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読みかけ日記 「空をゆく巨人」川内有緒

 蔡國強さんというアーティスト。名前だけは知っていました。

 作品の紹介も少しは見たことがあるような気がします。ただ、ちょっと以前に(ご本人には何の責任もないのですが)気になることがあって、どちらかというと敬遠しがちなアーティストさんでした。

 この本を読んで、これまで歩んで来られた道と作品を知り、やはり世界的なアーティストとなる方の構想のスケールの大きさを知り、それを生み出す根の強さを感じ、作品を実際に見てみたいなあと思うようになりました。

 そこに関わる志賀忠重さんという方の別の形のスケールの大きさ、行動力。器が大きいというのはこういう人のことを言うのかなと思いました。

 本の最初の方で、生まれ変わったら冒険家になりたいと言った川内さんに「一歩を踏み出したら、それが冒険なんでねえの?川内さんはもう冒険してんだよ」という言葉。会ったことも声を聞いたこともない志賀さんの声や語り口が聞こえてきそうなその文章にすごく惹かれました。

 その言葉「勇気を持って一歩踏み出したら、それが冒険」が最後の方になってまた出てくる。

 蔡さんと志賀さんの物語ではあるけれど、そこに関わる人、そして本を読む私自身にも、それぞれの人がそれぞれの場で勇気を持って一歩を踏み出せばそれが冒険になる...。

 桃源郷は誰かが与えてくれるものでも、どこかにあるものでもなく、自分の人生の中でその世界を切り開くしかない。「そうやって美しいもののほうに一歩踏み出した人間のなかにこそ、桃源郷は宿るのかもしれない。」

 何かをすれば、そのことでまた次の「こうしたい」が生まれてくる。その積み重ねをどこかで振り返った時にいつのまにか自分の中の桃源郷ができているのかもしれないですね。

 さあ、自分はどこに向けて一歩を踏み出すかな。

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