章でUp beatではなくDown beatの音楽を書いた
…アジア由来のもの、トルコを見ていた
→個々のエゴのぶつけ合いがもたらす結末に不安を感じていたのかもしれない、すべての人類は兄弟になる
❷終わりの楽章で不協和音が鳴る
→ヨーロッパのやり方で音楽をかくとこのような音の袋小路に突き当たる、
ノイズで音楽を書く覚悟はあるか

・交響曲に独唱・合唱を取り入れたのは初めて
曲の初めからはやらなかった
第1〜第3楽章は伝統に則る、哲学的な世界観
最後の第4楽章で登場、伝統を新しいものに移行させる
聞いた人は伝統から新しいものが徐々に生まれる瞬間をリアルタイムで体感できる

・第1楽章
…世界の誕生
→ふわふわ形がないようなサウンドから始まる、元素みたいなものを表す
→素材みたいなものが生まれる
→素材が集まったところで爆発が起こる
→混沌の中から何かが誕生するということ
→プロメテウスが人間を創造した場面ではないか?聖書の天地創造ではないか?ビッグバンではないか?

・第2楽章
…様々な神々・人間の誕生・活躍
→バッカス、ニーチェ、バッカスは陶酔的で激情的な芸術を象徴する神だ
ティンパニー、激しさ・明確さがある
ギリシャ神話、バッカスの祭りというメモを残す、バッカスを題材にしたオペラの構想

・第3楽章
…人間が悪に染まってない状態
非常にゆっくり、ファゴットとクラリネットが折り重なる、弦楽器の美しいメロディ、優しい・柔らかい・美しい
ルソーの自然状態、人間社会に悪に染まっていない状態

・第4楽章
…生きる喜び
冒頭で不協和音が鳴り響く
→チェロとコントラバスがオペラのセリフのようなメロディを演奏、下書きにセリフ、『今日はめでたい日だ、この日は歌と踊りでお祝いされなければならない』
→第1楽章の冒頭が断片的に演奏される
→『いや、これは違う、私が求めているのはもっと心地よいものだ』
→第2楽章が断片的に演奏される
→『いや、これも違う、私が求めているのはより快活でより美しくより優れたものだ』
→第3楽章が断片的に演奏される
→『いや、これも違う、これは優しすぎる、もう少し目が覚めるようなものでなければならない、私に何かお手本として歌えるようなメロディがないか見てみよう』
→歓喜のテーマが演奏される
→『これだ!これが見つけられた喜びだ!』今まで作った立派な世界観を壊す、その後に見つかったのはベートーベンが一度失ってしまった生きる喜び
→また不協和音、それまでも否定『この音じゃないんだ、そうじゃなくてもっと心地よいもの、喜びに満ちたものを響かせようじゃないか』
→生きる喜びを見つけただけでは足りない、その生きる喜びを実現して共有できる仲間が必要だった

・歌詞
…あなたの魔法が時代によって引き裂かれた私達を再び繋ぎ合わせる、そして私たちは皆兄弟になる
→兄弟達よ、星空の上には父なる神が住んでいるに違いない、音域が高くなって聞いてる人に天空の世界を見せる


フランツ・シューベルト

…詩に曲をつけた、文学と音楽の融合というロマン主義の先駆け
→サリエリの指導で才能を開花、31歳で急死してしまった

5-14. 【未完成交響曲】
…最初の2楽章だけが演奏されている
・人気の絶頂期に書いた、プロのオーケストラに演奏される前提の曲、交響曲の完成よりオペラの成功を夢見た
→オペラの成功は難しい、ヴェーバーの存在、支配人がイタリア人になる
・名声はあったがカネがなかった、浪費と不摂生、背伸びした
→体調・心理的な要因で未完成になった可能性、梅毒、結婚を許される身分でなかった、40〜50代でないと結婚できない、気分が乗らなければ作曲を中断するのは珍しい事ではなかったものの
→曲をヒュッテンブレンナーに送る、借金のお礼の可能性

