生のみ生のままで
上下巻読みました。
ネタバレしないようにしますがしちゃうかも。
とにかく最高です。
綿矢りさは何冊か読んでて、いつも夢中になってしまいます。
社会人になって本から離れていたので、久しぶりにたっぷり本の世界に浸かった気分になりました。
2人の女の子同士の恋愛小説です。
綿矢りさの描く、リアルな感情がこれでもかと発揮されていて、読んでいるときはもちろん読み終わっても2人の登場人物のことを考えてしまいます。
私も同性の恋人がいて、同じ部屋に暮らしてもうすぐ3年になります。
ただ平凡に暮らしてきたからこその惰性感を感じつつ、これが幸せなのだと思うこともありつつ。
それでも、物語の中で、彩夏と逢衣が情熱的に惹かれあって幸せな思い出を作り出していく様がとても羨ましく感じました。
女同士だから……みたいなよくある葛藤はそんなに出てこなくて、“女同士の恋愛”がメインテーマではないです。
親や元彼に反対されることはあっても、そこまで深刻にならず、常に直接的な問題は別にあって反対している人たちも戸惑っているだけで。
そこが現代社会の、同性愛を認めつつある世情と密接にリンクしていて、この作品は今読まないとリアリティに欠けてしまうような気さえします。
私は父にだけカミングアウトしてるんですけど、逢衣のお父さんと全く同じ反応でした。
昔の人みたいに、完全な拒否はしないけれど、受け入れるのに時間がかかるというバランスが本当にリアルで、この話が5年後でも5年前でもダメなんですよね。
2人が
「好きな人ができた」
と言って彼氏と別れるんですけど、私も好きな人ができたら彼女と別れるんだろうか、彼女に好きな人ができたらどうするんだろうか、と
もうずっと頭の中でグルグルしています。
同棲してたら恋心以上に情が出てきて、その好きな人と彼女と、天秤にかけるのは無理だろうなあという感じです。
好きの方向が違いすぎて。
とにかく、同性愛とか異性愛とか関係なく、人を好きになったことがある人は是非読んでください。
映画も漫画も小説も好きなんですけど、こんなに長く心を動かせる小説っていいなと思いました。
ぜひ、小松菜奈と水原希子で映画化してくださいお願いします。
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