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ウーユリーフの処方箋 (4章後半)

こちらの続きです。
ガッツリネタバレしているため、ご注意下さい!

キリオとマツリが帰ると、すぐに皆で夕飯だ。和やかな食卓。そんななかカナタだけが浮かない表情をしていた。
それに気がついたキリオが声をかける。

ホームシックだとからかわれるカナタ。
「ちげえよ!帰りたい。だけど…」

ノゾミ「帰る方法がわかったら、急に感傷的になっちゃったんですね」

ミトとノゾミが上手く誤魔化すが、キリオのことがよほどショックだったのだろう。

(このカナタかわいいよね。私カナタ苦手だったけど、ここでちょっと好きになったよ)

そんなカナタを見て、キリオが明るく言う。

キリオ「そーだ!帰ったら、アンタらオフ会しなさいよ」

マツリ「そうだな。安否確認は必要だし、連絡先の交換はいいかもしれない。」

ノゾミ「そうですね。紙は持って帰れないでしょうし、暗記してくださいよ」

(いや無理じゃね?3人分の連絡先暗記とか…マツリとノゾミはともかく、カナタは絶対無理だと思う笑←偏見)

3人分の連絡先を受け取る。

もちろん、そこにキリオのものはない。

キリオは、そんな俺達の様子を目を細めて見ていた。

「帰ったら絶対オフ会しなさいよ。それで、アタシのことも思い出して。」

(このシーン、キリオ推しの私には切なすぎるよ…)

次の日。今日は皆で歯車を探すことにした。
ノゾミはキリオと一緒に10階へ行くという。

食堂か他部署か…マツリは考え、まだ行ったことのない他部署へ行くことにした。すると、カナタも一緒に来るという。

食堂へ行くというミトとは別れ、4人でエレベーターに乗る。マツリとカナタは8階で降り、二人と別れる。扉が閉まる瞬間、キリオがぽつりと呟いた。

「みんなで仲良く帰れるといいわね」

エレベーターは上に登っていく。
今の発言の意図は、おそらくこうだろう。

「みんなで帰れるとは限らない。」

カナタが以前より言っていた、早い者勝ちという説だーー。

(ここのシーン、ゾッとした。普段あんなに明るくて暖かいキリオが、急にNPCに感じて。エレベーターの扉が閉まったあと、ノゾミが見上げたキリオの目はきっと、感情が灯ってないんだろうな…)

なんだかんだで二人は歯車を一つゲットし、エレベーターの前に戻ってきた。
疲れたし、帰ろうと提案するマツリ。しかしカナタは、キリオに会って行くから先に帰れと言う。

「キリオに?どうして…まさかあのこと…!」
「ちげえよ!それは絶対にばらさない。…ただ、

…ただ、ちょっとでも話をしておきたいだけだ」

その言葉にマツリはカナタを見直した。

(私も見直した。カナタかわいいとこあるじゃん、4章でカナタも好きになってくな〜)

ミトとマツリが先に帰ると、電話が鳴る。相手はキリオで、仕事で使うHDディスクを持ってきてほしいとのことだ。二人が再びビルに戻ると、そこは妙に静かだった。いつものロボットたちがいない。
不気味に思いマツリが先を急ぐとーー

「待て。」
いつもより低い、ミトの声。

ミトは辺りを警戒し、そして先を促した。
「…気のせいだったみたい。行こう。」

(ミトくん怪しすぎない??この子はゲーム側の人間…?)

キリオにHDを渡す。そしてふと、カナタの姿がないことが気になった。

マツリ「あれ、カナタは?先に帰ったのか?」

キリオ「え、カナタ?

