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アートに関するメモ(1) 【アート】

本メモはアートの基礎的な内容に関するメモです。


1. アートとは? 21項目

1-1. アートに触れる意味・意義とは?
…アーティストの問いを感じること・問いでなくても何かを感じ取ること
非言語的に感覚を通じて自分なりに意識・思考の壁を越えて問いへの答えを探す
→ゲームチェンジャーになれる、アートでも経済・社会でも問う人がゲームチェンジャーとなる

うまくやるプレイヤーは評価されるがそれ以上にゲームチェンジャーが評価される
→ゲームチェンジの仕方をアートから学ぶことができる
現実社会の未知の物事・状況に直面して現実社会と自分とのズレは何かを感じ取り、それを問いとして受け止めて自分の立場・仕事・生き方の中で答えを見つけて行動していく
過去の時代より強く求められる能力、未来ではもっと求められる
→経済・社会の中で新しい概念が生まれる時も言語的でない状態がある
その状態が少しずつ言語化されて経済・社会へ共有される
→経済・社会の変化のスピードが上がってもアートは存在する
アート的思考があれば適応できる
→自分の意識・思考の壁を越えようという思いも必要になる


1-2. 情報化社会
…情報が多くなって検索できるようになると、人はどうしても物事が分かったつもりになりがち
→こんな感じで理解すればいいのかと思い込んで意識・思考の壁になる
→色々な角度から感じたり考えたりしようとすれば世界は面白くなるのでは?
出てきそうな言葉を飲み込み浮かんできそうな思考を打ち消し、色々な角度から見ることで生まれる気づきがマルチタスクの経済・社会で希少性を持つ


1-3. 現代の視点から過去を見ない
…過去の人間が何を学んでアウトプットしたかを考える
❶過去の人間が知っていたこと
❷過去の人間が知り得たこと
❸過去の人間が知らなかったこと
❹過去の人間が知り得なかったこと
を的確に把握することが重要


1-4. 過去の放置された関係に注目
…既存の理論が現実との不整合を避けるためにアドホックな設定を増やしていくときに、個々の不整合を検証し過去に放置された関係に注目することで、新しいパラダイムを創り既存の理論を超えることができる


1-5. 誰でもアートを成立させられる
…人の心を揺さぶる問いを見出せればいい
→カント、産出的構想力、直感性・空想性と論理性・合理性と結びつける
→アートの本質は作品ではなくアートスピリット、誰もが内側に持っている
→アイデアを共有して対話できる人を見つければクリエイティブな何かが生まれる


1-6. アートはなんのために作るのか?
…作りたいから作る、気分転換、アートに目的はなかった、クライアントはいない

デザインには目的・問題解決がある、クライアントがいる、建築など
→時代とともに変わる


1-7. 人間の活動時間
❶生存活動
❷余暇活動
❸休息活動
→生存活動・余暇活動の区分は主観的、やる必要はないかもしれないがそれでもやりたいからやるという意識で決まる
生物学的には生きるために必要な活動だったとしても、料理など
→アートなど文化活動は余暇活動の 1 つ、生きるために必要な活動ではない、あくまで+α
→文化活動が必要な理由とは?
→気分転換、人間は特定の環境に特化していないため大きな脳を持つことになった
幅広く外部環境の情報を収集して常に揺らぐ意識を持つ、人間は退屈だとストレスを感じる


1-8. 生存活動における意識のサイクル
❶待機、外部環境にアンテナを張って常にゆらぎつつ緊張している
❷指向、実際に入ってくる具体的な情報に向かう
❸集中、向かった情報を継続的に取得・分析
❹対処、分析をもとに適切だと思った行動をとる

→待機の中で疲労が蓄積、指向の感度・集中の深さ・対処の適切さやスピードが低下
→疲労に対しての対応、一般的な生物は休息活動を選択する、典型的なものは睡眠
→不安で疲労が蓄積、人間の時間性に対する精神の動き
不安によっても指向の感度・集中の深さ・対処の適切さやスピードが低下する可能性
→睡眠という危険・手間を省いて不安を取り除きながら休息活動を行う手段として余暇活動
一時的な休息活動、活動しないを選択するのではなく他の活動に集中するを選択する


1-9. ロボット工学の 3 原則
…❶安全❷便利❸丈夫、人間にとって有用とみなすモノの条件

→余暇活動が人間にとって有用とみなすための条件を考える
❶生存活動を阻害しない、これは受け手の問題
❷生存活動を意識上明確に区別されていて集中できる
❸その活動が持続し反復活動に耐えられる

→アートという形式では
❶集中の対象として指向される
→情報が存在することを認識する必要、知的活動の原動力
→複雑な・曖昧な情報を認識したいという欲求、知的活動の推進力
❷集中すべき対象が明確である、集中を継続するのが簡単
❸快感などの感覚を喚起する、ドーパミンなどの報酬系、反復できる

→人間は進化の過程で快感から余暇活動を導いた、ドーパミンなどによる快感
→その本能を正当化するために美が存在するという認識を発達させた可能性
→美しいとはドーパミンなどによる快感で美しいと結論付けられただけのもの
→民族・国家を作るためにアートが利用されるようになる、言語・美術・音楽と感情をタグ付け


1-10. 人間の認識の枠組み
…感じた対象が何かを判断するための基準がある程度先天的に備わっていて
感じた対象を分節として捉える

→言語系
世界を正確に認識・記憶・描写・予測しようとする、
民族・国家という人間の集合で最も重要なルールは言語を共有すること

→視覚系
美術は自然に対する模倣性がある
感じた対象を固定して記録しよう、模倣性・記号性を持つ創造
社会的な合意が必要ない
写実とは現実にあるものではなくいかにもありそうなものを描くすること
近代になってから生存活動に関連して発展した情報創造を組み合わさって抽象絵画が生まれた

→文字・アイコンが生まれる、そこから抽出された記号として、社会的な合意が必要
→叙事詩が生まれる、神話、叙事詩が歌われ踊られるようになる
→記憶のネットワーク化
言語が表す情報に様々なものが付いて特殊化されることで情報が繰り返し参照され記憶が強化される、ラベル付け、身体運動からはリズムが派生

