【ドルアンec騒動】奇妙な楠栞桜 信者の心理と認知バイアス【塩信】
はじめに
貴方は自分の考えが偏っていると思いながら生活しているでしょうか?
恐らく自分は一切偏っていないと思っている事でしょう。
しかし、実はそれが思い込みだとすれば?
現在楠栞桜を取り巻く騒動でファンが陥っているであろう心理状態とは。
内集団バイアス
自らが所属している集団を他の集団よりもより良いものだと認識するバイアスです。
H.タジフェルとJ.C.ターナーが提唱した社会的アイデンティティにより引き起こされるとされています。
人間が社会生活を営む上で集団の自己同一性は大きく関わってくる。個人が集団のアイデンティティを認識し、同一視するからこそ集団の一員として溶け込むことができます。
あなたがスポーツグループやvtuberグループの躍進を自らのもののように感じ、害する人に対し自らが害されたかのように怒りを覚えるのも社会的アイデンティティがあるからこそです。
内集団バイアスを分かり易く例えると『Aのファンは有能』『Aのアンチは無能』と結論付けるような認知を指します。
人間は何かを判断する時に論理的ではない、思い込みで物事を判断する事が往々にしてあります。
特に自らが選んだ居場所を素晴らしいものだと主張する人々を、Vtuberファンの貴方たちはよくご存じでしょう。
確証バイアス
不都合なことは一切見ない、都合のいい思い込みのみ受け入れる認知バイアスです。
自らの先入観や偏見が成功を収めた時に強まり、また己が求める正解に導くために不都合な情報の排除、不正確なデータに基づいた検証などを行う事があります。
頭の良し悪しに関わらず陥り易い認知バイアスです。
一例を挙げると議論において、Aさんは無実であると導くために問題となる情報を意図的に排除しつつ、反証となる証拠を探すことすら放棄して持論を展開している人は身近にいないでしょうか?
結論ありきで語る以上、それは真っ当な意見になるはずがありません。
特にtwitterのようなSNSはエコーチェンバーになり易い要素を兼ね備えています。
とある部分が見えない、それはきっと存在しないのではなく、盲目的になっているだけかも知れない。
また、似たような認知バイアスの一例として感情バイアスがございます。(心地よい肯定的な感情の働きが得られる場合、相反する事実を無視して受け入れる一方、苦痛を伴う受け入れ難い事実には都合のいい解釈をする)
ハロー効果
これは一部の目立つ部分のみで、相手の全てを決めつけてしまう認知バイアスです。
ハロー(halo)とは後光を意味しています。
例えば『IPアドレスが一致したとしても数字の羅列よりも温かさを持った彼女が正しいと信じる』と私が言ったとします。
これは人間の一部分のみで判断を行っている良い証拠でしょう。
このバイアスには良い、悪い、両方の認知が存在する。
良い面が突出している場合は善人(有能)のように捉え、悪い面が突出している場合は悪人(無能)のように捉えてしまいます。
これは単に、見た目や声などの要因だけで判断を行ってしまう恐ろしさを象徴しています。
人間はグレーな生き物であり、誰しも良い面と悪い面が存在する。それは紛れもない事実だ。
リスキーシフト
いわば『赤信号、みんなで渡れば怖くない』の心理状態です。
人間の心理は集団に左右されやすく、集団の風潮によって意思決定が行われる事がままあります。
これは危険な発言により集団内で目立とうとしたり、他の集団への攻撃性があげられる。
集団内のリーダーに絶対服従し、否定的な意見を封殺する事でエスカレートしていきます。
リスキーシフトが発生する条件として考えられることは、責任の所在が曖昧、多数派への同調の強要(少数派切り捨て)、自己アイデンティティより社会的アイデンティティを重視する、などが挙げられます。
例えば『とある企業はクソだ! それを庇う奴らも同罪だから潰れるまで叩け!』とヒートアップしていきます。
炎上事件に関して一線を越えた誹謗中傷が飛び交うのも珍しくない。
コンコルド効果
コンコルド効果とは継続的な投資により、確実な損失が見込まれているにも関わらず、それまで費やした金銭、時間、精神的な投資を惜しみ、投資を引き続けてしまう心理状態です。
言葉の由来は超音速旅客機コンコルドから。
開発途中に開発費用と利益では採算が取れない事が判明していたにも関わらず、投入した予算や時間が水泡に帰すために躊躇、また責任の押し付け合いにより開発を継続した結果、莫大な損失を出し倒産しました。
サンクコスト(埋没費用)と呼ばれる、事業停止による回収不可能なコストがある場合に、正常な判断が行えない事がままあります。
事業継続の判断において、サンクコストを無視するのが合理的とされています。
『ガチャに数万注ぎ込んだからやめられない』『とあるvtuberに入れ込んで沢山お金を注いだから引っ込みが付かない』など、個人単位でも起こり得る。
もう、後に引けない人はいないでしょうか?