・第1楽章
…ロ短調、好まれて使われない、暗くて奇異で不快な響きを持つとされた、ウェルテンペラメントでは歪み・濁りが最も大きくなる
→ロ短調はシューベルトの心情を表すのに最も適していたのでは?なんか不安になる
→クラリネットがオーボエと一緒で冷たい音色
→ホルンによる希望の3度、美しい音色、病気になってからは気づいたら天国へ行ってしまいそうな音色を追求していた

・第2楽章
…美しいメロディで安らぎを表現、その間に激しい音楽で苦しみ・怒りを表現、病気に対するものではないか
→激しい音楽はあと一歩のところで静まっていく、怒ってもしょうがないという諦め、安らぎを見出す
→フルートのミソド、ベートーベンが希望を意識してつかった音型、最後は希望を抱いた


6. ロマン主義音楽 33項目

…19世紀
…なんでもありの時代、現実世界を超越したものを表現しようとした
→1850年を境にして分けられる
→形式ではなく作曲家の完成が重視されるようになる、文学・絵画と音楽との融合が深まる
→ロマンは元々ローマ的という意味、ラテン語かロマンス語か、
庶民の娯楽、恋愛・夢・冒険がテーマ、ロマンス語は庶民が使っていた言語、ロマンス語で作られた物語がロマンスと呼ばれるようになった

6-1. 標題音楽
…文学作品を音楽にする


6-2. 作曲家・演奏家の分離
…過去の名曲が現代の名演奏家によって演奏されるようになる
→作曲家は永遠に演奏される名曲を残そうという考え方になった、
演奏家は同じ曲の演奏で比較できるようになった
→評論が生まれる、どの曲が名作なのか、誰の演奏がいいのか


6-3. フランス音楽
…粋、軽やか・華やかで洒落ている
→フランス革命後は停滞、音楽が聴かれるがイタリア・ドイツ・ポーランドの音楽を人々は聴いた


◯前期ロマン主義

…1850年より前

ニコロ・パガニーニ

…超絶技巧の持ち主、マルファン症候群で指が長くなり関節が柔らかくなった
→最もケチな音楽家、偽造チケットのチェックを行う、守銭奴
→悪魔に魂を売ったとされた、埋葬を拒否される

6-4. 【24の奇想曲】


エクトル・ベルリオーズ

6-5. 【幻想交響曲】
…ロマン主義音楽の決定的な幕開け、交響詩の先駆け

→好きな女性の気を引きたいという思いで書いた、ハリエット・スミッソン、シェイクスピア劇団でジュリエットやオフィーリアを演じた女優
→ストーリーは『異常に敏感な感受性・豊かな想像力に恵まれた若いアーティストがいる、恋の悩みからアヘンを飲んで自殺を図るが服用量が足りずに死ねず眠りに落ちて夢をみる、そこで感覚・情緒・記憶が病んだ心に音楽理念・映像となって変形される、恋人の姿も旋律になって絶えずつきまとっている』というもの
→古典主義音楽の分節構成から逸脱している、ロマン主義音楽というよりその延長上にある印象主義音楽・表現主義音楽にも侵入している


ヤコプ・ルートヴィヒ・フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ

…クラシック音楽興行の基礎を築く、過去の名曲という新商品を提供した
→指揮者を独立した職業にした、オーケストラの方を向き団員に自分の音楽の解釈を伝える

6-6. 優雅さ
…少ない音で美しいメロディを奏でる
→単純ではない、伝統と新しいものが合わさってできた優雅さ


6-7. ・ガチで才能に恵まれた
…裕福で教育を重視する家庭で育つ、ドイツ語・フランス語・美術・数学・文楽・ピアノ・ヴァイオリン・一般教養を詰め込む
→バッハやモーツァルトから学んで作曲するようになる、13歳でソナタ形式を習得
→恩師ツェルターに連れられてツェルターの友人ゲーテを訪問、ゲーテの哲学に直に触れて大きな影響を受ける
→パリでフンメル、ロッシーニなどの作曲家と出会う
→ドイツの実家で俳優・文学者・哲学者・言語学者・東洋学者と出会いまくる
→大学でヘーゲルから哲学を学ぶ、地理学、フランス革命などの歴史も学ぶ
→20歳でバッハの最高傑作マタイ受難曲を演奏、バッハの死後初めての演奏、音楽史的に重要な意味を持つ
→デュッセルドルフ、ライプツィヒで活動、オーケストラの演奏水準を引き上げて給与アップなど社会的地位の向上に尽力、バッハやベートーヴェンの曲を復活させる、音楽会にシューマン夫妻やリストを呼ぶ
→ライプツィヒ音楽院を設立