→聴覚系
音楽は自然に対する模倣性はない、世界を正確に描写しようとしない、
言語が世界を正確に描写しようとしているため

→アートを定型化、定型によって
❶共通認識を担保できる
❷対象を規則的に変換できる
❸文化を組織化できる
文化から出て拡大できた、階級ができた、文化侵略
→アートの定型化から逸脱、個人の意識を担保する方法論が生まれる
定型化されたテーマから逸脱、架空のものであってもいかにもありそうに描く
作り手の脳に存在する一連のイメージに沿って受け手が認識することが要求される、受け手の想像力に訴える、静止画ではなくスナップ写真として捉える

→対象を感じる際のバイアス
❶取り込みにおけるバイアス
…関係性の閑却、フィルターを通したインプット
アーティストは自分の認知構造によって感じるものを描き感じれないものは描かない
瞬間ごとにアーティストが発見して注目したものが描かれる
分節化された対象ごとに存在する本来の関係性がゆるいものになる
→背景に興味がなければベタ塗りで描く、海が赤くみえた瞬間があれば赤く描く
→インプットは感性に支配される
❷再現におけるバイアス
…関係性の変形、フィルターを通したアウトプット、
アーティストは自身に存在する認知構造が取り入れた対象に影響を及ぼして
対象内に存在する関係性を変えたものが描かれる
→丸い対象も気分で四角く描く、海も気分で赤く描く
→アウトプットは感情に支配される


1-11. 分節として捉える
…外部環境の情報を認識して生存するために行う
→カオス状態では異なる分節が無差別に多数存在、構造の認識が成立しない
→反復という概念が生まれる、反復によって分節は区分され意識へ定着する

→比較という概念が生まれる、差異が異なる分節を生じさせる
異なる分節との比較、同質な分節の部分的に異なる分節との比較、変化という感覚が生まれる
→無秩序な変化から秩序ある変化へ発展、トレンドという感覚が生まれる
→数字という概念が生まれる、比較の中で程度を決めるため
→構造をデジタル化、構造の認識にかかる負荷が軽減され大きな分節まで捉えやすくなる
音楽はすぐにデジタル化、音楽は自然に対する模倣性がない情報であるため、音楽は音による数学の表現と言われる理由

→分節が捉えやすくなると多くの人間が大規模な分節を構築
→従来のアートでは非日常性を提供できなくなったため新たな多様性を求めて様々な分節を構築
→上位分節の構築理由に基づいて下位分節の構造の選択・構築は行われる、
デザインとは機能によって構造が決定されること
→デザインが装飾・外見という機能から構造を考えようとするとトートロジーに陥る、
アートは社会的に無用だがアート的には役に立つ
→感動させるという機能が目的なのか?それともアートに役に立つという機能が目的なのか?
興味を惹き集中させるという機能が目的なのか?


1-12. ゲシュタルト化
…要素の関係性をざっくりなんとなくで把握する、迅速
→ゲシュタルト化によって背景と個々を認識できるが、要素の数量的な認識には訓練が必要、
知人の顔はわかっても知人の似顔絵は描けない


1-13. 鑑賞
…他者の生存活動を傍観すること
→自分の生存活動における意識のサイクルのうち❹対処を必要としない
→共感という経済・社会において不可欠な意識の働きによって
アートの様々なジャンルを認識してそれに集中できる


1-14. アートはなんのために作るのか?が変わる
…見る人に問いを投げかけるため
アーティストが人生の中で見つけた問いを示して見る人の心を揺さぶって深く感じさせることで新しい世界へ導く、見えないものを見えるようにする
→問いが洗練されていれば経済・社会は鋭く反応する
未来を変える流れにもなる
→見たくても見えないものを考える
→科学者・研究者の視点がある、想像力がある、ロマンチスト
→アイデアだけでなく突破力も必要


1-15. ヨーロッパのアートは主観
…人間が自然を切りとって作る人工のもの
→庭園は自然を切り取って作る、自然とは排除・征服されるもの
→隣の国との戦いがある、メリット・デメリットにもなる、管理されるもの
→美術は自然を圧倒する人間の勝利の証
支配者の視点による再解釈されたもう一つの主観的世界
→「世界を〜として認識しなさい」というアート
→「世界はどのように認識されているのか?」というアート
→「世界をどのように認識していくのがいいのか?」というアート


1-16. 日本のアートは客観
…人間と自然と調和して作る自然のもの
→日本の庭園は自然の景色と繋がっている、自然とは一緒に過ごすもの
→隣の国との戦いがない、文化が変わるという経験がない、再生するもの


1-17. 自然
…表面の美しさとは裏腹に底には何がいるかわからない、得体が知れない
→世界は一見美しいが表面を突き破って本質を見ようとすると
人間ではどうにもできない理不尽が潜んでいる、死・孤独への戦慄
→人間そのものの中にさえ人間ではどうにもできない感情が沈んでいる


1-18. アートが拡散される
→写真・演劇・ダンス・音楽・文学に美術が入り込む
→アートの各ジャンルの境界が曖昧になる
→デザイン・ファッション・建築・工芸に美術が入り込む、実用的な目的を持つ
→アートの各ジャンルの境界が消えたように見える
→アウトサイダー・人類学・考古学・宗教・エンターテイメントに目が向けられる
アートとは見做されなかったもの・主流から外されていたもの、マイノリティ
→様々な地域に蓄積された歴史・記憶の中に見出される


1-19. アートのディズニーランド化
…社会問題より民族性の中にある美的な感覚を表す作品が多い、ハッピーな表現


1-20. アートに対して消費的ではなく本質的に触れる人を増やすには?
…アンダーグラウンドのカルチャーシーンを豊かにすること
→経済・社会が隠そうとする物事とも向き合うことができる


1-21. ジェントリフィケーション
…貧困地域にアーティストが暮らしながらアトリエを持ってカルチャーシーンを生み出し、投資家がおしゃれなイメージに着目して土地・建物を買い取って街を刷新していく
→経済活動を行う人が流入することでアーティスト・クリエイターにチャンスが生まれる
→移り変わりの中で実力を蓄えコネクションを豊かにして、その地域をきっかけに世界を面白くできる可能性を担保できればそれでいいのではないか


