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社内だけDXはもう古い!? 次世代ビジネスリーダーが注目する「業界DX」とは

今、日本の市場リーダーたちが、業界やサプライチェーン単位でのDXに注目していることをご存知でしょうか。社内でのDXがようやく進展してきた日本ですが、ビジネスのスケールアップと国際競争力向上を視野に入れたとき、この「業界DX」の必要性が高まっています。

「業界DX」とは何なのか。そしてどういったメリットがあるのか。この記事を通して、ご紹介したいと思います。


「社内DX」で満足していませんか?

DXの定義とその段階

いまやビジネスをする上で当たり前の言葉となった「DX」。しかし、「DX」を達成しているという状態がどういうものか、イメージはできていますか? 実際のところ、「DX」にはいくつもの段階があります。ひとつひとつ解説していきましょう。

最初の段階は「デジタイゼーション」です。アナログ媒体で扱っていたデータをデジタル化・クラウド化することを指します。例えば、会計管理や勤怠管理のシステムをfreeeのようなサービスに移行したり、従来は手で管理していた名刺をSansanやEightで管理したり……こういったことは全て「デジタイゼーション」です。

社内にデジタル化・クラウド化が浸透していくと、会社のビジネス戦略を立てる際にソフトウェアやクラウドサービスをプロセスに組み込むことができるようになります。また、デジタル化に伴って蓄積するデータの管理をメタデータ管理等によって高精度で行うと、社内でのデータ活用が可能となります。こういった段階を「デジタライゼーション」と言います。

社内DXには限界がある

ここまで、一つの会社・組織のなかで完結する「DX」についてご説明しました。しかし、この「DX」の成果をよりダイレクトに利益に繋げていくにはどうしたらよいのでしょうか。

一人でやるよりもたくさんの仲間がいたほうが効率がよい、という例はたくさん思い浮かぶのではないかと思います。例えば、協調的な関係にある業界内の他社――仮にB社としましょう――がある分析データを持っているという場合を考えてみましょう。

もしあなたの会社もそのデータを使いたいとか、あるいはそのデータを日頃自分の会社で取得していたりしたら、B社からデータをもらうことで効率化を図ることができます。B社にお願いしてデータを購入したいですよね? あるいは共同でデータの基盤を構築してひとつのデータをつくるようなシステムを作ることも良い試みです。

自社のデジタル化やデータ活用のシステムが滞りなく整備されたのちに、他の会社・組織、あるいは市場全体を巻き込むようなビジネス戦略を立てること――これが「真のDX」です。

ですが、例えばB社が持っているデータがアナログデータだったら? あるいは、お互いの持つデータ基盤を連携するために新規システムの開発が必要となり、莫大な予算が掛かってしまったら? 

そのようなリスクを防ぎ、効率的な成長を目指す企業に注目されているのが、業界やサプライチェーン単位でのDX。これを私たちJdexは「業界DX」と呼んでみようと思います。

市場リーダーたちは今なぜ「業界DX」に注目するのか

著作者:storyset/出典:Freepik

ビジネスの文脈において「コラボレーション」や「共創」がキーワードとなっています。「業界DX」はまさに、データ活用領域におけるコラボレーション、DXをキーワードとする共創プロジェクトであり、そこには大きなメリットがあります。

シナジーによる利益拡大と競争力向上

社内DXを成功させた方の多くが、その成果を実感されているはずです。既存事業が効率化し、事業成長や新規事業創造に割けるリソースが増えたことでしょう。「業界DX」は一社だけでのDXに比べて規模が大きい分、その成果も大規模なものになります。上記のようなメリットをもっと大きなスケールで享受できるイメージです。

部署間の連携が進んだ結果として全社の利益が増えるのと同様、組織間のコラボレーションが進むことで、企業グループや業界全体に、大きな果実がもたらされるわけです。国内企業が各領域でこのような動きを進めれば、国際的な競争力向上につながります。

新しいビジネスモデルをスピーディーに構築

ですが、「業界DX」の魅力はそれだけではありません。異なる組織間でデータ連携に取り組むと、プロセスとして必ず、それぞれの組織文化の交流が生じます。つまりデータコラボレーションによって社内に新たな風が吹き、これまでになかった共創アイデアが生まれやすくなります。

そして重要なのは、そこにデータ連携基盤が存在していること。この環境があるからこそ、アイデアをスピーディーにビジネスへと具体化させやすいのです。

データコラボレーションで社会課題解決へ

以前に当noteでもご紹介したNEXCHAINさんのように、複数企業間でのデータ連携によって「賃貸入居時プロセスのワンストップサービス」といった新たなサービスを生み出し、社会の「不便」を解決しているケースもあります。

NEXCHAIN「【ニュースリリース】不動産IDを用いた転入居手続きにおける自治体連携DXに関する取り組み」2023年5月31日より引用

NEXCHAINさんは行政とも連携しながら、従来それぞれ別の手続きが必要だった「入居申込」「電気申込」「ガス申込」「電話申込」「水道申込」「転入・転出届」までをワンストップサービスにする取組みを進めています。このように、組織を超えたデータコラボレーションプロジェクトから新たなビジネスモデルが誕生し、社会課題の解決につながるケースが実際に生まれているのです。

「業界DX」で日本の国際競争力向上へ

最後に、海外に目を向けてみましょう。例えば、国際社会のなかで先進的な試みをしている地域の一つであるEU圏では、フランスを中心として農業データのデータ取引を目指すagdatahubや、宇宙・衛星データのSpace Data Marketといった、業界特化型のデータ取引市場(データマーケットプレイス)の取組みが盛んです。

そして日本でも昨今、国土交通省が主導する「不動産ID」ワーキンググループの取組み等、業界単位でのデータ連携基盤整備の試みが進んでいます。こうした国の動きからは、データコラボレーションによる国際競争力向上を目指す意図も窺えます。

このように業界DXはスケールの大きな挑戦ではありますが、その分、とても大きな意義のあるプロジェクトです。その実践過程にはさまざまなハードルが待ち受けていますが、皆様が課題を乗り越えてビジネス成長へとつなげていただけるよう、今後もnoteで情報を発信していこうと思っています。よろしければぜひ私たち日本データ取引所のnoteアカウントをフォローしてください!

【お知らせ】低コストで「業界DX」を始められる新サービス提供開始

私たちJdexは、日本企業のデータ連携活性化とそれによる社会課題解決の促進を目指し、業界やサプライチェーンにおけるデータコラボレーションを手軽に始められるサービスを新たに開始しました。

来たる10/12(火)に開催される「データ・マネタイゼーション カンファレンス 2023」にて展示をおこなうほか、代表取締役によるトークセッションも実施しますので、ぜひお越しください。

もちろんお問い合わせフォームからのご相談も、いつでも受け付けております。貴社に合わせた戦略をご提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。