短歌を食べる(10首)
短歌を食べる 丸田洋渡
初めましての二十分後に煮卵と海老天がそれぞれに届いた
推されたい 怖 立ち食いのざる蕎麦は自分のせいだけど不味かった
ひとりにつき名歌はせいぜい七くらい ねぎトロ丼にねぎは不可欠
食べるシーンが遅くて長い もし映画館で観たなら発狂は確実
友だちCが謝りながら舐めている酢醤油に辣油の紅い海
この数に対して人が一人では満足しないだろうゾンビも
詠むことは世界を食べることである。ゾンビに教えられた気がする。
夢でゾンビがひとり短歌を食べていた。きれいなきれいなテーブルマナーで
手がかりが無くなっていく朝食のえろすぎるスクランブルエッグ
食欲で短歌ができた 二日目のカレーはすこし韻の味がした
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