JDSCが目指す、"海事産業のUPGRADE JAPAN"とは?

こんにちは、JDSCのKTです。私はいま瀬戸内のとある町に来ています。さっそくですが、今日は私が関わっている海事領域の仕事についてご紹介したいと思います。

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日本における海事産業の位置づけ

私は元々コンサルティングの仕事をしており、2021年よりJDSCに参画しています。そして今何をしているかというと、まさに日本の海事産業をUPGRADEしようとしています。

皆さんは日本の海事産業についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?一口に”海事産業”といっても、造船、海運、舶用工業…等と幅広いですが、いずれも日本が世界に誇る産業であり、長らく技術をリードしてきた歴史を持ちます。

そもそも、日本は四面環海で資源の乏しい国土であり、それゆえ貿易量の99.6%、国内貨物輸送の43.7%を海運に依存* しています。これはエネルギー資源や工業原料といった産業用途の資源に限らず、私たちが日々使っている消費財についても同様です。いずれにせよ、生活と密接に関わっている・無くてはならない産業であることがご理解いただけると思います。日本のこれまでの経済発展は海事産業と共にあったと言っても過言ではないし、おそらくこれからもそうであり続けると思います。
(* 国土交通省白書2021 https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004.html)

海事産業をUPGRADEする、とは?

さて、そんな海事産業に対して、JDSCは何をしようとしているのでしょうか。一言でいうと、以下のようにまとめられます。

“海事業界の高まる需要、複雑化するオペレーションに対して、AI技術を用いて健全(人、環境への負荷を最小)にスケールUPできるように、そしてサステナブルにする”

先述した通り、海事産業はこれからも日本に不可欠な産業であり続けると思います。しかし、日本のプレイヤーが常に主役で居られるかはわかりません。

かつて世界を席捲した日本の造船業も、中国・韓国にその地位を奪われて久しく、国土交通省が2019年に発表した「日本造船所の規模面での弱さ* 」という資料では「まるで月と地球」と表現されるほどに、造船所の従業員数、工場面積、生産量のすべてにおいて水をあけられていることがわかります。

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(* 国土交通省「造船業の現状と課題」)

また、海運における規模を推し量る一つの指標である「国別保有船腹量*」では、ギリシャに次ぐ2位の座を、最新の統計でついに中国に明け渡すことになりました。

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* UNCTAD「REVIEW OF MARITIME TRANSPORT 2021」

一方で、世界の海事産業は、海上輸送の需要の高まりを中心に長期の成長トレンド*1 の中にあります。また、2015年のパリ協定、2018年のIMO 海洋環境保護委員会(MEPC)等の流れを受け、国際海運におけるGHG(地球温暖化ガス)排出削減目標が明確化*2 されてきており、既存のビジネスモデルに変革の機運が訪れてきています。

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(* 1 UNCTAD「REVIEW OF MARITIME TRANSPORT 2021」)
(*2  日本海事協会「IMOによるGHG削減戦略 について」)

日本の海事産業として今後どう動いていくべきか?まさに各社が戦略的な分岐点に立っていると思います。この中で、JDSCは各リーディングカンパニーとの協業を通じて、日本企業の強みを結集した共創(協創)の基盤となることを(JDSCの”C"=Consortiumの名の通り)目指しています。
国内企業の強みは、あらゆる海事業務(新造、入出港、運航、修繕、各種管理…)において、高いレベルの技術、オペレーションを保有していることだと思います。造船に強い中韓、舶用工業に強い欧州…といった分業ではなく、総合的なレベルの高さは世界に誇れると思います。
一方で、業界ならではの課題もあります。代表的なものとしては、「デジタル化に対する全般的な遅れ」、「複雑な業界慣習」、「変革の担い手不足」などが挙げられます。

「すべての記録は紙でファイリングしています」
「担当者が個人で情報持っているので、まとまって管理できていないです」
「船主ごとに業務のやり方が違うので、決まった業務フォーマットがないです」
…というようなことは、この業界では珍しくないことです。

JDSCはこれら課題すべての解決を目指しています。その中の具体的な取り組みとして、AI企業らしく、まずは船舶に関するあらゆるデータを標準化し、統合管理できるようにすることから始めています。

標準化は一日にして成らず

標準化は、実態としてかなり難しいです。実は、国際的な規格化の先例はいくつかあるものの、産業全体を跨いだ”決定版”はまだありません。その中で、いくつものモデルを比較しながら、より良い方向性を探索して、やっと信頼される標準化が実現します。つまり、近道はないのです。私はいま、産業の中にいらっしゃるエキスパートの方や、アカデミックな知見をお持ちの先生方と協力しながら、標準化に取り組んでいます。

気をつけなければならないのは、ガラパゴス化しないこと。日本ならではの”こだわり”が、国際標準になるチャンスを逃してきた例は皆さんもなんとなくご存知でしょう。
最近スタディした例で、自動車の設計におけるCAD(ハイエンドCAD)における以下のような話がありました。
かつて(1980年代)日本企業は独自で内製(インハウス)CADシステムを開発し、その技術は世界的に見てもかなり先進的なレベルに到達していました(トヨタの統合CAD、ホンダのARSなど…)。しかし、①自社開発向けだったため、ユーザが限定的、②国際的M&Aの時代に日本語環境での外国人オペレータ人材不足、③開発陣の規模の制約による機能開発の遅れ…などを理由に、次第に衰退し、ついに外資(ダッソー社のCATIA)に実質的な覇権を取られることとなった…CATIAも元々は航空機用(Dassault Aviation)のインハウスCADの一つでしたが、何が明暗を分けたのでしょうか?…その要因を分析しながら、”標準化”と日々向き合っています。

それでも仕事楽しいよ、って話

だいぶ仕事の大変さばかりが前面に出てしまいましたが、最後にお伝えしたいのは、”船っておもしろいよ!”ということ。めいっぱいに積まれたコンテナ船、巨大なタンカーやバラ積み船を間近で見たとき、私はそのスケールの大きさに心が揺さぶられました。日々の仕事はパソコンに向かう毎日ですが、それがあの巨大な造形物の何かにつながっていることを思うと、ワクワクが止まりません。

JDSCにとって、まだこの仕事は始まったばかりで、世の中への発信も十分にできていないですが、いつか、このワクワクを多くの方にお伝えできればと思ってます。もし、この記事をお読みになって、興味をお持ちいただいた方、ぜひこの海事産業のUPGRADEを共に!今以下の3ポジションを募集しております。

・事業開発
・プロジェクトマネージャー
・データサイエンティスト

カジュアル面談は私KTが実施させて頂きますので少しでも興味があれば是非お気軽にご連絡ください!

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JDSCの海事領域における取組みのお問い合わせ先

海事産業ご関係者など、日本企業の強みを結集した共創(協創)の基盤(JDSCの”C"=Consoritmの名の通り)作りにご賛同、ご協同頂ける企業様も、是非こちらからご相談くださいませ。


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