6-8. 【ノクターン】
…シェイクスピアの真夏の夜の夢の劇中歌の1つ
・ホルンとファゴットの美しい出だし、ドイツ的、最もドイツ的なウェーバーの魔弾の射手に似ている
・他の劇中歌で有名なのは結婚行進曲、パパパーン パパパーン パパパンパパパン パパパパパパパパパパン ターター…


6-9. 【歌の翼に】
・傑作中の傑作、ハイネの詩に付けられた歌曲
・歌の翼に乗って愛する人をガンジスの彼方へと運びたい、運んだ先には蓮の花などが広がる、この世のものとは思えないくらい美しい世界
・蓮の花はヨーロッパでは神秘的で美しいものの象徴


ロベルト・シューマン

…音楽評論を確立、ショパンをいち早く認めてその才能を称えたという業績
→20歳を超えてピアノを始めて断念、作曲・評論・監督の分野で活躍

6-10. ロマンが似合う、音楽で溢れている音楽
…歌が単なるメロディではなくなる、言葉がそのまま音楽になっていく


6-11. 【子供の情景】
…クララに会えない時期に書いた、年を重ねてから子供時代を思い出すという曲
・クララの手紙からインスピレーションを得る、あなたって時々子供みたいね
・30曲を作曲しその中から12曲を選んで子供の情景とした、結婚に反対されながらもクララとの愛を確信するポジティブさ


6-12. 【ミルテの花】
…結婚式でクララに捧げた歌曲集
・ミルテの花は梅の花に似ている、結婚式の花飾り・ブーケに使われる、花言葉は愛・愛の囁き
→歌の花束を贈る、それぞれの曲が1輪の花になっている、歌曲で大事なのは作曲家がどのようにその詩を読んだのか


クララ・シューマン

…音楽シーンで歴史に名を残した最初の女性
→ロベルト・シューマンの妻、クララの方が圧倒的に有名だったため父に結婚を反対された

6-8. 【】


フレデリック・ショパン

…新しいピアノ音楽を築く、エチュード、バラード、ポロネーズ

6-9. 【革命】
…愛するポーランドのために何もできない無力感や怒り、帰れない

→ポーランドがロシアと対立、ポーランド人はロシアと仲のいいオーストリアで活動できない
→タイトルは別の人間がつけた、ショパンはタイトルを付けたがらなかった
→フランスに行く、フランス革命でブルジョワジーが台頭しアーティストが自由な雰囲気を満喫


◯後期ロマン主義

…1850年より後
フランス革命、メンデルスゾーン、シューマン、ショパンが亡くなる

6-10. 南北戦争、黒船来航
…ヨーロッパ・アメリカ文化が日本に流入する、
日本文化もヨーロッパ・アメリカに流入する、浮世絵
→音楽は録音不可能で持ち出せない


6-11. ロマン主義はオペラで本領を発揮する
…高音の限界を出すことで異常な精神状態・人間心理の限界を表現することを発明した


フランツ・リスト

…前奏曲、交響詩を確立、文学作品を音楽で表現、リサイタルの基礎を築く、ピアニストが 1 人だけで演奏会を開く、ピアニストだけでも演奏会は成立すると示す

6-12. 超絶技巧のピアニスト
…9歳で公開演奏会ができるくらいのレベルになる、家族ともどもウィーンへ、ベートヴェンに額にキスされる、耳は聞こえなかったが


6-13. 口の両端が上がっているので微笑むとずる賢く見える、メフィストフェレスのよう、悪魔的・魔術師的な雰囲気、同時にイエズス会の修道士のような優雅さがあった
→いい奴か悪い奴かはわからない、凡人では測れない矛盾と大きさを持ち合わせる
→音楽にも表現されている、超リストっぽい曲もあれば超リストっぽくない曲もある


