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幻の童謡詩人 金子みすゞの世界展 朝日新聞社

「金子みすゞ」は日本人であれば誰でも知っているといっても過言ではない日本を代表する詩人ですが、僕は彼女のことをちっとも分かっていませんでした。彼女の生まれ、人生、最期、日本や世界に与え続けているもの。僕は四半世紀を生きてから知ることとなります。

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僕は何も知りませんでした。「こだまでしょうか」「みんなちがって、みんないい」くらいしか知りませんでした。

そして、僕は彼女の生きた人生や彼女の最期を本書を通して、また涙を流しました。彼女が幼い娘を残して、若干26歳で世を去ったことさえも知りませんでした。

26歳というのは、僕の現在の年齢です。彼女の命日は1930年(昭和5年)3月10日。私たちが経験した東日本大震災が起こったのは2011年3月11日。このCMを覚えていらっしゃる方も多いかと思います。

震災後にCMで引用された彼女の詩は、多くの日本人の心を穏やかにしてくれました。

でも、僕はこの詩を金子みすゞが書いたことを意識する余裕もありませんでした。ただ、こうして本書と出会い、金子みすゞが書いた詩を心に響かせることで、「あの時彼女は多くの日本人を救ってくれたんだな」と思えました。

みすゞの詩からは、無償の愛がにじみ出ています。僕が好きな詩を一つご紹介して、終わりにしたいと思います。


星とたんぽぽ


青いお空の底ふかく、

海の小石のそのように、

夜がくるまで沈んでる、

昼のお星は眼にみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。

散ってすがれたたんぽぽの、

瓦のすきに、だァまって、

春のくるまでかくれてる、

つよいその根は眼にみえぬ。

見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。


見えないものの大切さ。

出逢っていても気が付かずに、見逃して、見逃していることにすら気が付かないで、毎日の眼の前の生活、出来事、情報に眼を奪われ本当に大切なものを見過ごしている。

出逢いは、その瞬間に出逢っているということに気付く感性と想像力が必要ですよね。やさしさと深い感性の感じられる詩ですね。

それではそれでは。

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