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「ロッキー新作とか言って、どうせロッキーが無双するだけのバカ映画なんやろ?」

 という風に最初は思っていた、2007年4月公開、ロッキー・ザ・ファイナル。
 自分で言うのもナンだが、当時はTVの再放送で斜め視聴した事がある程度でロクに知りもしないくせに完全にネタ扱いしており、シルベスター・スタローンが出てくる映画=Z級と決め付けていた。
 なので劇場公開時、ブラック企業から転職した先がブラック企業で追い詰められていた私は、溜まりに溜まった憂さの晴らし場を求めて、クサすつもりでロッキー・ザ・ファイナルを観に劇場に向かったものである。
 果たして、設定年齢58歳のロッキーが「まだやり残した事がある」的な事を言い出して、現役復帰に向けて始動! からの、あれよあれよという間に現ヘビー級チャンピオンとの試合が決まってしまう。地元フィラデルフィアの体育員会も渋っていたが試合の許可を出したとの由、これでロッキーに万が一の事があったら「何で許可した!」と世間からフルボッコにされるだろうナ~と、ロッキーの勢いに飲まれてOK出しちゃった体育委員会の担当者が気の毒過ぎて大層震えた次第(震え声)。
 そして実際の試合に入って、チャンプが試合の序盤で手を骨折してしまったから何かいい勝負になってしまうとかいう、無さそうで有り得そうでギリギリやっぱ無さそうな感じで進行し、両者ノックアウトまでは行かず、結果は判定へ。
 と、思ったら、ロッキー陣営が判定読み上げ終わってないのに、おもむろにリングを降り出す帰宅モード! 
 ちょ、待てよ! 対戦相手に失礼過ぎやしないかとも思ったのだが、「やりきった感」を全身から溢れさせるロッキーに対して、観客はロッキーコール大合唱アンサーするやさしい世界。結局判定は1-2で負けなのだが、ロッキーとしては、もはやそんな事はどうでもよかったのだろう。「リングに上がって、まだやれると証明した」というただ一点に集中し、そこをクリアした時点で100億点満点なのである。試合で負けても人生で大勝利!
 世間の基準からは無謀だのピエロだの言われてしまうとしても、自分のやりたい事をやってこその人生なのではないか? というロッキー・ザ・ファイナルの熱いメッセージを受け取った私は、会社を辞めて夢だった業界への転職を決意――――を一度はしたものの、ロッキーのわがままストレート(適当)をにハートをKOされた事で、感動ついでに「やってやらぁ!」欲が「ワイの分もロッキーがやってくれた」てな感じで消滅。そのままブラック社畜・ザ・ファイナルどころかコンティニューし、するうち、転職を希望していた会社は倒産、逆に私がいた会社は大手ホワイト企業に吸収されてごっつぁん便乗ぬるま湯ホワイト会社員に転生して現在に至り、結果的にラッキー・ザ・ファイナル(多分)なのであった。I did’nt it!

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