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【ガチ恋粘着獣】ガチ恋粘着ヤバ女と行く! 明智小夜のここが可愛いツアー

※ツアーではないです。

どうも、現役“獣”の者です。
今回は漫画作品『ガチ恋粘着獣』の、特に先日最終を迎えたばかりの『ギンガ編』のその”獣”が一人、明智小夜の話をしたいと思います。

原作履修向けか原作未読にも向けているのかいまいち決めかねたまま勢いで筆を執っています(多少以上のネタバレは含みつつ)。

ここでいう”獣”というのは『ガチ恋粘着獣』を読んでいると何となく理解してくる概念で、その様まさに獣と形容するにふさわしくなるほどガチ恋に落ちた人を呼ぶようなやつです。ガチ獣人ではない。ケモナーすまん

わたしは明智小夜が好きすぎるので、小夜寄りすぎて筆が滑ってたら突っ込んでほしいです既読諸氏。


・明智小夜という女

『ガチ恋粘着獣』(以下ガ粘)は動画配信(実写)グループの三人組『COSMIC』のそれぞれのメンバーとそのガチ恋を中心としたお話です。

※これから書く内容で誤解を招きそうなので先にことわると、『COSMIC』のメインコンテンツは仲良しイツメンがキャッキャと作る面白動画です。

記事タイトルにある明智小夜は、そんなCOSMICの中で三番目にクローズアップされたメンバー『ギンガ』こと劍隆文のガチ恋獣ヒロインの一人です。
……そう、つまり物語の三番目の大エピソードに出てくる。最初より捻ったキャラがお出しされる頃合いです。
実際彼女はイメージしやすいタイプの『ガチ恋』の姿とは、あまり重ならない人物像をしています。

・マウント欲が“無”の女

イメージしやすい『ガチ恋』の姿には、マウントを取る姿も含まれるのではないかと思います。ちょっとした知識でもなんでも。わたしもそう(ごめん)。
ガ粘のこれまでの獣たちも、推しとの連絡先の繋がりが出来たり、個人的な関係性が結ばれたりすると、内心にせよSNSにしろマウントを取る姿が描かれてきています。

明智小夜は無。マジで“無”
小夜は“獣”としての行動の先で推しである隆文ギンガの動画に出ることになるのですが、その際の言動が以下。

  • 推しギンガの動画に出たことをSNSで匂わせもしない

  • というか自分がネットの玩具になったことにすら興味がない

  • 動画に出た後、SNSにて推しギンガの服のブランドがわからずFF外リプで教わるときも普通にお礼言って終わり(これは普通だが一応)

  • 動画撮影時、お腹を空かせた推しギンガに食事を用意しようとして恋敵に「抜け駆けを止めろ」と言われると、すぐに「一緒に作る?」と提案する

全体的に自分と誰かを比べる場面が極端に少ない。
比べたり、マウントのような思考になったのは確か二度ほど。
ただのリスナーである自分と配信者同士として関われている恋敵を比べて「いいな」と思う場面と、小夜に与えられたとある『特別』がひっぺがされて発狂していた場面。

手を差し伸べもしない人間が私と同じものを享受しないで

ガチ恋粘着獣 9巻/星来

・下手したら初登場時速やかに死んでいた女

生身初登場時、明智小夜は推しの実家凸を敢行する頭のネジが飛んだヤバいガチ恋少女として読者の目に飛び込んできました。
推しギンガの母親に彼女を自称し、お茶しながら「あの人頑張ってるんですよ」なんて話をしているトンデモガールである。……返す返すもこのご実家での振る舞いは普通に激ヤバ……収容簡単だけど一応Euclidにされるレベル(SCPジョーク)。

閑話休題。
実は彼女の推しのギンガには過去に『過激な動画による伸び』の経緯があり、そして直前には再生数の伸び悩みで所謂『病み配信』をしています。

初登場時の明智小夜は過去の過激動画で飛び降り未遂をしたファンをなぞり提案します。

「今度は本当に飛び降りてみましょうか?」

ガチ恋粘着獣 7巻/星来

これ、わたしも初見のときは「やべーこと言うやつ出てきたな」くらいに軽く読み流していたのですが、読み進めれば読み進めるほど大マジ。少なくとも隆文ギンガがやれって言ったらマジで死んでた。怖い。

