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対話とは何か? ~「対話」を展示するダイアログ・ミュージアム「対話の森」を主宰する志村季世恵さんを迎えて考える~ (キャリアデザインライブ)

今週の夜はオンラインイベント続き。丹念にリフレクションして書き残す体力が不足してますが、できる限りやってみます。
月曜日は2022年 第1回キャリアデザインライブ!新体制で研究会企画委員会の責任者になってから、毎月開催を目標にやってます。今回は鬼沢さんの渾身の企画でした。まずは、告知を引用します。

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開催日 : 2022年1月17日(月)19:00~20:30
テーマ : 対話とは何か? ~「対話」を展示するダイアログ・ミュージアム「対話の森」を主宰する志村季世恵さんを迎えて考える~

【 研究会詳細 】
見えないからこそ、見えるもの。
聞こえないからこそ、聴こえるもの。
老いるからこそ、学べること。

ダイアログ・ミュージアム「対話の森」のホームページの冒頭にはこのメッセージがあります。対話の森とは? | ダイアログ・ミュージアム「対話の森®」 (dialogue.or.jp)

ここ「対話の森」の中のダイアログ・イン・ザ・ダーク、ダイアログ・イン・サイレンス、ダイアログ・ウイズ・タイムという3つの体験型エンターテイメント施設では、それぞれ視覚障がい者・聴覚障がい者・高齢者が、見えない世界、聴こえない世界・年を重ねた世界をアテンド(案内)してくれます。ハンディキャップや世代、文化、宗教、民族など世の中を分断しているたくさんのものを対話によってつなげていく。「対話の森」の主催者である志村季世恵さんにこの施設にこめている思い、また実際にそこで起きている変化等、ダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドスタッフも交えて語っていただきます。会話でもなく、ディベートでもなく、議論とも違う、「対話」とは何でしょう?これを考えることで人と人とのつながりについて、わかりあうことについて一歩深めていきませんか。キャリアデザイン学会に集う人、興味のある人であれば、人と人とのつながりについて、もっと深く知りたいと思うはず・・・今回はそんな意図から企画しました。「対話の森」を訪れたことのある人も、ない人も、多くの人の参加をお待ちしています。

ゲスト  志村 季世恵(しむら きよえ)さん

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表理事。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」コンテンツプロデューサー。「ダイアログ・イン・サイレンス」総合プロデューサー。1999年日本でのダイアログ初開催以来、アテンドの研修ならびにコンテンツ開発を担当。発案者アンドレアス・ハイネッケ氏から暗闇の中のコンテンツを作ることを任されているただ一人の女性。主な著書『さよならの先』(講談社文庫)、『いのちのバトン』(講談社文庫)、『まっくらな中での対話』茂木健一郎(講談社文庫)等

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私は10年近く前にダイアログ・イン・ザ゛・ダークに参加したことがあります。とにかく最初の頃、暗闇が怖くて不安でいたことが印象的です。でも、視覚障がいの方のガイド(アテンドと呼ばれています)を信頼し、あちこちから聞こえてくる仲間の声に気持ちを強くしながら歩き進めるうちに、空気の流れや声の響きなんかから、こっちは開けてるなぁとか感じるのが不思議だったのを覚えています。今回は主宰の志村さんの導入の思い、運営の苦労も伺い、ダイアログ・イン・ザ゛・ダークが実に貴重な場のようにあらためて感じしました。

感じたことを2つだけ書きます。会の中で聴覚障がいの方が汐留の交差点を渡る映像をみました。目の前を巨大なトラックがスピードを落とさずに走る中、信号機の音をたよりに一歩を踏み出します。通勤で歩くにも「勘と度胸と勇気」が必要とお話をされていました。ただ、もちろん「勘と度胸と勇気」だけでサバイブしているわけではありません。視覚という強力な入力機関がなくても人間には他の機関があるのです。聴覚、臭覚、触覚すべてを動員して通勤しているわけです。そして彼ら彼女らは空間把握にたけているといいます。立体的な空間把握も含めて。本当に視覚という機能が強力し過ぎるために、私たちは自分がもって生まれたほかの機能をおろそかにしているだけなのかもしれません。なので「勘と度胸」はどうかと思いますが「勇気」が必要なことだけは間違いないと思います。常に一歩踏み出す勇気を彼ら彼女らは実感しているのかなと感じました。ありがたいことに視力を持っている私たちも、一歩踏み出す勇気というものは大変なものだということを知っています。

もう一つは事業運営についてです。志村さんはドイツの本部から世界で唯一認められたプログラムのカスタマイズを許可される運営者です。視覚障がいのアテンドの方々をプロフェッショナルと称していました。そして、プロフェッショナルとして相応の給与を支給することを実践しています。福祉ではなく、プロフェッシナルとして対峙しているわけです。他国ではこのような施設は何らかの公的機関が運営されているそうです。しかし、日本ではあくまでも志村さんたちが一民間団体として手掛けています。福祉としての取り組みであればそれなりの公的補助が出るそうですが、そうでないと一切の支援は得られないようです。かなりせつない話です。ダイアログ・イン・ザ・ダークは福祉の世界を超越して私たちに訴え、私たちに考えさせられるものがあるのに…です。私たちにまずできることは、ダイアログ・イン・ザ・ダークの場に足を運ぶことではないか、そしてそれを多くの人に伝えることではないか、終了時にはそんなことを感じました。皆さん、ご一緒しましょう。


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