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指す将順位戦6th A2-9 vs ブリさん

 指す将順位戦の自戦記です。9回戦について書いていきます。

素晴らしいブリの照り焼き

 9回戦のお相手はブリさんですが、ブリと言えば照り焼き、照り焼きと言えばブリです。手間がかからないのにメインディッシュとして力強い旨味がある偉大な料理、まさにグレートブリ照り。かの国のフィッシュアンドチップスにも劣らない日本のソウルフードと言えましょう。

 基本の材料は以下になります。

用意するもの:
  1.ブリの切り身
  2.醤油+味醂(1:1)
  3.コンロ、フライパン、皿

 基本の調理工程は以下になります。

お料理の手順:
  1.切り身をタレに漬ける
  2.フライパンで焼く
  3.皿に盛りつける

 簡単ですね。(※グリルを洗うのが面倒なのでフライパンを使用)
 しかし、より美味しいブリ照りにするためにはいくつかポイントがあります。

◆美味しいポイント(1)
  ・タレに料理酒や砂糖を加えるとより本格的になる
  (切り身の全体に染みさせよう)

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◆美味しいポイント(2)
  ・最初に皮を焼いておくと、パリッとして皮まで美味しい
  (焼き足りなかった)

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◆美味しいポイント(3)
  ・タレを足しながら焼き、切り身の厚みに応じて味の濃さを調整する
  (ちょい焦げた。砂糖が入ってると焦げやすい。弱火でじっくり)

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◆美味しいポイント(4)
  ・平たい皿に盛る
  ・薬味を添えてさっぱりした変化を用意する
  (今回は練り生姜。ハジカミは入手困難)

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 美味しかったです。

棋譜

 棋譜は将棋倶楽部24またはJavaScript将棋盤で。

待望の対振り陽動

 本局は先手番になりました。居飛車も振り飛車も指しこなすブリさんですが、本局は向かい飛車に構えて美濃囲いを組んだため、こちらは対美濃囲いの陽動振り飛車を発動することとなりました。
 実はこの戦型、この戦型を試したいがために指す順に参加したと言っても過言ではないくらい、私にとって重要な戦型です。この作戦が通用するか否かというのが最も知りたかったところ。序盤は一手ごとに緊張感が高まりました。

▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲3八銀 △2二飛
▲2七銀 △4二銀 ▲3六銀 △4四歩 ▲5六歩 △4三銀
▲9六歩 △9四歩 ▲7八銀 △6二玉 ▲7九角 △7二玉
▲8六歩 △8二玉 ▲8七銀 △7二銀 ▲8五歩 △6四歩
▲8六銀 △7四歩(図1)

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 この戦型について自戦記では詳細を書ききれませんが、後手の△9四歩と△8二玉はポイントで、左棒銀を実行しやすい形と言えます。理想形は▲5七角と▲8八飛を準備して▲9五歩△同歩▲同銀以下、美濃を正面から突破する展開でした。
 ただ、△5一角で9五の地点を受ける手はかなり珍しく想定外でした。先に▲9五歩と仕掛けた方が良かったかもしれません。

▲5七角 △5一角 ▲9七香 △5四銀 ▲9八飛 △6五銀(図2)

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 △6五銀から銀を居玉の正面へ繰り出してくる対応は最も素直かつ有効な後手の対応です。しかしそれはこちらも織り込み済み。勝負はここからです。

難解な中盤戦

 先手は端への攻撃態勢を整え、時限爆弾といった様相。しかし居玉が薄いため後手からの動きを無視することはできません。難解な中盤戦が長く続くこととなりました。

▲9五歩 △同歩 ▲同銀 △5六銀 ▲3九角 △3五歩(図3)

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 この戦型で△3五歩を突かれると、難局を覚悟しなくてはなりません。後手が端攻めの脅威を正しく認識している証拠であり、その前に局面を動かそうとしています。
 対して、同銀は危なかったかもしれません。いつも迷うのですが、結論的には引くべきなのかもしれません。

▲同銀 △3八歩 ▲同金 △3二飛 ▲4六銀 △4五歩
▲5五銀 △5四歩 ▲同銀 △5七歩 ▲8六銀 △9七香成
▲同飛 △5五香 ▲6八玉 △6五銀 ▲5三銀不成 △3四飛
▲4四香 △5二金左 ▲6四銀成 △5八歩成 ▲同金 △同香成
▲同玉 △4四飛 ▲6五成銀 △4六歩 ▲5五成銀(図4)

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 お互いに急所を掴みにくい形で、わからないままに局面が動いていきました。
 図4では△5三香が好手になったと思われます。仮に▲5四歩△同香▲同成銀△同飛となったとき、8六の銀が浮いているため先手をとって受けることができませんでした。

△4七歩成 ▲同金 △5三香 ▲5四歩 △同香 ▲同成銀
△同飛 ▲5五歩 △同飛 ▲5六香 △2五飛 ▲2八香(図5)

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 途中、▲5五歩に△同飛は▲5六香をうっかりしていたとのこと。5二の金が質駒となり1つ先手のポイントになりました。
 図5では先手をとるために飛車取りの手を続けていますが、飛車の取り合いは後手有利のため△9六歩~△9五歩と9筋を止める手がありました。本譜はこの連打の筋について後手が機を逸したようです。

攻めのターンが回ってきた

△6五飛 ▲6六歩 △6四飛 ▲9一銀 △7一玉 ▲5二香成
△5四飛 ▲5六歩 △5二飛 ▲9二飛成(図6)

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 ついに攻めの手番が回ってきて、▲9一銀~▲9二飛成と端を食い破ることができました。
 先手の調子が良くなってきましたが、ここでも△7三銀と受けられるとまだ難しかったかもしれません。▲8三龍には△8二歩で、龍が取られてしまいます。

△3八銀 ▲5七角 △6七金 ▲同玉 △4七銀成 ▲3五角
△4四歩 ▲同角 △5三金 ▲1一角成 △3三角 ▲2一馬
△6三香 ▲5五桂(図7)

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 最終的には、△3八銀に乗じて角を使い、△5三金と使わせたことではっきり勝ちになりました。先手駒得のうえ、2枚の大駒が成って活躍しており、一方で後手の攻めは切れ模様。投了もやむなしでしょう。

反省点は

 ずっと危ない局面が続いていましたが、局面の複雑さゆえ、後手が正しい攻めを継続するのも難しかったものと思われます。形勢不明の状態が続き、結果として辛くも凌ぎきったという難局でした。

 序盤の反省点の1つは、▲9五歩を一度見送って△5一角と受けられたこと。△5一角の受けを想定して作戦を見直す必要があるかもしれません。場合によっては▲7六歩から攻める手があるかどうかなど。
 その後、△3五歩を取るか引くかはずっと悩ましいところでしたが、判断基準を考える必要がありそうです。引いたほうが攻められにくいですが、後手玉が端から逃げ出して延命しつつ反撃してくる展開になりやすいです。

 中終盤は難解で、反省するのも難しいと感じています。「うまく攻められたら負けだけど、うまく攻めるのも難しいでしょう?」というのは、この戦型の特性でもあります……。

今後について

 5勝4敗と再び勝ち越すことができました。これで降級はほぼ無くなったんじゃないかと思いますが、残り2局も全力で勝ちにいく決意です。

 リーグ表に関しては、対局の残りが少なくなり、昇級争い・降級争いが熾烈になってきています。A2の対局はずっと注目してきただけに、観る立場としても非常に面白いところです。

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