拝啓 母上様

「肝っ玉母さん」というのは何だろう。当然だが「母さん」は分かる。問題は、母さんの前に付いている「肝っ玉」部分だ。何故か、肝っ玉父さんだとか、肝っ玉姉さんなどのようには使わない言葉、肝っ玉。この言葉は一体何だろう。

漢方薬として最高級品の一つとして数えられるのが、パンダの肝っ玉だ。滋養強壮、精力増進、何でもござれの夢の薬。肝っ玉を求めてパンダの密猟が絶えない。

最近性転換の手術を受けた彼。ついでにコスタリカで肝っ玉まで取ってしまったらしい。人として何かが変わってしまったようだ。

新発売の洗剤に新成分をプラス。特許成分の肝っ玉が汚れを見つけて根こそぎ落とす。主婦の強い味方がまた増えた。

秩父のある農家では、10年の試行錯誤を経て世界で初めて肝っ玉の栽培に成功した。たわわに実った肝っ玉。今までは庶民には手の届かない高級食材だった肝っ玉が、これからは気軽に楽しめる秋の味覚となりそうだ。

世界に散らばる七つの肝っ玉を集めると、母さんが出てきて、一つだけわがままきいてくれるらしい。何だかいまひとつ集める気にならない肝っ玉。

今まで肝っ玉母さんには興味が無かった私だが、書いているうちに会いたくなってきた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?