6-14. フランス・イギリスの演奏旅行、休みがなく体調を崩す、ピアニストじゃなくて聖職者になりたい、療養中に一緒にいた父が亡くなる
→母のもとでピアノ講師、弟子と恋に落ちるが家族の反対で破局、体調を崩す、ピアニストじゃなくて聖職者になりたい
→自分に教養が欠けている事を自覚して本を読むようになる
→パガニーニの演奏を聴いて衝撃を受ける、超絶技巧を取り入れると決心、ヴィルトゥオーゾの効果
→偉大な曲を次々にピアノに編曲して演奏
→ショパンと出会う、ロマン的・詩的な才能が開花する
→タールベルクとピアノの決闘、見事勝利、ショパンとは対照的な性格、ショパンは人前で演奏しない・力を見せびらかさない
→ワイマールの指揮者に就任、作曲に専念
→作曲家・指揮者が集まる、新ドイツ楽派と呼ばれるドイツの前衛運動のメッカになる、前衛的な音楽に対する批判も増えてくる
→デモが起きて辞任
→ローマ教皇の元へ、宗教音楽を作曲、下級聖職者に就任


6-15. 【愛の夢】
…とりわけ美しい曲
・自身が作曲した歌曲愛する限り愛せよが元になっている、愛する人を愛せる限り愛しなさい、いつか自分がお墓の前で嘆く時がやってくるから、愛する人を失ってからでは遅い


6-16. 【それは素晴らしい事に違いない】
・2つの魂が恋に落ちて最初のキスから死ぬまで強く結びつくことはきっと素晴らしいに違いない
・リストにしては控えめな伴奏、深い愛の気持ちが歌われている


リヒャルト・ワーグナー

…ライトモチーフを確立、人物・感情・状況を表現する短いメロディー、
ある人物が登場するときはその人の音楽が流れる、スターウォーズの音楽もこの理論に基づく

6-17. 【ニーベルングの指環】
…ドイツに伝わる神話・伝説をもとにオペラを描く、登場人物は神で壮大なスケールであるものの突き詰めれば単なる家族の物語
→リズム・音の高低を変えて組み合わせることで15時間以上のオペラを論理的に構築


ジョルジュ・ビゼー

6-18. 【カルメン】
…メリメの小説を原作にしている、ドロドロの恋愛劇
→ヒロインであるカルメンが奔放すぎて容認されなかった、救いのない結末は楽しい娯楽だと思って見に来た人にとっては衝撃的で不評だった


ジュゼッペ・ヴェルディ

6-19. 【アイーダ】
…1曲1曲が独立して順番に歌われるナンバーオペラを崩壊させるという革命を起こす
→音楽と物語とが完全に一体となった、オペラの音楽が幕の始まりから終わりまで途切れない、オーケストラは単なる伴奏ではなく物語に絡むようになった
→シェイクスピアを原作にオペラを描く、イタリア統一運動とともに盛り上がった


ジャコモ・プッチーニ

6-20. 【ボエーム】
…出版社を代理人として劇場との交渉を任せ作曲に専念できるシステムを築く、ドラマチックな展開・覚えやすいメロディーで分かりやすい、大衆の心を掴む


エドヴァルド・グリーグ

6-21. 【ペールギュント】
…CMでもよく使われる、ノルウェーの民族音楽に影響を受けた
→ノルウェーの独立、ノルウェー=デンマークだった、ナポレオン戦争でフランス側について敗戦国になる、独立運動は潰えてスウェーデン王がノルウェー王になっていた


ヤン・シベリウス

6-22. 【フィンランディア】
…ドイツ音楽的な作曲技巧と自国の民族音楽とを融合させる、フィンランドの民族音楽に影響を受けた、田園的な風景を思わせる
→ロシアとの関係が悪化、愛国運動、森・湖といった自然がテーマにあるため日本でも人気がある


ベドルジフ・スメタナ

6-23. 【わが祖国】
…6曲から構成される、小説でいう連作


6-24 【モルダウ】
…2番目の曲、森林から流れるモルダウ川がプラハを通ってエルベ川に合流するまで


アントニン・ドヴォジャーク

…ネイティブアメリカン・黒人の音楽をクラシックに取り入れるという革命を起こす、アメリカ市場を開拓
ドヴォルザークよりこっちの方がチェコ語の発音に近い、ボヘミアの民族運動が産んだ作曲家、ボヘミアは現在のチェコ、ロマン主義ではブラームス派とヴァーグナー派に分かれる中で中立的な作曲家だった

