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「できる人」は環境次第?

同じ人が違う評価?

 私は長野県飯田市に住む個人のITエンジニアです。
 先日、仕事で東京に出張する機会がありました。普段はリモートで開発業務をしているのですが、たまには東京に遊びに来て顔を出しなよと言っていただいてるので、今回も業務のスケジュールを見ながら手ごろなタイミングで行かせてもらいました。
 会社員時代からのつながりの会社なので、旧知の仲間とも会うことができます。そして、かつての同僚たちについてあの人は今どうしてるという話を聞くこともできたりして、そうした人の転職や異動の話はいつも興味深いものです。
 今回耳にしたのは、とあるかつての同僚(A氏)がいまの現場で信じられない評価を受けているという話でした。

ITエンジニアのA氏

 A氏は私が会社員で東京勤務だった頃に一緒に働いた同僚のひとりです。当時は運用オペレーターに近い経験しかないのにSEのポジションに放りこまれて、実質的には顧客と開発者の間の伝言係でした。難しい環境とはいえ、なかなか業務への理解が深まらないので周りもこれは無理な配置だったと諦めました。
 アプライアンス製品を扱う業務に異動になると、そこでは常識の乏しい挙動で周りをひやひやさせました。プラグのオス同士をつなごうとするなどのおもしろい動きもたくさん見せてくれました。
 人当たりは良く、同僚のあいだでは友好的な関係を築いていましたが、仕事ができるという評価は当時はありませんでした。
 ところが最近、A氏が客先の現場で働きぶりを高く評価されているらしく、かつてのA氏を知る同僚の間ではその高評価が信じられないということで話題に上っていたのです。高評価は喜ばしいことですが、その理由は誰もわからないようです。
 なお当人は「皆さんに育てていただいたおかげです」と当時と変わらない軽薄なことを言っているそうで、人間性にそれほど変化はないように感じられ、いっそう高評価の謎が深まります。

IT系営業職のB氏

 それで思い出したのがB氏です。
 彼は当時の私の会社に、他者から営業職として転職してきました。しかし商品であるソフトウェア製品への理解を深めようとする様子ではなく、顧客から質問を受けるといつもエンジニアに転送して回答を求めていました。
 営業職らしく社交的で社内でも同僚との関係性は良かったかと思いますが、営業マンとしての実績が伸び悩むと、同僚と飲みながら会社に対して不平不満を漏らしていたようです。実際に難しい環境だったとは思いますが、ともかく彼も仕事ができるという評価を得られていませんでした。
 ところがB氏が別のシステム会社に再転職したあとで、どうやらうまくやっているという噂を聞きました。生き生きと営業職を努めていて、本人が今の会社の仕事は楽しいと語っていたそうです。
 新しい職場では商品がわかりやすく営業としてやるべきことが明確だからというような話もありましたが、その噂を聞いた私は、本人に合う職場というのがあるのだなとしみじみ思ったものです。

職場を変えればいろいろ変わるはず

 私の関わっているIT業界というのは人材の流動性が非常に高く、転職する人も多いのが特徴です。安定を求める人には合わないかもしれませんが、自分に適した職場を自ら探し求めることがしやすいというのは、この業界の魅力の1つです。
 今の職場環境で自分の力が十分に発揮できないとか、細かな不満が多くてどうも合わない気がするとか、そういった感覚を抱いている場合は、職場を変えることを検討してもいいかもしれません。それは十分に前向きな選択肢だと思います。
 この記事を書いているタイミングだと、4月から新たに就職する人もいるかもしれません。就職先の職場で仕事をうまくやろうとみんなそれぞれ頑張ると思いますが、同時に少しメタ的な視点で、職場を変えるという選択肢も検討しておくのは悪いことではないでしょう。

キャリアプランは柔軟に

 目の前の業務をこなしながらも将来のキャリアプランを意識しておくことは大切です。ITエンジニアなんかは日々学習してスキルを積み上げる必要がありますが、どこを目指して何を習熟するのかという観点で自分の進む先を決めておく必要があります。
 ただし、そうした技能やプランにこだわりすぎる必要もないかもしれません。その時々で楽しく良い働き方をするのも大切です。それに人生はいろいろあるもので、ふとした機会に新しいステップを踏み出すとがらっと状況が変わったりするので、その都度プランを見直していくべきです。
 良い職場に巡り合って良い仕事をしながらキャリアを積むことができればそれが良いわけです。

私について

 私はもともと会社勤めのITエンジニアでしたが、会社を辞めて個人事業主になって長野県飯田市に引越してきました。それまでの運用/開発/セキュリティの経験とクラウド関係を強みに在宅のリモートワークで働くということを実現することができました。
 しかし結局、いま仕事をしているのは会社員時代のつながりで入ったプロジェクトです。業務的には会社員の仕事と大差ないので、もっとこう独立してフリーな感じでと思っていたのとは少し違います。ただ、仕事はうまく進められていると思いますし、担当する業務内容にも不満はなく、たくさん良い経験を得られているので、これでいいじゃないかと思います。
 今後については、いずれまた新しい道へと進むことになるタイミングがあると思いますが、そのいろいろな選択肢を考えながらも、不確定な未来を楽しもうという気持ちがあります。予期せぬ展開、変化の中で良い環境を求めていきたいと思います。

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