権限委譲(エンパワーメント)でメンバーの能力を引き出す
成果をあげているリーダーは、思い切ってメンバーに権限委譲(エンパワーメント)をしています。権限を与えられたメンバーは、はじめのうちは大変かもしれません。しかし、失敗したりうまくいったりを繰り返して段々と成長し、いつの間にかリーダーがやっていた仕事をこなせるようになります。
権限委譲の目的
権限委譲の目的は「部下の能力を引き出して育成すること」です。
一定の権限を上司から部下へ委譲し、将来のリーダーや幹部候補の育成につなげます。
権限委譲することで、任されたメンバーは、
●自己裁量で仕事を進めることができる
●今の自分よりも上の立場で物事を見ることができる
●リーダーシップが高まる
などにより、モチベーションアップやスキルアップが期待できます。
リーダーは、メンバーの自律的な行動を促して適切なサポートをします。
権限委譲が進むと、結果的に、リーダーはマネジメント業務に集中できるといったメリットもあります。
権限委譲ができないリーダー
「忙しすぎる」リーダーは成果を出すことができません。忙しすぎるということは、つまり自分で抱え込んでしまっているということです。そこにある考え(行動理論)は次のようなものかもしれません。
つまり、メンバーの能力を信じることができていません。
さらに、日々忙しいと、それをこなしている自分を仕事のできる優秀な人材のように感じ、逆にメンバーには物足りなさを感じるようになります。「メンバーがいつまでも成長しないから、自分は忙しい」と嘆いたりします。「メンバーが成長しないから」ではなく「メンバーを成長させないから」忙しいのです。
このようなリーダーの下だと、メンバーも「リーダーがやってくれるから…」と自分から難しい課題に取り組むことをしなくなり、気づかないうちにリーダーに依存するようになります。
エンパワーメントでは、業務とメンバーの育成を結び付けて考える必要があります。
権限委譲ができないリーダーは、業務をこなすことにしか目が向いていないため、「自分がやったほうが」という考え方に陥りがちです。
権限委譲のやり方と留意点
1)リーダー自身が抱えている仕事の棚卸
自分でなくてもできる業務を洗い出す。
※「自分がやったほうが効率が良い」という主観を入れないようにする。
2)誰に何を委ねるか検討する
各メンバーの強みで一番効果的に実施できそうということと、そのメンバーの成長に役立つという2つの側面から考える。
3)「60点主義」で行う
任せた業務が60点くらいの完成度しか期待できないとしても、「60点でできるなら任せてみよう」と思い切って任せる。
慣れない難しい業務に対して、メンバーから相談を受けることも多いでしょう。
その時リーダーは、アドバイスはしても、任されたメンバーが自分でジャッジできるように育成していくことが大切です。