6-25. 12歳で学校を退学し肉屋になるための修行をする、ソーセージ、ドイツ語の勉強をする、ドイツ語の先生から音楽も学べた
→リストの演奏会などには行けたが楽譜を買うカネまではなかった
→ヴァーグナーの指揮でヴィオラを演奏してヴァーグナーの音楽に大きな影響を受けた
→奨学金に応募して受かる、審査員だったブラームスの目にとまる
→二重唱曲集の出版が決まる、スラブ舞曲集の依頼に繋がる


6-26. ボヘミア人の苦しみと葛藤、チェコ
…ボヘミアはオーストリアのハプスブルク家の支配下だった、独立しようという機運が高まっていた
→祖国ボヘミアへの想いが常にある、ボヘミア人に対して見下した意見で傷つくことも
→オペラの上演を拒否、ドイツ語ではなくチェコ語のオペラをウィーンで上演してほしい、ウィーンの劇場総監督はドイツ語で上演したい
→出版する際にアントニンと表記してほしい、ドイツ風のアントンで表記したい
→アメリカへ、コロンブスの上陸から400年を祝う式典へ
→世界恐慌、給料が支払われない
→ボヘミアに戻る、プラハの音楽院の院長に就任


6-27. 【新世界より】
最後の交響曲、アメリカで書き上げる
・アメリカは経済的に豊かになるとヨーロッパの音楽家を招いて演奏させた、アメリカはヨーロッパ文化へのノスタルジアを感じていた
・ニューヨークナショナル音楽院、黒人学生を含む学生と触れ合う、論文を発表、黒人のメロディの真の価値
・大都会ニューヨークから受けたカルチャーショック、新世界アメリカから故郷ボヘミアへ向けた想い、黒人霊歌の節回しがボヘミアの民謡の節回しに似てる
・親しみやすい音楽、シンプルに見えて適度なズレが仕込まれている

・第4楽章
…最初、高音のパートはどんどん高くなる、e-mollの音階に半音階を混ぜた動き、音階の上昇形は世界中のどこの人が聴いても嬉しく感じる、自然と高揚感がもたらされる
→低音のパートはどんどん低くなる、反行、盛り上がるようになっている

・音がどんどん細かくなっていく、一定のテンポの中で音を細かくしていくことでテンポが速くなったように感じる、ドキドキ
→どんどん2倍になっていく、3小節目は4分音符単位、4小節目・5小節目は8分音符単位
→最初は付点4分音符単位、2分音符単位より速くしている、2分音符単位だと単純で子供っぽい
→2小節ごとにリズムを変えていく中に1小節で終わるフレーズを混ぜる、独特なゆらぎが生まれる


6-28. 【スラヴ舞曲】
…チェコの民族音楽がクラシックの音楽として作品化された
→オリジナリティに欠けると批判されることもある、コピペ、何をコピーするか見極めるのも才能、アレンジしてペーストするためクリエイティブであることに変わらない


モデスト・ムソグルスキー

…ロシア5人組、反西欧・反プロフェッショナリズム・反アカデミズム
→音楽におけるナショナリズムが最初に高まったのはロシア、エカテリーナ 2 世はドイツ出身で文学・音楽もドイツの影響を受ける、
→文学・音楽ともにドイツかぶれから脱却しようとする

6-29. 【展覧会の絵】
…友人で画家のハルトマンの遺作展覧会を見に行った時の印象を書いた


ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

…交響曲の楽章は4つで速いテンポという形式を崩壊させるという革命を起こす
→ロシア5人組とは対立するかたちで登場、ドイツのスタイルを守っていた

6-30. 【悲愴】
…ナショナリズムは出過ぎると他の国家・民族から受け入れられなくなる、
他の国家・民族からすれば十分ロシアらしい音楽だった
→ロシア以外でも演奏してどうすれば他の国家・民族でも受け入れられるかを掴んでいた可能性