2. アートと思考 9項目

…経済・社会が変わり、人間の思考が変わり、美術が変わり、音楽も変わる
→美術を見ていくことにする

2-1. 上部構造であるアートは下部構造である経済・社会の影響を強く受ける
…どのような経済・社会の構造の中でアートをどう生み出したか
→革命という経済・社会の構造の変化によってアートはどう変化したか
→経済・社会の構造の変化をアートはどう察知したか


2-2. 古代、言語が生まれる、見た世界を支配可能なものとして解釈できる
→自己保存欲求、解釈できれば安心する
→他者とのコミュニケーションが必要、文法が生まれる
→抽象的な議論が可能になる
→自己保存欲求、抽象的なものは何もない感じがして怖い、具体的なものに触れていると安心
→神・悪魔が生まれる、一神教


→中世、神の絶対化
世界の中心は神、世界で起きる現象は神で説明できる

→近世、神の相対化
ヒューマニズム、神による世界解釈から人間による世界解釈、主観の登場
→世界で起きる現象を神で説明できない、世界が混乱に支配される
→非キリスト教的な知のシステムで世界に秩序をもたらしたい、芸術
→遠近法が生まれる
神を見放した・見放された人間の視点で見た世界を解釈し直す、
人間の不安から生まれた、3 次元を2 次元に翻訳する
→世界支配・自然支配を表現
表現できなければ見た世界は不思議なままで立ち止まってしまう
→ルネサンス以降
❶何らかの意図によって 2 次元上に絵具が組織化された平面
❷その平面と鑑賞者の間にイリュージョンが存在
❸イリュージョンを本物らしさへ転化するため遠近法で偽りの空間を作る
→写真の発明、一神教に対する疑い

→近代、神の否定
ヒューマニズムの否定、世界の相対化、脱ヨーロッパ思考
遠近法から抜け出したい、主観の拡張

→マネ、2 次元の絵画画面が意識される
→ゴッホ、絵具の物質化が意識される
→ピカソ、絵画から意図を読み取らなくていい、絵画を描く際のコンセプトの方が重要
キュビスム、遠近法に頼らずに 3 次元のものを 2 次元に落とし込む、矛盾なしに
→ウォーホル、絵画に意図なんてない・読み取れない、鑑賞者を突き放す
→バンクシー、メッセージが強い、自己プロデュースで作品をアピール、画商がついてなくていい


2-3. アートが生まれるきっかけとなった思考とは?
…死とは何か? 文化・宗教の起源

→アート・呪術
時空を超えて像と対象が一致するという人間の直感的な認知能力を利用
アートを通じて人間が世界とどう向き合ってきたかがわかる、社会的役割の一つ
→死者の書、古代エジプトの死の考えがわかる文書
死後の世界や来世を信じる
死者が真実を語ればオシリスの死後の国へ導かれる
嘘を語れば心臓を食べられる、
ミイラ・ピラミッド・スフィンクス
→人体表現への興味、呪術的
→ヴィレンドルフのヴィーナス、乳房と女性器の誇張、最も古い彫刻
アートの始まり
→ミロのヴィーナス、人間の理想的な身体を愛でようという美意識
→呪術から宗教へ、神を信じて生活すれば死んだ後もいい生活ができる
死は怖くない


2-4. アートが定型化されるきっかけとなった思考とは?
…文化・宗教を広めるにはどうしたらいいか?

→視覚的に見えるようにしよう、残るようにしよう
→偶像、神を表現したアート、人間が作ったもの
→キリスト教で偶像崇拝が禁止されたものの聖人を描いたものが広がった
批判者がエリート層のみ、文盲の人間への布教がしたかった
→イコン、イコノクラスム、とにかく偶像崇拝を弾圧
→イコンを容認していたイタリアに多くの修道士・アーティストが渡る
→ダ・ヴィンチ、解剖学で人体表現を高みに上げる、遠近法
→マニエリスム、ルネサンスを乗り越えるために模倣し誇張した結果生まれた官能的な表現
→ブロンズィーノ、愛の寓意、誰が・なぜ・どのように描いたかを考える
→メディチ家直属のアーティストが・エロティシズム愛好家のフランス国王を喜ばせるために・一番盛り上がっていたマニエリスムという技術で描いた
→人妻と少年の危うい不倫を描いたポルノとも捉えることができる、
枕は淫欲・矢は危険・ハチミツは誘惑・サソリは罠を表す、嫉妬で狂う老婆
→官能表現が経済・社会と結びつくことで精神的・時間的な推移を表しながら、ストーリーを視覚化することができるようになった


2-5. アートの定型化から逸脱するきっかけとなった思考とは?
…アヴァンギャルド、既存のアート・価値観を揺さぶる革新的なもの

→過去のアートを否定することが新しいアートの存在理由となる
→印象派、新しいアートを追求する傾向が生まれる
→第一次世界大戦
→ダダイズム、一切の美的価値の否定・破壊、
ものごとの不確実性・クリエイティブの無根拠性を強く訴える
→デュシャン、泉、レディメイド、既製品を本来の用途からずらして転用、
種的なものから類的なものへ移行、多様なジャンルはアートという枠組みを暗黙の前提とする
デュシャンはこれを揺るがして認識させたから現在のアートの基盤となった
→抽象表現主義、具体的なモチーフを表現するのではなく抽象的な感情・思考を表現する、アメリカに亡命したユダヤ人が中心
→ポップアート、ウォーホル、アートが民主化される


2-6. アートが民主化された後から現代まで通ずる思考とは?
…アートの本質は何か?

→目に見えるモノではなく目に見えないコンセプト・思考プロセスにアートの本質があるのでは?
→コンセプチュアルアート、形・美的価値よりもアイデア・概念をいかに表現するかを重視
→ジョセフ・コスース、1 つのそして 3 つの椅子、実際の椅子・イメージの椅子・言語の椅子、
椅子というものに対する人間の認識・知覚のあり方をもう一度考えよう
→アートの非物質化
→現代、バイオアート、生命倫理・アイデンティティをどう扱うべきかという問題を可視化
→ヘーザー・デューイ・ハグボーグ、Stranger Visions、
タバコの吸い殻などから DNA 解析して容姿を 3D プリント


2-7. バスキアの問い
…アーティストと呼ばれるにはアートの教育を受けなきゃいけないのか?
→ストリート文化が生まれる
→ウォークマン、外出中に音楽を聴くという習慣を作った
→スマホ、コンピューターは家の中だけで使うものなのか?


