自分の人生にもう嘘はつかない
自分の人生に嘘をつくのは、もうやめよう。
そう思い始めたのは、トラウマ治療が終わって数ヶ月が経った頃だった。
これまでの私の人生は、自分に起きた性暴力被害を『なかったこと』にして生きることだった。
加害者たちの前でも何事もなかったように振る舞い、笑い、奴らの嘲笑にも耐え、両親の前では良い子を演じてきた。
そんな生き方をずっとしてきたものだから、本当の自分と嘘をついている自分との区別がつかなくなっていた。だけどそれは私を苦しめ続けた。
4月に治療を受けてすごく楽に生活できるようにはなったけど、時々息をするのも苦しい時がある。治療でも消えなかったのは「早くこの人生が終わればいいのに。」という思い。
こんな思い、本当は背負いたくなかった。
私も怯えることなく、誰かを愛せる人間でいたかった。
「自分の人生にそんなことなんてなかった。」と嘘をつき続けることにほとほと疲れてしまった私は、ある決断をした。
もう自分の人生に嘘はつかないために。
なかったことにしておけば、生きやすいこともあっただろう。私さえ我慢して笑っていれば、みんなハッピーだったかもしれない。だけどもう愛想笑いも嘘もやめることにした。
加害者の幸せのために、私が我慢をして嘘をつくのはうんざりなんだ。
そう決断して、それを口にした時、心がすーっと軽くなった。
世の中には「家族が一番大事。仲良し!」と言っている人が多いし、SNSでもそんな投稿が溢れている。実際そうなんだろうなとも思う。だが、家族が足枷になって動けない人もこの世の中にはたくさんいる。
『性暴力は関係性の病である。』という一文をある本で読んで、すごく納得したことがある。
性暴力は全く知らない人から加害されると思われがちだが、実際は顔見知りからの被害の方が多い。
私もその1人だ。
だからこそ言えなかった。
逃げられなかった。
これからの人生は、自分に正直に生きる。
この命が尽きるまで。
誰からも守られなかった、人間としての尊厳を自分で守る。
そのために私は自分自身に正直でありたい。
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