公正世界仮説
世界は公平であり、何らかの被害を被る人は因果により罪が返ってきたと認識するバイアスです。
例を挙げると『Aは被害を被ったが、きっとAにも非があったはずだ』と錯誤するバイアスです。
これはもちろん人間の心を守るためです。人間は不安定で不公平な状態を嫌います。
仮に誰かが傷つけられたのは『ただの偶然で、運が悪かっただけ』と認める事は、理不尽な状態を肯定するためにストレスを感じます。
善には愛、悪には罰、そう都合よく世界は出来ていないにも関わらず、絶対的な因果応報を信じ込んでしまう事があります。
インターネットで更に被害者が叩かれるのは人間が邪悪だからではなく、多くは心を守ろうとした結果であると言えます。
例えば『とある企業が大打撃を受けたのは、その企業が裏で悪さをしたからだ』と考えるのもバイアスである可能性が考えられる。
根本的な帰属の誤り
これは問題が発生した際に外的要因より、問題を起こした当人に原因があるとする認知バイアスです。
全ての問題はその当人の特徴、性格などの内的要因によってのみ引き起こされる事はまずありません。何かしらの外的要因が関わってくる事は想像に難くありませんが、他者の問題を追及する際には軽視してしまいがちです。
逆に自らが問題を起こした際には外的要因にのみ目を向け、内省しない事が挙げられます。
例えば『バクスタした理由は発言者の性格が悪く相手が嫌いだから、絶対に発言者が全部悪い』です。
ピーク・エンドの法則
過去の記憶を思い出す際に頂点と最後の記憶が最も強く作用する認知バイアスです。
『終わり良ければ全て良し』と言いますが、まさにこれを意味する。
ピークとは感情がプラスないしはマイナスに振り切れた時点、エンドとはその出来事の終了を意味します。また、その状態がどれだけ長く続いたかも記憶を左右します。
細かい記憶が失われるわけではありませんが、全体の評価はこの二点の影響が強く働きます。
例えばvtuberの引退に際して何の説明も挨拶もなくやめるのと、最後の挨拶と共に、ステップアップをすると説明を受けて終わるのでは、思い返した際の感情が変化します。
前者であれば温かい記憶はあれど、苦しい記憶と共に思い出されるでしょう。
後者であれば悲しみを抱きはすれど、温かい記憶と共に思い出されるはずです。
仮にその引退する理由がネガティブなものであったとしても、最後に多少マシな経験をする事で全体の記憶は平均化される。
一例を取り上げると『とある企業はクソだったけど、最後に裏アカウントでSee You Againを聞けたから救われたわ』です。
それを体験したとしても、ピークの記憶が炎上や引退である限り怒りと共に思い出される可能性は高いでしょう。
多元的無知
集団の多くの構成員が好ましくない集団規範を受け入れていないにも関わらず、個人の主観において多くの構成員が受け入れていると信じ込む認知バイアスです。
Vtuberに設けられている様々な規則や明文化されていない暗黙のルールも該当するでしょう。
