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3月20日の「死」に向け注目度急上昇!| 「100日後に死ぬワニ」を生んだ クリエイターの原点

昨年12月にTwitterで公開するやいなや、最も注目される漫画のひとつとなった「100日後に死ぬワニ」。ヒットの裏にはどんな思いがあるのか…
3月20日のラストを目前に控える今、作者のきくちゆうきが大事にしているクリエイター魂に迫った。

──「100日後に死ぬワニ」が大きな反響を呼んでいます。どんなアイデアから作品のコンセプトは生まれたんですか?

二十歳のときに友人を事故で亡くしたのですが、自分に何かできることがあったかもしれないと考えることがあります。今までの経験があったからこそ「100日後に死ぬワニ」のコンセプトが生まれました。誰もがいつかは終わりを迎えますが、その終わりが来ることを意識したら、日々の行動も良いものにしようとするはずです。大事なのは終わりまでの長さではなく密度。最期を迎えるときに「あのとき、ああしていれば」という後悔がないようにしたい。「100日後に死ぬワニ」は、誰が読んでも自分を見つめ直すきっかけになる作品になったらいいなと思っています。

連載中の「どうぶつーズ」という作品も、毎回テーマは違いますが同じように伝えたいことを込めています。でも、コメディ要素が強い作品なのでメッセージが届いていない部分もあったと思います。「100日後に死ぬワニ」ではキャラクターの絵柄もすぐに浸透するようなものにして、メッセージが伝わりやすくなるようにしました。

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──これほどの注目を集めている要因はどんなことが考えられますか?

シンプルですが、多くの人に共通するテーマを扱っているからでしょうか。「恋愛」「友人」「仕事」「季節」。日常を舞台にしながら、誰にでも起こり得る「死」を前提にしているので、より共感性が高まるのかなと。毎日、公開するたびにいろいろな意見を目にしますが、どれもコメントしているみなさんに跳ね返るものばかりだと思います。例えば「早く告白して!」「もっと行動して!」という言葉は、同じことがその人自身にもいえるかもしれない。つまり、ワニを見て自分を変えるきっかけになる。「『100日後に死ぬワニ』がきっかけで、しばらく連絡を取ってなかった友達から連絡が来た」というコメントがあって、すごくうれしい気持ちになりました。人と人がつながる、その間に自分の作品があるということはクリエイターとしても大きな喜びです。

毎日いろんな考察も飛び交っていて、自分には思いもつかないような状況や展開を想像している人もたくさんいて面白いですね。ただ、公開した当初からラストは決めていて、それは今も変わっていません。最後がどうなるのか気になると思うのですが、僕自身は終わり方をそれほど重要視していません。ストーリーがどうなるかよりも、何を感じてもらえるかのほうが大事だと思っています。

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──この数カ月できくちさんを取り巻く環境も大きく変わったと思います。今後の展開はどのように考えていますか?

まずは「100日後に死ぬワニ」をきちんと終わらせて、次の作品に向かっていきます。終わりに向かってどう進んでいくかは言えませんが、作品としては必ず区切りを迎えます。今後は活動の幅も広がると思います。数カ月で、今までに経験したことがない世界、「嘘でしょ!」みたいな状況が突然目の前に広がりました。それを僕自身の視点を通して作品として見せることができたら面白いでしょうし、興味を持ってもらえると思います。作品に落とし込む構想もあるので、早く着手したいですね。

クリエイターの中には、一方通行で「作品を見てくれ!」という方もいますが、僕は見て考えてもらって、その人が何か行動を起こしてくれることに喜びを感じます。今後イベントを開催する際にはたくさんの人に足を運んでほしいですし、言葉も交わしたいと思っています。「100日後に死ぬワニ」を発表する前に抱いていた「やるからには、もっと上を目指さなければ」という思いを、さらに強く感じています。僕の今後の活動に期待していてください!


■PROFILE■
イラストレーター
きくちゆうき

1986年生まれ。イラストレーター。幼少期から絵を描くことが好きで、自分の絵を人が楽しんでくれることに喜びを感じるようになる。二十歳のときに大切な友人を事故で亡くしたことで「自分に何ができるだろうか」と考え、本格的に絵を描くようになる。27歳でイラストレーターとして独立。現在はリイド社のリイドカフェで漫画「SUPERどうぶつーズ」(2016年9月~)、幻冬舎plusで「どうぶつーズの漫画」(2015年3月~)を連載中。漫画、イラスト、アニメ、紙に描いていたキャラクターたちが意思を持ち、想いを放ち、人に影響を与える。そんな存在感のあるキャラクターや作品を作ることが目標。


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<発行日:2020/03/09>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:龍輪剛
Photographer:龍輪剛




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