邪な思いから読み始めてすみませんでした
『妻の愛した君へ』
ぬぬ、不倫ネタか?
間男に対するソレか?
邪すぎる気持ちでリンクを触った。
墨汁で塗りつぶしてしまいたくなるほど醜い己の心に、数年前旅立った愛犬を思い出した。
思い出したっていうと、ずっと忘れていたみたいに思える。悲しい。
私にも昔、家族の中でも1番家族だった家族を見送ったことがある。
私が小学2年生の時に家族になった子だ。
「チョコレート色だからチョコね」
という安直The安直な母のネーミングセンスにより、チョコと名付けられたそいつは、柴犬だった。
父のお客さんだか親戚だか、どっちだか忘れたけどそういうつながりから我が家へやってきた。
血統書がついてたけど、幼い私にそんなものはなんの意味もない。
ただただ、可愛い可愛い犬畜生だった。
思い出はいくつもあるけど今はめんどくさいので割愛する。
彼女はとても聡明な犬だった。
家族の間で、お嬢様犬とよくからかった。
おやつにしろ、おかずのおすそ分けにしろ、彼女は自分の口に入るサイズにしてもらえるまで、じっと家族の目を見つめた。
大きいままでは決して食べなかった。
このやろう。
と、思いつつ、みんな癒された。
柴犬によくある認知症、彼女はそれになった。
死ぬ前の数ヶ月、彼女は目も見えず鼻も利かず、ほとんど寝て過ごした。
ごはんは流動食1歩手前の、柔らかいウェットフードを、母が口元に持っていくと気が付いて、無我夢中で貪った。
彼女が旅立つ日の数日前、私は結婚を前提にお付き合いしていた彼を、実家に連れていこうとした。
なのに、なぜかささいなことでケンカになって、私は「もうこんな家二度と来ない!!」とタンカを切って出ていった。
その数日後だった。
父からメールがきた。
「チョコさんが亡くなりました。帰ってきてください。」
私は大阪にいた。
タンカを切ったことなんか1ミリも頭に浮かばず、真っ直ぐ実家へ帰った。
帰るとそこには、父が手作りした棺桶?らしき木の箱に、彼女は横たわっていた。
私は泣いた。
わんわん泣いた。
犬だけに。
いやそんな冗談よくこの流れて書けたな私。
どれくらい泣いたのかわからない。
食事中だった(ケンカ相手の)母が見かねて、「ごはん食べな」って声をかけてきた。
私はそれでも、しばらく泣いた。
きっと彼女が死ななかったら、私は帰ってこれなかった。
いやそんなことないだろうけど、タイミングを逃していつまでもどうしていいかわからないまま時間だけが過ぎていったと思う。
彼女は本当に聡明な犬だった。
多分あの子は、人の言ってることだとか、家族のやりとりを、いろいろわかっていたんだと思う。
私はまだ子どもで、大した世話もせず、家族ぶっていた。
それでも、彼女のおかげで、私は家族と繋がれた。
彼女によって家族でいられた。
なんてやつだ。
母は未だに、彼女の話をしたり、テレビでかわいそうなシーンを見る度に、涙ぐむ。
「ちょーちゃんみたいだねぇ。」
「ちょーちゃんはこうだったよねぇ。」
『ぼくのワンダフルライフ』の主人公ベイリーみたいなことは、あるんだろうか。
ひょっとして今そばに居る愛猫2匹のどちらか、特に黒い方は、もしかするともしかするんだろうか。
猫のくせに呼べばくるし。
口綺麗だし。
なんかちょっとおたかくとまってるとこあるし。
輪廻転生とか、異世界転生とか、アニメでも映画でもYouTubeでもいろいろ言われてるくらいだから、きっと本当にそういうことってあるんだろうな。
どちらにせよ、犬だろうと猫だろうと私は好きだ。
人は人による。
以上。
邪な気持ちで読み始めてすみませんでした!
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