ただ、まあこれ言うのもなんだけど気持ちはわかる。
わたしが好きだった人間も伸び悩んでずっと懊悩していたので。ずっと困った様子ばかり見せつけられていたら自分にできることを探してしまう気持ちはガチ恋ならままあることかと思う。

・本当に役に立てればそこで終わっていいと思っていた女

というか、役にすら立てず嫌われてもいいと思って推しギンガの手札になりに行った女

明智小夜にも彼とお付き合いできたら、といったよくある恋の欲求がないわけではないです。
今後も役に立ちたい。寵愛を受けたい。そういう欲望も大い出て参りますし、見放されて傷ついて後悔したりもします。

しかし最初の一歩、彼女は動画素材として使い捨てられるために隆文ギンガに接触して……
というか、使い捨ててもらえるかどうかすら最初から隆文ギンガに委ねています。
(そうした経緯に挟まる実家凸がヤバすぎてここは印象に残っていない読者もいると思う……)

隆文ギンガに手渡したメモから連絡が来た際のモノローグはこうです。

…正直 来て欲しくなかった

だって 私に頼るほど追い詰められていると言う事 ああ

ガチ恋粘着獣 8巻/星来

バイトを増やしてお金を貯めないと都心のイベントに参戦できない地方女子大生が都内まで凸しに行った後のモノローグだとわかってくると、何かじわじわ来る湿っぽい何かがあります。

第一に、明智小夜がした実家凸はヤバいにもほどがある迷惑行為です。
しかし第二に、行動原理の芯は献身であり、ささげた身を充分に使ってもらえもしないことすら織り込んでの行為なのです。
頭ぶっちぎれてて可愛いですね

・頑強な理性を持つ獣

凸する獣に理性とか……と思われるかもしれませんが、頭のネジがすっとんでいるか否かと理性の有無はまた別軸なんじゃないかと思います。
(あ、物理での手は早いです。すげえ、貶められて秒で飛び掛かる。一切躊躇わねえ)

明智小夜は推しギンガから動画の出演料を渡される際、お金は嬉しくないから別のものでいただけないかと頼み、『名前(本名)を呼んでほしい』という要求に交換しています。
……なのですが、欲張りすぎかもしれないと躊躇い、イライラしてきた隆文ギンガ抱き寄せられ、耳元で名前を囁かれています。

このいくらなんでもライン越えにもほどがあるファンサービスを食らわされたところから、『線が一本ぶっちぎれているが推しへの欲求は抑えることができる獣』という小夜の特徴が壊れ始めます。

壊れはじめ、会いたくて堪らなくなってしまった明智小夜は、隆文ギンガがゲストで呼ばれるかもしれないイベントに応募します。
……ん? それだけヤバい獣なら家凸しないのか?
家も在宅時間もだいたい特定できて理由があれば突撃するヤバさと、理由もなく訪ねたりはしない理性を併せ持つ獣としての半端さが小夜の可愛さです。

結局、“理由”を得た小夜は二度目の家凸に乗り出し、そこで自分の行動が如何に推しギンガを裏切っていたかを思い知ることになります。

――そして、すべてが破綻した後。明智小夜は罪も喪失も一人で抱えて、愛する人の配信をこっそり見ることすら自らに禁じました。
経緯の途中で『お礼以上のときめきをくれた』中途半端な対応(耳元やら)について怒ってぶつかることはありましたが、「だから責任を取ってこれからも優しくしろ」だのと迫ることもなく。
降りる介錯こそされても、あとは自分の責任で決めて。

(理性って言い回しと少し離れてるけど自分を抑える理性の話をしたつもりです)