2-8. バンクシーが変えたアートシーン
…アートの強度よりアート活動が生み出す仕組みの方に大きな価値が見出されるようになった
→アートに対する所有欲への問い、公共の場に作品を描く
売るために作っているわけじゃないというメッセージ、
社会的メッセージを発することで自分と作品への評価を高めようとしている
→価値とはモノではなく仕組み・システムから生まれるようになった
現代アートのピーク


2-9. ビープルが変えたアートシーン
…デジタルデータに価値がついた
デジタルデータに鑑定書が付けれるようになった
NFT によってコピー・改ざんができなくなったため
→オリジナルの作品だけが持つ背景がアート的には重要、
どんな時代でどのように作品を作ったのか
→さらに取引されるたびにアーティストにお金が支払われる仕組みができた
→オークション・コレクションのあり方の新しい可能性を切り開いた、セザンヌ的
→現代アートが終わって新しいアートの時代が始まったのでは?


3. アートと経済・社会 49項目

…アートはヒト・モノ(作品)・カネ・情報から成り立つ、各プレイヤーが協働して価値づけされる
→どちらも背景にはユダヤ教・キリスト教の宗教観がある、すべては他のすべてに依存する
→宗教観を読み解くことで、私たちが今何をすべきかがわかり、未来への大きなヒントとなる
→宗教に基づく特定のイデオロギーを持たない日本人には理解しがたい可能性

3-1. 日本人の大多数はアートはアート好きの人のためにあると考える
…人類の死・歴史・叡智に思いを馳せるというアートそのものの価値には目を向けようとしない、
近視眼的、アートの目的はアートであるという価値観がない、日本を出ればある


3-2. アートを通じて人種・宗教について触れずに相手の価値観を知ることができる
…さまざまなバックグラウンドを持つ人間とコミュニケーションを取りたい
→相手の価値観を知らずして深いコミュニケーションは取れない
→人種・宗教については話題にしづらい
→アートを通じて価値観の交換ができる、教養としてのアート
ビジネスに対する価値観の違いは問題だがアートに対する価値観の違いは問題ではない
→興味があればどんなところが好きか、興味がなくても自己紹介になる
→コミュニケーションに役立てるのに重要なことは本物を見ること


3-3. アートの価値はどう決まるのか?
…モノの希少性・歴史性があるかどうかで決まる、比較・文脈を経て認められる必要

→希少性の原理、株式と異なる点は 1 点ものを重視する点
→希少性はモノ自体だけでは決まらない、モノ自体には価値がない
→ヨーロッパのアート観、コンセプトが優れているものの価値が高い
知的・言語ゲーム的など
→日本のアート観、モノとして優れているものの価値が高い
→アートの場合はセカンダリーマーケットで値上がりすることが多い
希少性に歴史性がプラス
→一度高値をつけたアーティストのアートはどれも自動的に値上がりする
→莫大なお金を積み上げてもその画家の作品をたくさん集めることはできない
→残っている数点の作品に需要とお金が集中する、さらに値上がりする


3-4. エディション
…複製する数を限定すること
→価値を下げないため、複製されると価値は劇的に下がる、貨幣と同じ


3-5. バブルの発生
…転売が繰り返される、価値があると思って高いものがさらに高く売れる
→バブルの崩壊、これにどれだけの価値があるのかと疑問に思い始めると急に人気がなくなる
→NFT と追求権は転売の抑止力になるのでは?


【アートにおけるプレイヤー】

3-6. ギャラリー
…アーティストの作品をプロモート・販売
美術館・コレクターとの関係をマネジメント


3-7. キュレーター
…アーティストの作品を体系的に展示
カタログを作ってアーティストの全体像を明らかにする


3-8. コレクター
…アーティストの作品を購入することで援助、展示会に作品を貸し出す
→フランソワ・ピノー(フランス)、チャールズ・サーチ卿(イギリス)、
イーライ・ブロード(アメリカ)、ブディ・テック(インドネシア)、
リュー・イーチェン(中国)


3-9. 批評家
…アーティストの作品の成り立ち・魅力を分析して評価


3-10. パトロン
…富をもつ人が気に入ったアーティストを支える、普通の習慣だった

→精神的なサポート、高い教養でアーティストのインスピレーション・アイデアの源になる
→ベラスケス、ラス・メニーナス、給料が低かった、美術活動の扱い
スペインでは手先が器用な卑しい行いとみなされた
イタリアでは幾何学などの教養に根ざした知的な行いとみなされた
→貴族へ昇進したいという渇望、国王夫妻と自分を描く

3-11. 石橋正二郎
…ブリヂストンの創業者、日本文化のパトロン
ビエンナーレの日本パビリオンを完成
東京国立近代美術館・新館を寄贈、スケールの大きさと社会貢献意識の高さ


【アートにおけるイベント】

…大規模国際展・アートフェア・オークション

3-12. 大規模国際展
…美術館だけで伝えられない表現・作品を展示
ドクメンタ(ドイツ)、ビエンナーレ(イタリア)

→視覚的パワーに哲学的考察・社会批判という側面が加わる
→経済的な都市起こし、政治的なプレゼンス向上


3-13. 日本の美術館はフランス型
…予算・管理を国・地方自治体に委ねる
→アメリカ型へ、自ら運営資金を集める、少子高齢化による税収の減少
台北・光州・イスタンブール、文化振興と都市の再開発


3-14. 横浜トリエンナーレ
…日本初の大規模国際展、アジア各国で日本人キュレーターの採用
海外への玄関口に回帰させる
→総額 9 億
支出 9 億(展示制作・会場・広報・カタログ・入場券・専門家・事務局・業務委託)
収入 9 億(国際交流基金分担金・横浜市分担金・入場料・カタログ販売・助成金)
→経済波及効果 50 億、準備24 億、消費26 億
サポートする市民との交流も多い
→近代建築物の利用推進
自治体が導入する最新設備と映像研究科大学院生
アート・商業映画に優位性を発揮、アートによる街の再生、アパレル・アーティストとのコラボ

