見出し画像

[4/23] 『ダウントン・アビー』シーズン 1 を観た

ダウントン・アビー』シーズン 1 を観た。

実はもともと映像媒体がそこまで得意ではない (本と違って情報の流速を自分で制御できないので、集中力が切れるとその分を取りこぼしてしまう) のだが、『ダウントン・アビー』は自然と夢中になっていて映像への苦手意識を忘れるほどだった。

今はもう早くシーズン 2 を観始めたいという気持ちしかないが、せっかく魅力いっぱいの本作を一区切り観たので、note を書くぞ。

華麗なる英国貴族と激動の時代

『ダウントン・アビー』を観始めるとまず、ウワッ人が多い、誰と誰が血縁で、貴族は三姉妹で、使用人にも執事・従者・下僕・メイドと職位がたくさんあって……と、人物を追いかけるのが大変そうな気がしてちょっとビビる。

後に言うようにこれは杞憂だったが、最初にまだ人物のプロフィールが全く頭に定着していない状態でも尻込みせずに画面に齧りついていられたのは、単純に画として強いシーンの多さゆえだ。

Highclere Castle の邸宅 (ダウントン) で繰り広げられる英国貴族の暮らしぶりは華があって観ているだけで面白い。邸宅の内装と、貴族たちが日々纏う衣裳は目に良い (確信) ので、最初のうちは舞台とその描写を楽しむだけで過ごせる。特に食事の場面は貴族たちが集合して会話も一層キレがよく、給仕する下僕たちの所作も相まって、うっとりするようなシーンになっている。

邸宅内の話だけではなく、歴史的な事件や出来事がダウントンに影響を与えていくのも見応えがある。そもそもの物語の始まりがタイタニック号沈没によって相続者が亡くなってしまうところからだし、そういった大事件に限らず、馬車から自動車への移行・電灯の導入・電話機の発明などが節々で顔を出す。シーズン 1 はサラエボ事件から第一次世界大戦の開戦あたりで終わるので、シーズン 2 以降はより歴史の大きな流れが物語に影響を与えてきそう。楽しみ~。

魅力的すぎる登場人物

シーズン 1 の主要な登場人物は貴族と使用人をあわせて 20 人近くにのぼるが、7 話という話数の中で個々の人物の性格、過去、何に興味があるか、将来をどう見据えているか、誰・何を大切にしているか、といったことが折に触れて掘り下げられていく。あるシーンではこの人、次のシーンでは別の人たち……と息つく暇もなく色々な人物の話が展開されていくが、当初心配していたような人物たちや事実関係がごっちゃになる事態がまるで起こらず、気がつけば皆の特徴や魅力をしっかりと受けとめられていた。

これは脚本のつくりが良いということもあるだろうし、何より俳優たちの演技がとても素晴らしいのだと思う。別に作劇や演技のことについて何か分かっているわけではないので偉そうなことを言うわけではなく、人物の見分けが基本的に苦手だったり映像に 1 時間集中するのが難しかったりする自分が、気がつくと 20 人近い登場人物のことをすっかり頭に定着させていることに驚いたという話だ。

中でも際立って魅力を放っているのはやはりバイオレット (先代伯爵未亡人) だろう。高貴の権化のような貴婦人 (おばあさま) で、英国人としての誇りや家の名声をとても大事に思っている。激動の時代にあってはさすがにそのものの見方は古く、いわゆる「古い人」的な振る舞いを見せることも多いし、皮肉めいた言い回しも凄くする。しかし、ある種テンプレ的な「古い人」キャラクターとしての一面は確かにありつつも、孫娘に対して優しい心遣いを見せたり、ここぞという場面で自分を折って公正さを優先したり凝り固まった価値観を一旦捨て置いたりと、テンプレに収まらないバイオレットの人柄が見えるシーンもある。ダウントンの中ではどこかしら純粋さ (ある意味で「好き勝手やってるっぷり」) を感じさせる人物で、所作も飛び抜けて高貴だが高貴ゆえのコミカルさ (回転椅子に座って驚くシーンなど) を見せることもあり、最も老練ながら間違いなく「カワイイ」の要素を持ったすごいキャラクターだと思う。

正直、大抵の人物に対して「こういうとこがいいよな~」と語ることができてしまいキリがないが、もうひとり挙げるならトーマス (第一下僕) だろうか。まず何よりチョーかっこいい。煙草を喫みながら悪巧みをする冷徹な表情ときたら……。基本的にダウントンの中ではサイテーな奴だが、徹底的に自分のために行動し、自分の将来についても冷静に根回しを進めるしたたかな態度はなかなか嫌いになれない。

トーマスとの悪巧みといえば、オブライエンもな~。トーマスほど徹底した悪党って感じじゃないところがまた……(略)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?