その規則を受け入れているわけではなく渋々守っている、若しくはただその様な行為を行わないだけであったとしても、その他のリスナーは受け入れていると考え、結果的に規律を守る事になります。
空気を読まずに失敗するくらいなら、空気を読んだ方が良いと考える訳です。
一例を挙げますと『とあるVtuberが自身の問題に騒ぐなとお触れを出したことに対し、他のリスナーは文句を言わずに従っている。だからこそ私は不満があったとしても何も言わない』です。
バックファイア効果
自分の信念とは異なる信念を持つ集団との対立でお互いに譲らない心理状況です。
仮に自分の意見が相手に言い負かされているとしても一切認めず、議論は平行線どころか益々盲目的になり悪化します。
その理由は人間がネガティブなものに強く反応する傾向にあり、その性質は生存の過程で危険から身を守るために発達したと考えられている。
肯定的な意見は既知の情報であるために自らを補強するものでしかなく、否定的な意見は打ち破らなければ土台を崩すものであり、情報の取り扱いが違うために否定的な意見はしばらく残り続けます。
Vtuberがネガティブな意見に目を向けがちなのは、人間としての防衛本能が関係している訳ですね。ネガティブな情報が自身の行動に影響を強く及ぼす認知バイアスにネガティビティ・バイアスなどがある。
例えば『Aは神懸った読みを披露しているだけだ! ゴースティングなんかしている訳ないだろ? 証拠は? 100%黒じゃないだろ? なんとなくそれっぽい難癖を付けているだけだ!』です。
また似たような反発を生む認知バイアスに心理的リアクタンス(自身の自由意志が侵略された際に、最適な提案であっても自由意志を回復する為に反発する)、
ブーメラン効果(良かれと思った行為でも過度に何かを成そうとするほど、却って反発を生み悪い結果が自身に返ってくる)などがございます。
皮肉過程理論
考えないようにすればするほど考えてしまう、とても皮肉な心理状態です。
米国の心理学者ウェグナーが1987年にシロクマ実験を行いました。
3つのグループに以下の通り、シロクマの映像を見せた後に異なる指示を与え、後日シロクマについて考える時間を設けます。
Aはシロクマの事を覚えて貰う。
Bはシロクマの事を考えても考えなくてもいい。
Cはシロクマの事を絶対に考えてはいけない。
その後、シロクマの事を考えて貰う時間において、Cがよりシロクマに関する考えを発表しました。
また、シロクマを考えそうになれば別の事を考えてくださいと指示をされた際に、この効果は見られなかった。
この事から行為の邪魔になる要素を考えないようにするほど思い描いてしまい、嫌な事を考えないようにするほど頭の中を埋めてしまいます。
つまり反芻思考に陥りそうなときは目をそらす事が重要です。
例えば『Aさんがネットでバッシングされている。ファンは黙らないといけないがどうしても考えてしまう……別のVtuberを見に行こう』です。
偽の合意効果
自分の意見が一般的に受け入れられていると錯誤する心理現象です。
皆は賛同者であり、己は多数派だと錯覚してしまう事はありませんか?
