オーストラリアのISPに対する情報等の保存義務

オーストラリアでは数年前の法改正によって、ISP(Internet Service Provider)またはSP(Service Provider)に対して、2年間の情報及び文書の保存義務が課せられています。
※傍受能力(Interception)の義務もありますが、ここでは情報等の保存義務だけにしています。
法令は、Telecommunications Act 1979です。

Telecommunications Act 1979


情報等の保存義務

Service Providerの保存義務は、第5章に記載されています。

187A Service Providerは特定の情報と文書を保存しなければならない

特定のService Providerは、187BAに従い、187Cで指定された期間、以下の情報又は文書を保持しなければならない
 (a) 187AAで指定された種類の情報
 (b) その種類の情報を含む文書

ただし、Service Providerに対して、通信の内容や実質的に内容に関する情報、他のサービスと連携された情報、Service Providerが削除する必要がある情報等は保存を要求していません。

187AA 保存すべき情報

1 関連サービスの加入者、および関連サービスのアカウント、サービス、通信デバイス、その他の関連サービス
(a) 次のいずれかまたは両方に該当する情報
 (i) 氏名または住所情報
 (ii) 識別目的のその他の情報
(b) 関連サービスまたは関連するアカウント、サービス、デバイスに関連する契約、合意、または取決めに関する情報
(c) 次のいずれかまたは両方に該当する情報
 (i) 請求または支払い情報
 (ii) 連絡先情報
(d) 関連サービスまたは関連するアカウント、サービス、デバイスに関連する識別子、関連サービスまたは関連アカウント、サービス、デバイスに関連してService Providerが使用する情報
(e)関連サービスまたは関連すいるアカウント、サービス、デバイスのステータス
2 通信元
 関連サービスによって通信が送信された関連するアカウント、サービス、デバイスの識別子。
3 通信先
 通信の送信先となるアカウント、通信デバイス、または関連サービスの識別子。
 (a) 送信された。
 (b) 転送、ルーティング、転送されたか、転送、ルーティング、転送が試みられた。
4 通信または関連サービスへの接続の日付、時刻、期間
 通信に関連する以下の日時(タイムゾーンを含む)(通信を特定できる程度の正確性)
 (a) 通信の開始
 (b) 通信の終了
 (c) 関連サービスへの接続
 (d) 関連サービスからの切断
5 通信または通信に関連して使用される関連サービスの種類として以下の項目
 (a) 通信の種類
 例: 音声、SMS、電子メール、チャット、フォーラム、ソーシャル メディア
 (b) 関連サービスの種類
 例: ADSL、Wi-Fi、VoIP、ケーブル、GPRS、VoLTE、LTE
 (c) 通信で使用されたまたは通信で有効にされた関連サービスの機能
 例: 通話待ち、通話転送、データ量の使用。
6 通信に関連して使用される機器または回線の場所
 通信の送信または受信に使用される機器または回線に関する次の事項
 (a) 通信開始時の機器または回線の場所
 (b) 通信終了時の機器または回線の場所
 例: 携帯電話基地局、Wi-Fi ホットスポット

187BA 情報の機密性の確保

Service Providerは、187Aに基づいて保存しなければならない、または保存させる必要がある情報または文書内の情報の機密性を、次の方法で保護する必要がある。
 (a) 情報を暗号化する。
 (b) 情報を不正な干渉または不正なアクセスから保護する。

187C 情報および文書の保存期間

(1) Service Providerは187Aに基づいて情報または文書を保存しなければならない、または保存させなければならない期間は以下の通りである
 (a) 情報が187AAの表の1(a)または(b)に記載される種類の事項に関するものである場合、または文書が当該情報を含む場合は以下の期間
  (i) 当該情報または文書が存在するようになった時点から開始
  (ii) 当該情報または文書が関連するアカウントの終了から2年後まで
 (b)そうでない場合は、以下の期間とする
  (i)情報または文書が存在するようになった時点から開始
  (ii)当該情報または文書が存在するようになってから2年後に終了
(2) ただし、187AAの表の1(a)または(b)に記載される種類の事項について、(1)(a)の期間を、(1)(b)の期間であると規則で定めることができる。
(3) Service Providerが規定される期間よりも長い期間、情報または文書を保存することを妨げるものではない。

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