→愛知トリエンナーレ、ツーリズムと関係させる
復興と車離れする若者への訴求


3-15. アートフェア
…アートの展示即売会

→売買の中心、最先端のアートを見たければギャラリー
ギャラリーかオークションだった


3-16. アートバーゼル(スイス)
…最高水準
ステートメント(若手アーティストの作品を個展形式で展示)
エディション(エディション作品に特化して展示)
アンリミテッド(大型作品のみを展示)
フィーチャー(キュレーターによる特集で展示)
→ギャラリーにとってはアートバーゼルに出店することは一流ギャラリーの証
→UBS がスポンサー、プライベートバンキングサービス、
35000 点を超えるアートコレクションを世界 50 カ国にあるオフィスで展示
→マイアミ・香港・台湾・中国・韓国など東アジアに強い、街でタクシーがどれだけ捕まるか、
捕まらなければ好景気、経済指標、香港国際空港、仁川国際空港、チャンギ国際空港


3-17. フリーズ(イギリス)
…若手建築家を起用して公園に巨大なテントを設置
→ドイツ銀行がスポンサー、プライベートバンキングサービス
56000 点を超えるアートコレクションを世界 900 ヶ所のオフィスに展示
→ニューヨークに強い
→プライベートバンキングサービスの顧客獲得・社会貢献活動・企業ブランディング、現代アートの収集を投資と考えると年利は中国不動産以上


3-18. アートステージシンガポール(シンガポール)
…マリナ・ベイ・サンズ
プロジェクトステージ(若手ギャラリーだけを集めて展示)
シンガポールプラットフォーム(シンガポールに焦点を当てて展示)
→ロレンツォ・ルドルフがディレクター、アートバーゼル出身
政府機関がスポンサー、国立文化財局・経済開発局・政府観光局と戦略的パートナーシップ
→インド・インドネシアなど東南アジアに強い
経済成長とアート市場の成長は相関
石油・ガスなどのエネルギー資源
植物性油脂・天然ゴムなどの天然資源
多い人口、需要のうち個人消費の割合が輸出の割合より高い
→アジアと欧米などの世界とが出会う場所を作る
アートはローカルなものだと誤解されてきた


3-19. アート北京
…現代アートの多様な楽しみ方を訴求する
→課題が多い、付加価値税が高い、40%から 28%へ、ギャラリーも少ない
現代アートに対する経済・社会の認識が低く反体制的とみなされる


3-20. オークション
…競売、アジアで過熱する


3-21. 最も高額で落札された作品
…ベーコン、ルシアン・フロイドの三習作、1 億4240 万ドル
→直接売買、セザンヌ、カード遊びをする人々、2 億5900 万ドル、カタール王室


3-22. オークションは中国の時代へ
…トップ 10 のうち 5 社、いいアートは金融中心地へ動く
国力を表すバロメーター
日本にあった名品は中国やアジアの国々へ流れている
→歴史的・文化的価値をもつアートは特別
コレクションは伝統的な文化を継承、同時に新しい価値を創造する
→年間落札合計額の 1 位・2 位は中国近代美術の巨匠
日本のバブル期にはなかった、
背景に中華思想、自国文化の国際的価値づけに積極的


3-23. ネットオークションの時代へ
…1 兆ドル超え
インターネットで情報格差がなくなり人々のライフスタイルも国際的になる、経済的・時間的コストの削減、新規参入の促進
→課題は多い、偽物かどうかの鑑定、コンディションの確認、
梱包・輸送・配送
→この規模に拡大した産業に手をこまねいていては衰退の一途を辿る
→梱包・輸送・配送の技術は勝る、日本通運、現地スタッフの育成


3-14. アートと貨幣
…成り立ちが似ている、イコンの原理、代理・表象

→聖餅はキリストの身体の代理
イコンはキリストの身体の表象、芸術ではない
表象という視覚的効果が発展するにつれて芸術とみなされる
→貨幣、紙幣で硬貨 1000 枚分の価値を代理する
価値を直感的に理解させるため表象の力を使う
→$はIHS を重ねたものと言われる、聖餅がキリストの身体の代理だと示す
→金本位制から離脱、アートがモノではなくコンセプトを重視するようになった
→カード・仮想通貨など貨幣が転換を遂げるとアートはどう転換するのか?


3-15. アートと土地
…芸術祭、土地の個性を活かして地域振興に結びつける
→過疎地・暗い歴史などのネガティブな性格をアートを通じてポジティブに転換、自然・文化に結びつけて体験してもらう
→一過性のイベントとして終わらないような取り組みを増やす必要


3-16. あいちトリエンナーレの問題点
…文化庁が展示内容によって助成金についての決定事項を覆したこと
→それは文化庁がこれはアート・これはアートではないと判断すること、
それが認められるのであればアートへの政治的介入が進む、
それこそ表現の自由に触れることでは?


3-17. 都市は本当に必要か?
…都市に行かないと手に入れられないモノ・サービスはあるのか?
→都市はこれからも発展すると思う、人を集める何かがある
→現在と未来でそれは大きく異なっているのではないか?
モノに振り切るか心に振り切るか
→アート活動も都市から離れる
地方の独自の環境の中でアートを見た方が面白く印象深いのでは
→アートは文字を用いないため地域性がなくローカルコミュニティにフィットさせやすい
→芸術祭のコンセプトで重要なのはローカルコミュニティを活かすこと
最初に地元の方を笑顔にしてその次に来てくれた人を笑顔にする
→アートを残した方がいい場合と残さない方がいい場合を考える、
残さない方がいいのに残していくとただの押し付けになる


3-18. アートと産業
…バウハウス、造形学校
→全ての造形活動の最終地点は建築である
大聖堂を作った中世の工房システムに由来
→大量生産可能な工業製品を通じてあらゆる階級の生活水準向上を探求
そうした社会主義的性格がナチスに敵視される
→学生は素材・造形に対する既成概念を解放し各工房で芸術・技術を学び建築過程に進む


