「生きる意味って何だと思いますか？」と訊かれたら、何と答えますか？

今から15年ほど前のことだったでしょうか。
とある心を病んだ青年に「生きる意味って何だと思いますか？」と訊かれたことがありました。

アンパンマンも「なんのために生まれて　なにをして生きるのか」と歌っているし、哲学の古くからのテーマでもあるし、「生きる意味」って人間にとって実存的な永遠のテーマなのでしょう。

その時、僕の後輩は「仕事を終えて家に帰ると妻と子どもがいる。そういう時に自分は生きる意味を感じます」と答えました。
……いや、自分語りをしてどうする。
彼が求めているのはそういう答えではないし、心を病んだ青年に自分のリア充ぶりを披露するな。

僕の先輩はこう答えました。
「生きる意味なんてそんなものはないんだよ。みんな『これが自分の生きる意味』と思い込んでいるだけで、生きること自体に意味なんてないんだ。あえて言えば、生きる意味を探し続けたり、これが自分の生きる意味だと思い込んだりする、それが生きる意味だ」と。

これじゃあ身も蓋もないと思った僕は、最後にこう答えました。
「生きる意味というのは、誰かから『これがあなたの生きる意味』と与えられて納得できるものではないでしょう。だから自分で納得のできる答えを自分で見つけていこう」と。

それを聞いた先輩はガハハと笑いながら「そうだよな。『生きる意味なんてない』なんて言ったら身も蓋もないよな。一番まともな答えだ。最後にうまくまとめてくれてありがとう」と言いました。

でも僕の言ったことは、彼の問いに正面から答えず、はぐらかしただけなんですよね。
ある意味、先輩の答えの方が誠実かもしれないし、「生きる意味なんてそんなものはない」という答えは真理だと思うのです。

そう、生きる意味なんてない。
正確に言えば、「すべての人に共通し、すべての人が納得する『生きる意味』なんて、存在しない」ということ。

宗教を信仰する人にとっては、「神に与えられた命である」ということが生きる意味になるかもしれないけれど、無宗教の人にとってそれは生きる意味にはならない。
アンパンマンは「誰かを助けると心が温かくなるんだ。だから僕は困っている人を助けたいんだ」と自分の生きる意味を語るけど、それはロールパンナちゃんの生きる意味にはならない。
家族が自分の生きる意味だと語った後輩の生きる意味は、天涯孤独の人や家族に悩まされている人の生きる意味にはならない。

つまり絶対的な生きる意味というものは存在しなくて、生きる意味とは相対的で個別的なものであるということ。
生きる意味は自分で見つけ出すしかない。

でも、生きる意味がすぐに見つからなくても、絶望しなくていいと思います。
生きる意味なんて考えなくても、今を生きていくことで時間は流れていく。
今を積み重ねていく中で、後から振り返って「これが僕の生きる意味だったのかな」と思えるものが見つかるかもしれない。

生きる意味が分からず、自分が何者でもないことに気付いても絶望しなくていい。
それは裏を返せば、これから何にでも生きる意味を見出す可能性があるということであり、これから何者にもなれる可能性があるということ。
楽観的すぎますか？
でも、僕はそうやって今を生きています。

「生きる意味って何だと思いますか？」と訊かれたら、あなたは何と答えますか？

#生きる #生きる意味 #アンパンマン