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TikTokマーケ全般を知る"中の人"に聞く|若者文化から全世代メディアへ TikTokのエンタメ好事例[後編]

若者文化から全世代メディアへと変貌するTikTok。では、エンタメ側はどう利用すれば良いのだろうか?現在TikTok上で成果を上げている好事例をマーケティングチームの白地祐輝氏に聞く。

──エンタメ界の人はTikTokをどう活用するのが良いでしょうか?

TikTokの最大の強みは「知らない人へアプローチができる」ことです。
たとえば芸能事務所であれば、「コア層」「潜在層」「新規層」のうち、「潜在層」と「新規層」にアプローチする「ディスカバリーメディア」としての利用がベスト。所属タレントの新たなファンを増やしたいケースや、大人のファンが多いが若い層にもリーチしていきたい、というようなケースですね。
YouTubeやInstagramでも可能そうに思えますが、TikTokの場合は、コンテンツが合えば機械学習による「おすすめ」で、まったく接点のないユーザーのもとへ動画が流れていくので、ファンとしてフォローされていなくても広がっていきます。
もちろん賢くトピックを選定していかなければいけないのですが、やり方をマスターすれば、新しいユーザーとの出会いはかなり大きな規模で作れます。

たとえば、ザ・ロック様の名称で人気なDwayne Johnsonさんは、#bestfriend check という動画を、映画の共演者のKevin HartさんとTikTokにUPされています。

これは、すでにTikTokの中で人気になっている、一緒に笑っていたり、セルフィーを撮っていたり、ハグしていたり、という「僕たちベストフレンドだよね」といったモーメントをつなぎ合わせた簡単な動画ですが、12/16時点で「1400万いいね!」 されています(再生数にしたら遥かにもっと見られているでしょう)。
「映画みてね」といった直接的な宣伝でないにしても、これが映画『ジュマンジ』の最新作の舞台裏で、休憩中等に撮ったんだろうな、ということが視聴者にも伝わり、ハートウォーミングな気持ちになると同時に、映画の宣伝にもつながったのではないでしょうか。

ほか、2018年2月にはTikTokオーディションを開催したのですが、お笑いについては吉本興業さんと座組を作りました。勝ち残ったユーザーを吉本さんがスカウトできるといったイベントです。TikTok上で新たな才能を発掘していただくなら、やはり「おすすめ」を見てもらうことが最善だと考えます。実際にTikTokで人気を博している景井ひなさん(開始わずか9カ月で100万人フォロワーを達成)がホリプロデジタルに所属され、TikTok外でも活躍され始めている、など実績もあります。

兆しを探したいなら、騙されたと思って(笑)30分TikTokを見ていただければ、ある程度パーソナライズが進み、「気になる」新しい才能に出会えるはずです。

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──来年にはオリンピックが控えていますがスポーツ界はどうでしょう。

これも新しいファンとのコミュニケーションツールとして使っていただきたいですね。たとえばボクシングの某有名選手は「業界全体でファンの年齢層が上がってしまっている気がする」ということで、若い層へのエンゲージを狙って、トレーニングしている様子や、仲間とご飯を食べて和んでいる姿等をTikTokにあげてくれたりしています。

このほかハンドボール日本代表キャプテンの土井レミイ杏利選手も「レミたん」の名でTikTokを更新中。この方はTikTokの中で流行っている「この顔誰に似てる?」という顔芸を実践されているほか、「#れみたんチャレンジ」のハッシュタグで、驚きのハンドボールのテクニックを見せてくれています。ハンドボールを広めたいと考えてスタートして、実際にTikTokきっかけで人気になり、InstagramやTwitterのフォロワーも増えていきました。

「この顔誰に似てる?」のようなコメディ調の動画など、TikTok内で人気のトピックやフォーマットを利用し、まずは知名度を上げる。その後、「実は○○でした」と正体を明かす手法は、スポーツ界のみならず、エンタメやさまざまなジャンルの方が転用できる方法です。

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──マネタイズについてや広告業界との取り組みについても教えてください。

YouTubeのようなレベニューシェアはないのですが、「ブランド」と「TikToker」をつなぐスポンサードコンテンツを作っていただければと思っています。今でも手動でできていますが、これからはもっとスムーズにできるよう準備を進めています。すでにそこからの収入で生活しているTikTokerもいるので、そういった形でクリエイターさんの活動をサポートしていきたいですね。

最近では、TikTokで話題になった池田航さんがドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)の後半からレギュラー出演するなど、さまざまなコラボレーションの形が生まれています。

TikTokを発端に外の世界で活躍してくれるようなエコシステムを作っていきたいと考えておりますので、もし何かチャレンジしたい企画がありましたら、ぜひご連絡いただければと思います。

■PROFILE■
TikTok マーケティングチーム
白地 祐輝(しらじ ゆうき)

小中はインドネシア共和国のジャカルタ日本人学校に在学。日本の高校を卒業後、アメリカの大学へ。新卒で楽天に入り、経営企画室で担当役員のサポートや出店店舗のコンサルティング・営業を務める。その後、Google JapanのYouTubeチームへ。YouTubeの収益化プログラムが始まったタイミングでYouTuberのサポートを担当する。Facebook Japanのオフィスにジョインし、ECクライアント向けの営業を経験し、TikTokへ。現在に至る。


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<発行日:2019/12/16>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。

Writer:衣輪晋一
Photographer:橋口慶


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