6-31. 【白鳥の湖】
…バレエでも活躍


ヨハネス・ブラームス

…標題がないものの感情など標題性を持つ交響曲を作るという革命を起こす、流行りのオペラと交響詩を書かなかった

6-32. 【交響曲第3番】
…新古典主義音楽、古典主義様式を守りつつそこに新しい精神を盛り込んだ音楽、古典主義音楽だけでなくバロック音楽も研究、バッハ・ベートーベン・ハイドン・モーツァルト
・ブラームスのヴァイオリンソナタ、vivaceでも甚だしくなく、
楽しみで心臓の鼓動は速くなっているけど周りには悟られたくない、震えるような興奮
・クララとの書簡、それではreizが失われる、excite


グスタフ・マーラー

…歌曲集、歌曲を交響曲に転用、ピアノの伴奏しかなかった歌曲をオーケストラの伴奏にするという革命を起こす

6-33. 【さすらう若人の歌】
・狂気と隣り合わせ、長い曲、起伏が激しくうねりまくる、
・精神的に不安定な人が効くとかえって安定するのか?より不安定になるのか?
・現代は高度に発達した情報化社会の中で多くのストレスを抱えるようになった


7. 印象派音楽 4項目

…19世紀
美術の印象派に感じが似ている音楽という意味
→がっしりした構成はなく曖昧な印象を与える音楽、現代音楽に大きな影響を与える
→音楽には写実主義はない、音楽は元々印象的なもの

クロード・ドビュッシー

7-1. 【牧神の午後への前奏曲】
・本能的で形式に縛られない音楽を目指す、交響曲のような様式のある曲は書いてない
・東洋的な響き、西洋音楽の枠を逸脱しようとしている、現代音楽に大きな影響を与える


ジョゼフ・モーリス・ラヴェル

7-2. 【ボレロ】
・同じメロディー・同じリズムが楽器を変えるだけで何度も繰り返される、
楽器が増えて盛り上がり消えるように終わる
・魔術的な響き、メロディーは明確でリズムもしっかりあるが輪郭が曖昧で掴みどころがない、バスク地方は魔術への関心が高い地域
・ジャズの影響を受ける、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人の音楽とヨーロッパから移民として来た白人の音楽が融合


エリック・サティ

…ミニマルミュージックの先駆け、現代音楽の父、
ハーモニーを無視して自由な拍子で書くという革命を起こす、酒場でお客様の邪魔にならない音楽を目指す、音楽の作り方を根本的に変えた

→音楽がコンサートホールを飛び出すことを予測していた

7-3. 【】


リヒャルト・シュトラウス

7-4. 【ツァラトゥストラはかく語りき】
・ロマン主義の終わり、過激な演出やパロディ
→ナチスによって音楽も管理される、第一次世界大戦と同時にロマン主義音楽も終わっていく


8. 20世紀音楽 14項目

…20世紀
さまざまな音楽に細分化された音楽
→無調音楽・不協和音も認められる、リズムも不規則になる
→バロック音楽から古典主義音楽で完成したルールが破壊されていく

8-1. スポンサーはいなくなる
…音楽家は印税・コンサートで生活しなければならない
→大衆教養主義によって可能となった、市場は拡大、レコードの発明で新たな収入源が生まれる
→映画市場という新たな市場が生まれる


8-2. ミュージカル
…オペラがアメリカで独自の発展を遂げる、ダンスが重視されていてダンスで表現している、歌唱法はポピュラー音楽と同じ


8-3. ロシア革命
…無調音楽・12 音音楽との関連、1 オクターブの音を平等に扱って音楽を書く決意のようなもの
→音の階級性の解体、主音のドとは神、神に始まって神に終わる
→スターリンによる無調音楽の弾圧、独裁者にとって地位を守るために必要な音楽は階級性に満ちたクラシック音楽、共産主義国家ではなくただの独裁国家では?


