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ちゃんと言えよ、自分でさ


 会社の飲み会があった。
 最初は仕事の愚痴や、職場の人の噂話で盛り上がっていたが、途中から恋の話になった。会社であまりプライベートな話題を話したことがなかったから、たまにはこういう話もおもしろいな〜と呑気に聞いていた。

「アクアマリンさんは彼氏いないの?」と聞かれていないと正直に答えると周りは驚いた顔で「結婚願望ないの?」とさらに聞かれて、これも正直にあんまりないと答えるとやっぱりみんな驚いた顔をしていた。
それに対してわたしは「いや〜なんかね、将来不安なんですけどね、ご縁がなくて〜」みたいな言い訳がましいことを言ってヘラヘラしてごまかしてしまった。

 人と違うことをする時、周りの人が疑問に思うことは当たり前だ。自分が少数派の考えで、多数派の考えの人達から疑問に思われたとしても、それに対して怒るのは違うと思う。きっと自分が逆の立場だったらそれこそ周りの人たちと同じ反応をすると思うからだ。

飲み会で結婚しない事を聞かれた時も、「今めっちゃ楽しいんで必要性を感じていません!」と正直に言えばよかったのだ。言って共感は得られなくても、それで嫌な態度をとられる事はない。
そんな人たちではない。だけど人と違う事を言うことが恥ずかしくて言えなかった。ただ自分が、自分の意見をちゃんと言えなかった。

そういえば、わたしはいつもそうだなと思った。仕事でも、内容を指摘されたら自分の考えを言わずにすぐに言われた通りにする。口論になれば、言い返せなくて心の中で悪態をついてほとぼりが冷めるのを待つ。
そうやって一生ごまかして生きていくしかないんだろうか、少なくとも今のままではそうなんだろう。それこそ、自分の代わりにものを言ってくれる相手を探せよと、ヤジを飛ばされてもおかしくない。

 ちゃんと言えよ、自分でさ



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