3-19. 絵画は建築と切り離せなかった
…壁画、洞窟・教会
→キリスト教の祭壇画、絵画が建築から独立して見られるようになる
→油彩画が生まれる、キャンバスに描かれる、絵画が建築から飛び出す
→教会・宮廷から飛び出して市民に渡ることで肖像画・風景画が誕生
→ヤン・ファンエイク、アルノルフィーニ夫妻の肖像、油彩技法の開発
乾きが遅いことを活かし重ね塗りによって輝く色彩を生み出す
→画家がアーティストとして認知された
→活版印刷が生まれる、複製により宗教・学問・情報の広まりが加速
→宗教革命・物理学・化学の発展へ影響、ルネサンスの勃興を後押しした
→写真が生まれる、明るい部屋の隣の暗い部屋の壁に穴を開けると、
光が穴を通して暗い部屋に流れ壁に光の像が投影される
これに光の像を定着させる技術がプラスされた
→絵画から外面の世界を正確に写しとる役割が失われた
→絵画は内面の世界を写しとるようになった
→印象主義、世界を自分の心の中に思った印象のままに描く
→ポスト印象主義、世界ではなく自分そのものを描く
→コンピュータ・インターネットが生まれる
情報の流通量が増加・情報の取得コストが低下、
検索窓、世界のあらゆる場所に通じるバーチャルな窓
→エキソニモ、Natural Process、インスタレーションアート
インタラクティビティを描く
ウェブ画面をアナログな絵画に描きインターネットで中継してデジタルに変換
→CG・VR が生まれる
→チームラボ、Nirvana、超主観空間
日本人には空間が日本画のように見えていたという仮説
コンピュータ上に 3 次元空間の世界を構築し伝統的な日本画の平面に見える構造
→AI が生まれる、写真をゴッホ風の絵画に変換できる
アートの贋作判定に活かされる、
→AI が学習するためのデータを用意するのもアートを世に出すと決めるのも人間


3-20. 産業革命
…生産に先立って計画が必要になる
→現代的なデザイン・デザイナーの登場
→ロンドン万国博覧会、クリスタルパレス
→ウィリアム・モリス、アーツアンドクラフツ運動、日用品の美しさ
クリエイティブを取り戻し生産者・消費者の生活水準の向上を目指す
→モリスマーシャルフォークナー商会、インテリア
限られた人しか手にできない
→アール・ヌーヴォー


3-21. ノートルダム大聖堂の再建
…LVMH グループが多額の寄付
→愛国心だけが理由ではない
❶ブランディング、パリのシンボルの再建に貢献すれば名前が刻まれる
❷節税、低所得者からは脱税をごまかすため・弱者支援をしろよと批判され後続企業は少ない


3-22. 人口照明のない美術館
…アーティストはアトリエで自然光で作品を作っているはずだから
自然光のみの美術館をやったらいいのではないか?


3-23. 人は聞こえないような音でも感じている
…見えないようなものでも感じている
→その領域で作る新しいアート・概念があるのではないか?
→人の心・脳と結びつくということを目指す、純粋さ


3-24. NLP
…神経言語プログラミング
→パフォーマンスを上げる手法としてビジネスに活かされる
→捉え方の自由を得るために刺激と反応のあいだにある間を探してパターンから抜け出す
→自由に見ていいアート、アートが心理状態を写す
→ミラーニューロン
見ている相手の行動を鏡のように映し取ってシミュレーションする
共感・模倣につながる神経細胞


3-25. 記憶だけを残すようなアーティストは現れるか?
…作品が残らなくても心に残れば究極のアーティストと言えるのでは?
→音楽は記憶だけ残すという究極に近いパフォーマンスなのでは?
→デジタルデータで音楽を残せるようになった
→即興性のある音楽が重要になるのでは?


3-26. アートと政治
…アートは自国に有利な国際環境を形成
外交政策・企業の経済活動を有利に進める

→経済的、観光客を集めて莫大な経済効果を生む
住民・企業の誘致をしやすくする
→政治的、一瞬で色々な人々の心を強く刺激する
視覚的パワーがあり言語の制約を受けない
→多くの国は芸術・文化を活用し広く国際的に働きかける
多額の予算を割いて発信に力を入れる


3-27. 美術はプロパガンダの道具
…視覚的訴求力・情報伝搬力を持つ
→写生・中継・記録を行う歴史的な役割
→民族支配のために文化を肯定させる、権力の正当性


3-28. リヒテンシュタイン公国
…文化芸術立国、アートコレクションが国家事業
精密機械・国際金融に並ぶ
→タックスヘイブンへの批判、貸出禁止令も出た


3-29. アートの中心地
…イタリア、ローマ、建築・彫刻・絵画
→フランス、パリ、エコール・ド・パリ
モディリアーニ・シャガール・藤田・キスリング
→アメリカ、ニューヨーク、第二次世界大戦、戦火を免れる
ユダヤ人がアメリカへ、ナチスの迫害から逃げる、デュシャン
ドイツは反省からドクメンタを開催


3-30. 古代ギリシャ
…文化・政治的に落ち着いていて古代エジプト美術に対する美術を発明、エーゲ海
→幾何学様式、構成・配置が論理的
→ギリシャ神話が生まれる、アジア・古代エジプトの影響
→パルテノン神殿、ペルシャ撃退で勢いをつけたアテネが守護神として生み出す
屋根の先端を飾ったレリーフをイギリス人が持ち帰って大英博物館に飾って問題になる
→古代ローマ、各地から貢物が届く中で特に好まれたのは古代ギリシャ彫刻、憧れ
→古代ギリシャからアーティストをつれてきて模倣を作らせる
→市民の肖像、肖像権を持っている人間だけが作れる、写実的
年齢相応の姿


3-31. 清の乾隆帝
…漢文化への理解と歴代皇帝というパトロン
→中華民国、中国大陸の支配をめぐる、故宮文物、国立故宮博物院が誕生
→北京と台北、政府の主義を発信


3-32. オランダ独立
…北ネーデルラントがスペインから独立、国際貿易で発展
株式会社が生まれる
→成功した商人がパトロンになる、宗教画より静物画・風景画が好まれる
→異国のモノが描かれる、発注者が貿易の記念で描いた
→メメントモリ、私たちは常に死と隣り合わせ
ドクロ・腐った果物のモチーフ
→ヴァニタス、儚さ・虚しさ、権力・名声・若さはいつか失われるという教訓
→フェルメール、独特の静かさ
自然科学の発展・市民の異国への野望が凝縮して描かれる


3-33. フランス革命
…社会問題との戦い、自由・平等・博愛
→ロマン主義、戦争・社会問題など宗教以外にテーマを求める、ジャーナリズムのよう
→ドラクロワ、抒情的な色彩、素朴さの残る田舎娘風の体で抒情的に描く