来てないけど。」

おかしい。だって、マツリと別れてからもう何時間も経っている。
探してくると言って、キリオがエレベーターで降りていく。

これは…抜け駆けでしょうかね。ノゾミが言った。その時だ。

ガガガガズギャンッ
どでかい金属音が響く。エレベーターからだ。マツリとノゾミが左右からエレベーターの扉を引っ張り、開く。そこにはカゴはなく、千切れかかったロープが見えている。

手が機械になっているマツリが適任だと判断し、ロープを伝って下に降りる。エレベーターのカゴは8階に止まっていた。ストン、と中に降りる…と。

キリオが倒れていた。
慌てて駆け寄り、何度も名前を呼ぶ。すると、ううんと唸って目を開いた。よかった、生きていた。
いつものように軽口を叩きながら起き上がる。

(このシーン、マツリくんとハモったわ…キリオ!?って笑 無事でよかった…😂)

キリオから事情を聞いていると、カナタの声がした。
「逃げろ!!」

なんと、彼はヒロインを引き連れてこちらに走ってくる。逃げろと言っても、エレベーターは故障してしまっている。俺は咄嗟に、エレベーターの天井裏へ逃げた。

カナタも引き上げたが、ヒロインの手がすぐに伸びてくる。万事休す…いや、一か八か…!

マツリ「キリオ、ナイフでロープを切ってくれ!全員で8階に飛び乗るぞ!!」

カナタ「無理だ!!忍者じゃねぇんだから…!」

マツリ「でももうこれしか方法がない!」

キリオ「しゃーねえなあ、やってやるよ!!」

キリオがロープを切る、それとほぼ同時に飛び、俺達は8階に転がり込んだ。マツリは喜んだ。…その拍子に、自分の尻ポケットの物が落ちたことも気づかずに。

カナタ「うわあ!?」

マツリ「カナタ!!」

カナタがエレベーターの中へ引きずられていく。ヒロインが登ってきたのだ。マツリは必死にカナタの左腕を引っ張るが、あの怪物との力比べに加え重力もある。一人では無理だと判断し、キリオ助けを求めた。

「キリオ!お前も力を貸してくれ!」

しかしキリオからの返答はない。いや、そもそもいつもなら、真っ先に助けてくれているはず。キリオは一体何をしている…?

マツリは必死にカナタの手を握りながら、キリオを振り返る。すると、キリオは呆然と、紙を見ていた。マツリがポケットから落とした、自分の設定資料を。

キリオ「何これ…アタシは、自分で考えて…これ、どういうこと…?」

マツリ「キリオ、それは後で説明する、だから今は力を貸してくれ!!」

しかしキリオにマツリの声は届いていないようだった。

マツリ「くそっ!カナタ、右手もこっちによこせ!」

カナタ「いやだぁぁ怖い!!!」

カナタの右手に触れ…

ブチッ

急に重さがなくなり、マツリは後ろに座り込んだ。

マツリは、決してカナタの手を離さなかった。
…その結果、マツリの手には、カナタの左手だけが残ったのだ。

暗く深いエレベーターの奥底から、ヒロインがカナタを“攻略”する音が聞こえた。

(4章 終了)

…え???

は、え??

え??

ウーユリーフってそういうゲームなの!?

すっかり油断していました。てっきり、なんやかんやありながらもキリオと別れて最終的には全員で仲良く脱出エンドだとばっかり…。

カナタ…😭

4章でちょっとずつ好きになってきたところだったのに、まさかの4章で脱落…

てか、切断ってそういうこと!?

ていうかさーー漫画とかでありがちだけど、ああいうときなぜすぐにエレベーターから離れないの!!だからヒロインに捕まっちゃうんだよーー😭

でもロープ切ったときのキリオかっこよかったね…🥺

キリオも真実を知ってしまったし、これからどうなるの!?
と、すっかり不意をつかれた私はここからウーユリーフの沼にハマっていくのでした…笑

というか、ミトくん怪しすぎない??
口数少ないし顔も見えないし謎多すぎる。やけにマツリくんのこと心配してくれるけど、彼はプレーヤーではないの?
というかこれ、もしかしてマツリくん以外は全員NPCなのかな…それは悲しいな…だって、マツリにとって初めてできた男友達だもん…。
いや、マツリくんもNPCなのかな?うーーん。

色々考えつつ、キリオ推し私は彼の今後が一番心配だよ😂😂

それから、記事ではメイン以外全て省いていますが、皆さんこれ気づきました?

ラスレジェ…ノマの辞退…乙女ゲーム部のロボット…アモンの移動…そしてようやく出てきた皆のフルネーム。

このタイミングで名前を出したことには意味があったんだな〜すごい、おもしろい。

絶望的だけど、それでも私は最後までマツリくんとキリオの幸せを願ってプレイしていきます🙋✨

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