周囲に賛同者が多い小さなグループや親しい間柄でよく見られ、その考えをより大きな括りに適用する事で齟齬が発生する。
リー・ロスが行ったサンドイッチマンの実験をご紹介します。
被験者の学生にサンドイッチマン(体の前後に板を紐で吊るした広告)の格好をして歩き回るように依頼。依頼を受けた学生と断った学生を二つのグループに分け『他の学生に同様の依頼をした際にどのような答えを出すと思うか』と質問。
その結果、以下のような回答が得られた。
受けた学生
他の学生も受けると思う 60%
他の学生は断ると思う 40%
断った学生
他の学生は受けると思う 30%
他の学生も断ると思う 70%
この事から明確な答えが存在しない問題の場合、自らの基準を投影する傾向が見られると判明している。
きっと自分と同じように相手も判断するはずだ、そう考える人間は多くいる事が分かるだろう。
例えば『Aのファンならこうすべきだろ! え? なんで批判されるの?! お前がおかしいんだ!!』です。
真理の錯誤効果・illusion truth effect
嘘であったとしても繰り返されれば繰り返されるほど真実と錯誤する心理状態です。
つまり嘘であったとしても繰り返せば繰り返すほど、真実に近づいていくのだ。
『嘘も100回繰り返せば真実になる』と聞いたことはあるでしょうね。しかしこれが100回繰り返された嘘であるのは皮肉だろう。
実際はナチスの宣伝相のヨーゼフ・ゲッペルスはこの言葉を発していない。彼の発した言葉が短縮され、改変を経て定着しているのだ。
人間は繰り返される情報に影響され易く、下記の認知バイアスは有名でしょう。
単純接触効果(単純に接触する回数が増えるだけで対象物に好意を抱きやすくなる)
可用性カスケード(正常性バイアスは実際に発生した緊急事態を矮小化するのに対して、可用性カスケードはただ繰り返される情報で民衆が恐慌状態に陥り易くなる)
有名性効果(見聞きした名前を有名人のものと錯覚する効果。選挙などは単純接触効果や有名性効果を狙っていると言える)
しかし飽くまでも繰り返される嘘に影響されるのは十分に知識を得られていない事象に対してのみで、十分に知れ渡った事象に対する効果は薄い。それどころか逆効果を及ぼす。
ただし個人の知識にもより、無知であれば繰り返される嘘が影響を及ぼす可能性は高い。
例えば、当初は企業よりもAさんが異常だと主張する人が多くいたとしても、それを塗り替える勢いで嘘が繰り返されれば『企業に迫害されたAが可哀想だ! え? なんかおかしいって? でも企業が悪いっていろんなところで書いているよ? 絶対に企業が悪いに決まっている!』となります。
認知的不協和
矛盾する二つの要素を認知した場合に生じる、心理的な不協和を解消するために自身の認知を捻じ曲げる現象です。
その二点が認知や行動に強く干渉し、不快感や不安感を抱く際に正当化行うことが知られている。
不協和とは混じり合わず、溶け合わない様。
いくつかの実例と共にご説明いたします。
終末論者の実験
1954年12月21日、終末論を唱える自称預言者の信者にレオン・フェスティンガーは潜入。
その予言は大洪水にて大地は水没し、信じるものだけが救われるというものでした。
三か月の潜入の後、予言の日が訪れました。勿論世界の終焉は訪れるはずもなく、信者たちは悲しみにくれます。
きっと皆様は全員預言者をペテン師と罵り離れていくと思うでしょう。
その結果として信心の浅い者たちは離れていきますが、それでも残る者たちがいます。
宗教に深く関わり、財産を失い、職も失い、周囲の反対を押し切り傾倒してきた人たちは今更認める訳にはいきませんでした。
己が詐欺師を担ぎ上げた底抜けの愚か者と。
そこで信者は前提を変える事にしました。
『予言は外れていない、教祖の祈りが届き、今一度チャンスが与えられたのだ』と。
危険なカルト宗教であっても中々抜け出せないのはこのような心の動きが関係しています。
入会儀礼の実験
性の心理学に関する特別討論会の参加資格として別々のグループに別々の条件を与えました。
A.には辞書に載っている性的な単語を読み上げさせる。
B.には小説の性的なシーンを読み上げさせました。
討論会の内容は非常に退屈なもので、前回の特別討論会の録音テープを聞かせ、最後に感想を尋ねるものでした。
AとBを比べればAはBに比べ非常に簡単な課題で、BはAよりも遥かに恥ずかしい思いをしたはずです。