3-34. ナポレオン
…フランス革命後のナショナリズム、ルーブル美術館が誕生
自国の作品の流出・劣化を防ぐ、
他国の略奪品、美術史に則って作品を展示
→ワーテルローの戦い、略奪品返還時に展示スタイルが他国に伝わって国際基準となる


3-35. 第一次世界大戦、ナチスドイツの侵略
…プロバガンダとしてのアート、理念にそぐわなければ退廃芸術として弾圧
→ピカソ、ゲルニカ、母国の悲劇を描いて出展、強い閉塞感・絶望感
電灯が描かれ室内だと示される、爆撃への怒りをモノクロで表現
→ホロコースト、ドイツでのユダヤ人虐殺
ユダヤ人というだけで殺された、敗戦と社会不安
→第二次世界大戦、太平洋戦争、日本の侵略、原爆
多くのユダヤ人がアメリカに亡命
→藤田、アッツ島玉砕、作戦記録画
軍の決めたテーマで戦地取材を通して描く
全面が茶色で敵味方の見分けがつかない
→戦後、ヨーロッパは戦争で疲弊
アメリカは経済的・文化的に主導権を握り覇権国家となる、
アメリカには覇権国家にふさわしい文化はなかった
それまでアートの中心はフランス
→アメリカは世界の覇権国家として共産主義と戦う、冷戦の始まり
→ロバのしっぽ事件、フルシチョフがアメリカを訪れた際に抽象画の展覧会を見て『ロバのしっぽで描いたようだ 』と言った
→共産主義者に理解できない抽象主義をアメリカ文化として世界に広めよう、亡命ユダヤ人アーティスト
一神教で偶像崇拝を禁じられていたため抽象主義に傾倒
→アメリカはアートの世界に市場原理を導入
アートの市場を爆発的に拡大させる
それまでアートは一枚一枚の絵に価値が置かれていたため市場が限られていた
シルクスクリーンプリントのような印刷複製品を大量に生産し一般の人たちの需要を喚起
→現代アートは第二次世界大戦後にアメリカで生まれアメリカの覇権とともに進歩


3-36. これとまったく同じ傾向が経済学の世界にも存在
…亡命ユダヤ人学者を中心とした論理実証主義者の科学的見解が人文経済学を駆逐
論理実証主義的・数学的経済学に置き換わった
→新古典派経済学は、一般均衡の理論によって組み立てられている
一般均衡、世の中のすべての財は相互依存関係にあり需要と供給が一致する価格に影響される
→すべては他のすべてに依存する、ということ


3-37. 冷戦終結
…資本主義と社会主義の対立が名目上終わる
→アートの多様化・社会的役割、社会的少数派の表現、注目してほしい
→社会問題解決としてのストリートアート、スラムや貧民街
ドラッグ・殺人・売春
→NGO・ジャーナリストも立ち入らないような場所でもアートによって注目される
→日本、東日本大震災、被災地に住みながら政策・展示
科学への疑問・政治の混乱をテーマに
→ナショナリズムの高まり、トランプ政権・ブレグジット
→SEA、市民との対話・協働から作ったアートによって社会問題解決を目指す
アセンブル、建築を通して貧困・人種問題を解決しようとする
→アートが経済・社会のあらゆる領域から求められるようになる
→アートと経済・社会の距離が近づいて軋轢が生まれる、芸術祭の政治化
アートの専門家以外が芸術監督というチャレンジ
→やっぱ政治の本来あるべき姿は金を出して口を出さない
その分アーティストに責任と自覚が求められる


3-37. アートと科学
…創造のプロセスが驚くほど似ている、創造しようとするものが違うだけ

→想像力・直感・実験・探求・満足・失望
→アーティストも科学者も、これらを繰り返し行うことで何かを生み出していく


3-38. ビジネスの世界にいる人がアートの世界の考え方を身につける
…イノベーションやブレークスルーにつながる
組織の中で自ら考えることができる人が育つ
→極めて現実的・几帳面・保守的な人がクリエイティブになることはなかなか難しい
→クリエイティビティはオープンマインド・実験・美学・アイデアといった要素と深く関係
アーティスト・起業家・科学者は似ている


3-39. アートと科学は相反するものと考えられている
…アートは感情・表現がテーマ、科学はデータ・現実がテーマ
→歴史を振り返ると密接な関係がわかる
ルネサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチ
→19 世紀末になると、アートも科学も形式化・専門化
→形式化・専門化が進むにつれ、両者の間に亀裂が生じて共存できないほどになった


3-40. 科学はデータドリブンで言葉・数学的な道具を使って問題を解決する分野と思われがち
→科学者は取り組む前に、それがどのような形になるかを頭の中で見ている
→アートに関わることで、さまざまな「見え方」を学ぶことができる
→本業や専門分野と無関係なところにエネルギーを注ぐのは一見ピント外れかもしれないが、そうすることでさまざまな知識やスキルを身につけることができる可能性


3-41. 『知識よりも想像力が大切、知識には限界があるが想像力は世界を包含する、それは進歩を促し、進化を引き起こす』
アルベルト・アインシュタイン


3-42. 与えられた課題に対して与えられた報酬のために仕事をしがち
…人間じゃなくてもできることが多くなってきた
→経済・社会を自分ごととして捉えて人間にしかできないことを仕事とする必要性
→知識があってこれを活かして思考・判断・表現を一貫してできる必要性
→アートを学ぶ、自分ごとで考えを突き詰めていくこと


3-43. ビジョン・アイデアが浮かぶ
…具現化するための思考をめぐらせる、リサーチをする
→表現をする、表現のために人々と協働する
→どう表現をするかではなく何を表現するかが重要になる
技術よりも考え方の方が重要


3-44. ものの見方のシフト
…主観・感情を排除して事実だけを切り取れること
ノイズの少ないインプット
→アウトプット、脳内のどの感覚を使って表現すればいいのかを考える


3-45. デッサンで重要なこと
…技術を習得することではなく観察力を高めること


3-46. 表現
❶expression、自分を絞り出す
❷representation、対象を見て置き換えて示す


3-47. テクノロジーによって手作業はなくなるのか?
…突き抜けるレベルであれば無くならない、テクノロジーと共に発展していける
→役割で考える、~としての手作業はなくなる、~としての手作業は必要


