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学歴と眉毛

 働きだして、二年目になる。
 会社にはいろんな背景を持った人がいて、この職場に至った経路も人の数だけある。前職が服屋さんだったり、高校を卒業して直接入職した人もいる。私の職場では、プライベートな内容や過去の出来事が話題にのぼる機会がたまにあって、それ自体、あまり嫌なことではない。
 しかし学歴の話になると、途端に口をつぐんでしまう。
 よく、学歴を褒められる。褒められるというか、面白がられる。私は自分が出た大学が社会でどのような目で見られているのかピンとこないので、なんだかなあという気持ちになる。
 考えるに、学歴を褒めるとは、「かしこい」というラベルを貼ることの象徴的行為だ。大学自体はテレビで聞いた試しがあれば、どの大学でもいいのだ。ただ相手を「かしこい」状態にある存在と確定し、自分と切り離して崇めたフリをするか、エンタメとして消費するかだ。それではあまりに寂しいじゃないか。
 例えば私の参考書があれば、学歴はせいぜい40ページ目の真ん中よりちょっと下の方に、コラム程度で書かれているぐらいのテーマだ。目次にも乗っていない。
 薄い顔に憧れて眉毛をざくざく切ってたらピンホールが出来てしまった話の方が、よっぽど私だ。

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