結果としてAは討論会の内容を酷評しましたが、Bに関しては絶賛しました。
自分が下らない事のために、恥ずかしい思いをした事実を肯定するために認知を捻じ曲げた訳です。
そして認知的不協和を正しく理解した後にも自身がその状態にあったと認めませんでした。
大変な思いをした人ほど、現実を直視した際に正しく受け入れる事が困難になります。
数々の実験から己の信念と事実が相反する場合に多くの人間は正当化する事が分かりました。
その状況は大きく分けると自身の感情の問題、信念と現実が乖離する問題が挙げられます。
その結果として『新たな認知を付加させる』『認知を変化させる』『選択結果を上位に置換させる』『前提を変化させる』『問題のすり替え』『問題の矮小化』などの正当化が見て取れる。
さいごに
認知バイアスは飽くまでも莫大な情報を瞬時に処理するための癖であると覚えてください。一概に認知バイアスに陥る人間がダメとは言いません。
ただしその中にはどのような偏りがあるか認識する事で改善可能な面も多くあります。脳は分かり易く単純な答えを好む事を知り、仲良く付き合っていきましょう。
各項目の認知バイアスに関しては非常に簡略化しておりますので、認知バイアスに興味を持たれた方は是非一度お調べください。
さて、ここで一つの作り話をお聞きください。登場人物や団体は架空の存在です。
ある日、AさんのファンはAさんに関する不穏な噂を耳にします。
それはAさんが過去に所属していた企業の情報漏洩を行い、同僚や他企業の社員の誹謗中傷、更にインターネットゲームでの不正行為など、到底信じきれないものでした。
ただの嘘かと思われていた噂はウェブサイトからIPアドレスが流出したことにより、信ぴょう性を増します。
Aさんが所属していた企業をバッシングする掲示板には関係者しか知り得ない内容が2年前から書き込まれており、企業は流出者の特定に追われておりました。
その結果社内はガタガタに。
犯人を見つける為に情報の操作や伝達タイミングの操作で炙り出し、同僚や他企業の社員との企業を通さない交流を禁じ、更に監視も行いました。
それを不服に思ったAさんは以前から誘いを受けていた麻雀業界に移動するため、古巣を痛めつけ、自ら有する囲いグループが経営する企業に視聴者を移動させる事を思いつきます。
最初は穏便に、遅効性の毒のように。
慣れ親しんだ掲示板で情報を小出しにしました。
時に自らが被害者のように見える情報を提示し、Twitterの裏アカウントに誘導を行い、囲いを生み出しました。
徐々に世論はAさんが被害者であり、企業が悪であると定着してきました。しかしまだ一部は反発している。そこでAさんは最後の爆弾を投下します。
それはリーク系vtuberに情報を渡し、匿名掲示板で行われた悪事を同僚に被せ、同時に拡散する事でした。
その目論見は大成功。
もはやAさんを疑う人は迫害される運命。
こうして匿名掲示板やTwitter、そして囲いを利用して嘘を真実に変えました。
クリスマスに行われた大々的な復活劇によりvtuber界隈は大いに盛り上がりました。その裏で闇が育まれたのは言うまでもないでしょう。
不自然な麻雀界隈での持ち上げやvtuberの擁護もあり、その地位を確立していきます。
そこでやめておけば良かった。
しかしAさんはvtuberになる以前から日常的に匿名掲示板で工作を行なっておりました。もう掲示板に書き込むのが日常になっていたのでしょう。
それが致命傷になるとは露知らず。
そして時間は経ち、Aさんは麻雀業界で勝ち組に。視聴者ともども幸せの絶頂です。
しかし急転直下、特定班により全ての悪だくみが日の下に曝されました。
麻雀界隈は表で擁護をしてくれません。vtuber達は名前を出して触れようともしません。それはAさんが招いた結末でしょう。
そして……Aさんは雲隠れしました。
◇ ◇ ◇
さて、ここでAさんのファンはどのような動きをすると思いますでしょうか?
多くのファンは幻滅し離れていきますが、しかし一部はより一層強烈なファンになるでしょう。
その者たちにとってはAさんが正義であり、それに付き添った者たちも正義でなくてはいけません。
その信念と現実が乖離した瞬間に強い不快感を覚えたことでしょう。己の所業を正当化しなくては、きっと壊れてしまいます。
何故ならば、己の行いは悪であり、教祖様もまた悪である。そう認識する事は苦痛を伴うものでしょう。
ならばする事は一つ。
己の認知を捻じ曲げる、心を守る為だけに。
以上