原因と理由の使い分け

今日は、原因と理由の違いについて述べます。

原因の意味

デジタル大辞泉では、「ある物事や、ある状態・変化を引き起こすもとになること。また、その事柄。」を意味します。

理由の意味

デジタル大辞泉では、①「物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠。わけ。子細 (しさい) 。事情。」を意味しますが、他にも②「いいわけ。口実。」、③「論理的関係においては結論に対する前提、実在的関係においては結果に対する原因。根拠。」という意味もあります。

③の意味だと原因=理由になりそうです。

法律の世界

法律の世界では、原因行為→因果関係→結果という流れであり、理由行為とはいいません。

結果に対して、何がその結果になったかを表すことであり、理由は行為をした事情とかその行為を引き起こしたことになるように思われます。
そのため、動機にも近いかもしれません。

事例検討

以下の事例を考えてみます。

腹が立ったので、人を包丁で刺し殺した。

この場合、「腹が立った」ことは人が死亡した結果に対する原因ではなく、「包丁で刺し」たことが原因で人が死亡しました。人を刺した理由は、腹が立ったからということになると思います。ただし、人を刺した原因は、腹が立ったからという言い方もできます。

このようにすると、結果を引き起こしたもとは原因、行為をしたもとは理由又は原因といえそうです。

プラスとマイナス

プラスのもとが理由、マイナスのもとが原因ということも考えられます。

売れる理由と売れない原因
受かる理由と受からない原因

他にも勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなしというのも近いでしょうか。
勝った理由は運が良かった、負けた原因は練習不足という感じです。
肥前国第9代平戸藩主、松浦清の言葉

このように理由と原因の使い分けは難しくもありますが、結果に対しては原因、行為に対しては理由、プラスに対しても理由、マイナスに対しては原因と使い分けるのがしっくり来る気がします。

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