3-48. AI
…ルールの中でやる作業は人間より速い
→アートにおいては結果は人間が判断するだけなのでプロセスがブラックボックスでも問題ない
→人間がやるのはルールを作ること
AI がルールを作ることはできない可能性
ルールを作ることは新しい意識を与えること
→人間は構築された対象の部分部分を個別に認識・記憶するのではなく
全体をゲシュタルト化して認識しクオリアを記憶する
クオリアから紡ぎ出して取り出す
こうした動きは AI では無駄であり避けるべきこと
→人間は特殊的なものを中心に記憶する
AI は一般的なものを中心に記憶する
→新しいものを期待するより過去のものから最適なものをピックアップすることが多い
過去で生産されたメインストリーム・現在で生産されたニッチの最適解探し


3-49. ヨーロッパ文化を支えたもの
…個々に依拠した膨大な量の正確な推敲力
→人間の能力を超えたコンピューターの存在でヨーロッパ的な自我の強調から解放される可能性


4. センス 8項目

4-1. センス
…数値化できない事象を最適化すること
→まず普通を知ることが必要
普通だけがセンスの良い悪いを測ることができる

→センスがあるとは普通と良いもの悪いものを知った上で一番真ん中がわかるということ
大多数の意見を知っていることではない、常識的であることでもない
→センスとは知識の集積
一発勝負であれば知識がなくても勝てるかもしれないが、
長期的に続く勝負では最後に勝つのは知識がある人、無知は長期的に損失
→知識は紙、センスは絵、紙が大きいほど描ける絵の可能性は広がる
→何が価値でどうすればその価値が保てるのかという知識がなければマニュアル通り


4-2. 流行っている=センスがいいではない
…自分の個性・状況にあっていなければセンスがいいとはならない
→流行りの上部だけを真似た結果は中途半端に変わったものとなるため
周囲に受け入れてもらえず長続きしない


4-3. 人間が生理的・原始的に求めてしまうもの
…絵を描く・歌う・身体を動かす
→なんとなくの基準でおかしいと言われて楽しくなくなる人がほとんど
大人になるにつれこの傾向が強くなる
→センスとは実技だけではない、無邪気に楽しむことは子供ではない
→知識を学びながら実技もしていく必要
実技の上手い下手で判断することだけが優れていることの判断にはならない、知識が足りないだけの可能性もある
→知識が欠落するとコンプレックスを抱くようになる


4-4. 仕事がアウトプットであれば視覚に左右される
…どんなにいい仕事でも便利なものでも視覚のコントロールができていなければ響かない
→そのブランド力を高めることができるのはセンス
→色々なことに気がつく几帳面さ・人が見ているないところに気がつく観察力が必要
→簡単なことを重要だと認識して日々実践してそれを繰り返すことが難しい、能力がないとかそういう問題ではない


4-5. 企業価値を最大化する方法の一つにセンスが挙げられる
…企業の存続もかかっている可能性
同じ能力を持つ人・企業であればセンスが違いを生んで利潤になる
→技術がピークを迎えるとセンスの時代がやってくる
センスのいい新しいものが広がるには時間がかかる
→ユーザーに徹底的に気持ちよさを提供しようというセンスが必要
マーケティングをしても意味がない
→唯一してもいいマーケティングとはどのモノ・サービスがいいか一瞬で選ぶ感覚的なやり方、論理的思考が入らないやり方
→マーケティングに頼ると自分は何がいいと思って何が作りたいか自分の頭で考えなくなる
マーケティングで決めたとなると責任の所在が曖昧になる
→企業がセンスを磨いて企業独自の美意識が作られればブレークスルーが生まれる


4-6. ひらめきを待たない
…誰も見たことがないものをひらめくのを待つのは時間の無駄
→まずは誰でも見たことがあるものという知識を蓄えることが必要
❶誰も見たことがなくて驚くヒット企画、1%
❷誰も見たことがなくてもあまり驚かない売れない企画、15%
❸誰も見たことがなくてあまり驚かないけど売れる企画、20%
❹誰も見たことがなくて驚くけど売れない企画、64%
→まずは❹に目をむける、経済・社会に求められていない
→過去に存在していたものを知識として蓄えることが新しいものを生み出すのに必要
イノベーションとは知識と知識の掛け合わせ、1と2 をくっつけて3を生み出す
→驚きの裏には恐怖も潜んでいる、先進的すぎるものにはついていけない
新しいものに接した時は過去の知識に照らし合わせて考えるのが自然
→ありそうでなかったものこそが❶


4-7. 知識の増やし方
❶王道を知る、定番・ロングセラー
すでに最適化されているもの、意外と知るのは難しい
売れたものか?高いものか?使いやすいものか?
→王道とは何かを考えていくと王道とは言えないものとたくさん出会う
王道を見つけた時には幅広い知識を得ている

❷流行りを知る、王道の逆
一過性のものだが知識の幅を一気に広げることができる

❸共通項・一定のルールがないかを考える
自分の❶❷についての知識を分析・解釈

→デザインはざっくり色・文字・写真・絵・形に注目する
→センスで判断する
センスが悪いと言われるかもという不安がある人は多数決しかできない
→好き嫌いでものを見るとセンスが磨かれない
不勉強と思い込みでセンスが磨かれない
誰がどんな時にどんな場所で好きになるのかを深掘りする
→たとえ狭くても得意分野で豊富な知識を持っている人は、
全ての事象を自分の得意分野と繋げて考えることができる
→感受性・好奇心がなければ知識は蓄えられない、発想の制限をしない
→年上の人を誘って飲むことができればたくさん吸収することができる


4-8. 感覚的にこれがいいは言ってはいけない
…感覚とは知識の集合体、感想を漠然とさせるのではなく言語化する
言語化できないアウトプットは他人の知識と共鳴しない
→どのレベルで話がしたいか
❶福澤諭吉ってすごいよね
❷福沢諭吉って慶應義塾大学を作ってすごいよね
❸福沢諭吉って戦いで日本を変えようという動きがある中で、
 次の時代には学問が必要になると言って慶應義塾大学を作ってすごいよね


おわりに

ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
修正の際は、番号を指定して、フォーマットをなんとなく合わせていただけると助かります。


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