8-4. イラク戦争
…石油利権を得るための戦い、アメリカ vs イラク、キリスト教 vs イスラム教
→イスラム圏・アフリカ圏・アジア圏はクラシック音楽を平板に思う文化圏なのでは?資本主義の恩恵をうまく享受できていない地域
→階級性に満ちたクラシック音楽は資本主義を作るのに有用だった、宗教性を反映させた音楽


8-5. イギリスでのロックの禁止
…資本主義を作るのに使ってきたクラシック音楽が破壊される危険性があったから
→ポピュラー音楽の台頭はアジアからの文化侵略とされた、特にロックは fuzz がついている
→市民階級はfuzzyな音を潜在的に望んでいたのでは?
→なぜfuzzyな音がアジアの文化なのか?

→弦楽器のルーツ、西アジア、fuzzがついている、音は遠くに飛ぶが音は歪んで音程が曖昧になる
❶ジブラルタル海峡からスペインを通ってヨーロッパへ伝わる、fuzz が取れて澄んだ音になった、教会では音は遠くに飛ばなくていい、澄んだ音がクラシック音楽を作りそれが資本主義を作った

❷インドから中国・朝鮮を通って日本へ伝わる、fuzz が取れずにそのままの音で伝わる、三味線

→ザデー、FUZZY理論、本質的に曖昧な概念を扱うための数学的な理論、西アジア出身の数学者、アジアでは音も数学も曖昧さを扱うのが得意である可能性
→クラシック音楽は崩れなかった、ロックを抱き込んでしまった、
ビートルズはエリザベス女王から勲章をもらった、資本主義という階級社会は残った


アルノルト・シェーンベルク

無調音楽・12 音技法を確立、調性という構築方法でなくても音楽は構築できるという革命を起こす
→当時は実験的な音楽であり誰もお金を払って聴きたいとはならなかった
→ロシア革命による階級の解体と同じ、第一次世界大戦時にアメリカへ亡命
→無調音楽は粛清された、スターリンは音が平等に扱われることを徹底的に弾圧した

8-6. 【】


セルゲイ・ラフマニノフ

8-7. 【ピアノ協奏曲第2番】
・ピアノ協奏曲の終わり、映画・フィギュアスケートに使われる、哀愁を帯びた甘くセンチメンタルな音楽
・アメリカの演奏旅行中にロシア革命が起きてそのままアメリカに永住


ベーラ・バルトーク

…真のハンガリー音楽の確立を目指す、各地の農村をまわり民俗音楽を聴いて楽譜に記して研究

8-8. 【青ひげ公の城】
・音楽だけでなく音楽収集の活動も評価される、文化アイデンティティの解明に関わるもの


イーゴリ・ストラヴィンスキー

8-9. 【春の祭典】
・複雑なリズムと不協和音に満ちた音楽、史上最大のスキャンダルを起こす
演奏中からヤジ・怒号が飛び交ってお客様同士が殴り合う大混乱になった
→大混乱はヤラセだった、再演は大成功


エドワード・エルガー

8-10. 【威風堂々】
…イギリス音楽の復興、ドイツ音楽の枠組みの中でイギリス精神を書いた


オリヴィエ・ウジェーヌ・プロスペール・シャルル・メシアン

8-11. 【世の終わりのための四重奏曲】
…ナチスの収容所で書いた、収容所で出会った 3 人との音楽、ヨハネの黙示録のイメージ
→収容所の責任者は音楽に理解があったため演奏も許された、解放後に4人が揃うことはなかった


アストル・ピアソラ

8-12. 【ブエノスアイレスの四季】
・アルゼンチンのタンゴとクラシックを融合
→タンゴ業界・クラシック業界双方から認められなかった、踊れないタンゴ、タンゴは踊るための音楽、クラシックは聴くための音楽


ジョン・ミルトン・ケージ

8-13. 【4分23秒】
…4分23秒の間まったく楽器を弾かずに沈黙するという音楽、ノイズを意識させるという前衛音楽、偶発性の音楽を目指す


マリア・カラス

…オペラから映画にライトモチーフとアンダースコアを導入

8-14. 【風と共に去りぬ】
・アンダースコア、セリフを話しているバックに流れるメロディー、
映像・言葉・音楽が相乗効果を生む
→映画を見終わった後に音楽が流れていたことに気づかない音楽を目指す


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正すべき点やご意見などあればXでお声をいただければと思います。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。

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