・強い女

明智小夜は推しギンガには従順ですが、基本的に強い女の子です。
まず身長180cmあってフィジカルが強い。成人男性と割と互角に喧嘩する。成人男性に酒ぶっかけられてぶん殴られた次の瞬間には足を振り上げている女(でも相手の表情を目に留めて蹴りを止める)。

そして、メンタルも強い。
潔さと忠誠心、そしてメンタルの強さからTwitter(Twitter)で武士と呼ばれるだけの精神性の持ち主です。

  • ギンガを裏切り失望させたことを知って同時に通報されてパトカー乗っても寝込んだり泣き暮らしたりすることもなく、自分の足で大学の休学届や接触禁止の誓約書を出しに行く

  • 帰っていた実家が晒しに遭い、ギンガ以外の配信者のガチ恋に突撃されても冷静に対処する

  • 自分の恋についてネットで『鞍替え』を捏造されれば、相手が人気配信者だろうが自分で反撃に出る

  • ↑そうやって愚弄されても相手の恋心を衆目に晒すことはなく、捏造して利用したことだけ謝らせようとする

  • ほどなく一人暮らしのアパートに戻りバイトにも復帰する

ギンガ編の前章であるコスモ編のヒロイン・花織琴乃がお相手に激怒され断絶した際の状況が『寝込んでバイトも無断欠勤してスマホの充電も切れたままになる』だった分、比較すると強すぎてよくわからなくなってきますね。

……でも、小夜が琴ちゃんと比べて痛くなかったかというと、それは違うと思うのですよね。どれだけ痛くても歩けるだけ。

・でも、浅はかな小娘

ここまではわたしが思う明智小夜の健気でキレてて可愛いところや、厄介ガチ恋獣として意外性を感じてもらえそうなところを中心に取り上げましたが、明智小夜にも『ただの厄介じゃねーか』の面はあります。

まず、隆文ギンガの手札になるための凸をきめる件より前、隆文ギンガの妹のFBSNSに絡んでいたこと。
推察できる内容的にも、擁護できる点がねえただの迷惑絡みです。
(そこにここまでちょいちょい突っ込んでた実家凸が加わる)

次に、配信に載ってる状態なのに憶測で話してしまい、余計に隆文ギンガに迷惑を掛けたこと。
こちらはただただ、事実関係のないことをうっかり言われたらかなわんやつです……。

この辺に関してはわたしの感覚だとカワイーとは言い難し……苦い顔なります。
追記:あと書き忘れてたけど本名(周知だが公表はしてない)下の名前呼びも結~構馴れ馴れしい。
更に追:まあ、小夜からしたらその日その時『好き』に陥ったのは“劍隆文中の人”なのですけど。

・どこまでも数字の1

さて、本編に生身で出る前までの明智小夜の話をしていませんでした。
彼女はリスナーを『数字』と呼ぶギンガの応援を五年くらいはしているファンでした。

目立つコメントをすることもなく、ガチ恋アピールをすることもなく、ただただ力になれるように、ひとつでも数字を増やした状態であれるように。

小夜は年単位でコメントし続けてSNSアカウントでも応援しながらも、エゴサ厨のギンガに年齢すら悟らせていなかったほど数字に徹していました。

小夜自身、自分が――624498_gがギンガに覚えられているなんて、夢にも思っていないくらい。

自分を抑えて応援に徹していられる強さは、何かと自分が出まくるわたしからするとあまりに眩しい。

・明智小夜、かわいいね

改めて『ギンガ隆文のことが好きな明智小夜』について書き出してみましたが、やっぱりこの娘がとても愛おしいです。

明智小夜の恋は、間違いだらけで、今後報われるなんてありえなくて、愛した相手が大切にしていたものを壊してしまった悲しい恋でした。
改めてのごめんなさいすら伝えることができない断絶です。

それでも自分で本当に全部終わりと決めて『こっそり見る』すら手放した潔さと気高さが悲しいばかりのものじゃないといいな、と思うのです。

大好きよ、小夜。



あ、筆者のガチ恋粘着ヤバ女で現役“獣”感全然ないな。
かといってここで自語り始めるのも微妙なので、次記事で載せます。

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