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ゲームを考察してくれる精神科医【観察眼と考察がすごい】

考察しがいのありそうなゲームなのに……!

突然ですが、「Neverending Nightmares」というゲームをご存知でしょうか?

タイトルを直訳すると「終わらない悪夢」です。

強迫性障害とうつ病に苦しんだ制作者さんが、自身が見た夢を再現したゲームとのこと。

プレーヤーは主人公(?)の少年を操作し、イラスト調の夢の中を進んでいきます。

妹を探しているようですが、果たして妹は見つかるのか……。

似たような場面が少しずつ変化しながら繰り返されたり、先へ進むほどぼろぼろになっていったりと、「ああ、なんかこういう夢見るな」と思わせられるシーンにも出会います。

多くのYouTuberさんが実況してもいますね。

私も数年前、よく観ているYouTuberさんの動画でこのゲームの存在を知りました。

けれど、その時は考察が不十分だったというか……。

夢の中なので、夢占いが役に立つのかなと考えたりもしたのですが、腑に落ちる考察がないまま実況が終わってしまっていました。

その人たちは「妹を探す」と紹介していたけれど……。本当にそれだけ?

釈然としない気持ちが残っていました。

考察したい人に絶対おすすめしたい動画「ゲームさんぽ」

まったくの偶然だと思いますが、YouTubeのおすすめに素晴らしい動画が上がってきたんです!

それがこちら。

こちらは「ライブドアニュース」さんのチャンネルに上がっている、「ゲームさんぽ」というコーナーの動画です。

精神科医の名越先生という方が、「Neverending Nightmares」を分析し、どういう象徴が隠されているのかを詳しく解説してくれています。

もうね、すごいです。

分かりたいけど、自分ではどう分析して良いのか分からなかったこと。

それらが進んでいく場面に応じて語られていき、夢の世界観から、主人公が抱える複雑な家庭環境まで、すべて筋の通った考察を聞くことができます。

さらには名越先生の分析のもとになった「フロイトの夢分析」「エディプスコンプレックス」そしてそのもとになったオイディプス王の話まで、骨組みの断片を示してくださってもいるのです。

だから考察の土台にある理論について知りたかったら、何を調べたら良いかまで分かる。

深堀りのヒントまで与えてくれています。

不気味さの理由

このゲーム、絵のタッチはイラスト調ですが、実はけっこうグロテスク。

モノクロの絵の中で、重要なアイテムと流血だけが鮮やかな色をしているので、余計に目に飛び込んでくるのです。

しかも、場面によっては不気味な怪物に追われたり、暗闇を移動しなければならなかったりして、えもいわれぬ恐怖に襲われます。

しかし、ここは夢の中。

名越先生の解説がついていると、恐怖にも意味と理由があることがよく分かるようになります。

「表現するのが難しい、未知の恐怖」が、「理由と意味が分かる恐怖」に変わるのです。

怖いことには変わりがないけもしれないけれど……。

理由がわかるようになるだけで、多少は恐怖感がやわらぎます。

そして、意味が分かることで、すっきりもします。

名越先生の柔らかな語り口

名越先生、ハスキーな声の関西人です。

これは完全に私の先入観ですが、関西圏の人って前に出てくるイメージがあります。(気を悪くした方がいたらすみません)

語調が強いというか、声が大きくておしゃべりというか。

ある意味、そっちの方が世界標準です。

コミュニケーション能力が高く、人との交流をはかりやすいフレンドリーな人といえるでしょう。

日本人が慎ましすぎるだけなのかもしれません。

とはいえ私は声の大きい人が苦手なので、関西弁でまくしたてるタイプの人を苦手に感じてしまいます。

それで名越先生が関西弁の片鱗を見せた時、「うっ」と心の壁を感じました。

でも、それも一瞬のこと。

名越先生の解説を聞くうちに、「この人は人の話をちゃんと聞いてくれるタイプの人だ」と気付いたのです。

関西弁だけど、語り口が柔らかい。

声の丸さとでも言えば良いでしょうか。

だから解説がスッと心に入ってくるし、決して押しつけがましくないのです。

また、「僕はこういう先入観を持っている」「僕は、こう分析する」という話し方も特徴的。

主語が「僕は」と明確になっていることによって、これは名越先生のものの見方であり、絶対に正しいわけでも、従わなければならないわけでもないという受け取り方ができます。

これも、声の丸さを感じる理由のひとつかもしれません。

先入観は使いよう

動画の中で名越先生は、「自分が先入観を持っている、という自覚が大事」と語っておられます。

私はこれを、「自覚なく先入観を持っていると、それが自分にとって絶対のイメージになってしまうから」……だと受け取りました。

「これは先入観である」という自覚ができていれば、相手が自分の持つイメージと違う行動をとった時にも、失望せずに済みます。

ただ「私のイメージが間違っていたんだな」で終わりますから。

イメージを改めれば良いだけのことです。

一般的に、先入観は悪いものと思われています。

けれど名越先生は、先入観を持って良い! と全面的に肯定していました。

非常に印象的な場面です。

ただし大切なのは、先入観を持っていると自覚しておくこと。

思わず手帳にメモした一言です。

優しくてためになるアドバイス満載!アフタートーク

名越先生による「Neverending Nightmares」の解説動画は、全4本に分かれています。

もちろん全部観てほしいのですが、私が特におすすめしたいのは4本目。

実は、ゲームの解説は3本目で終わります。

4本目は、会場にいる参加者が名越先生にあれこれ質問する風景を記録したものなのです。

どの質問も深い上に、名越先生の柔らかい語り口で、スッと心に入るお答えが聞けます。

どの質問が「心に入る」ものかは、見る人によって変わるでしょう。

私は最初の質問者さんの「うつ抜け」の質問に、特に感銘を受けました。

みなさんはどこに心を動かされますか?

知識があると、ゲームはもっと面白い!

「Neverending Nightmares」をきっかけに、名越先生というすごい人に出会いました。

著書がいくつもあるそうなので、これから読んでいきたいと思っています。

同時に、名越先生自身もYouTubeチャンネルをお持ちです。

ゲームの解説から、心理学系の話、メルマガや会員制コンテンツまで、幅広いものが用意されていそう。

私が特に感銘を受けたのは、名越先生によるゲームキャラクターの解説です。

名越先生は宗教や体癖のことにも造詣が深そうで、ありとあらゆる知識を総動員して、キャラクターの人相や仕草を読み解いておられます。

この解説が、ものすごく勉強になる!

私は小説のキャラメイキングに活かそうと思って、教材代わりに動画を見ています(^_^)

人によっては、職場の人を理解するのに役立ったり、興味関心を広げるのに役立ったり……いろいろお役立ちポイントが変わってくることでしょう。

手持ちの知識が多いと、世界はもっと面白い風に見えるのか……。という事実が、はっきりと理解できる動画たちです。

ご興味の出た方は、ぜひ調べてみてください(^_^)

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