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異文化コミュニケーションとしてのブランディングなぜブランドは伝わらないのか? -齋藤嘉昭-


要旨


ブランドを伝えることは難しい。ここでいう「ブランドを伝える」とは、企業・組織レベルのブランディングを構築、運用する際の様々な社内外のコミュニケーションを指す。ブランドは目に見えず、顧客の頭の中にあるイメージの貯金箱とも言われる。(上條 2022) ブランドの送り手と受け取り手でイメージをどう合わせるか、ブランディングは詰まるところコミュニケーションの問題である。一般的にコミュニケーション上の問題の多くは、使用言語の相違だけでなく、自分と相手との間での前提条件や用語の定義、概念の不一致、ズレにある。

「伝えることは難しい」と思う裏には「伝わるはずだ」、「相手が自分と同じ発想に立つはずだ」という無意識の期待があり、その期待が裏切られるために「難しい」となる。さらに本稿で「異文化」としたのは、ブランドはその定義からして十人十色で、同じ組織、同じ言語、同じ国にあっても相手に正確に伝わらない、議論が噛み合わないことが往々にしてあり、ブランディングはお互いの文化の違い、すなわち異文化コミュニケーションの問題と
も言えるからである。文化が異なる以上は「伝わらない」のが当たり前と受け止め、それをどう繋げるかを考える必要がある。
本稿は、ブランディングに関わるコミュニケーション上の課題を異文化コミュニケーションの視点から考察し、「異文化の3つの壁」という区分でブランディングのコミュニケーション上の課題を認識する。その3つの壁とは、第一に輸入文化としてのブランドの壁、第二にブランドを社内・組織内で議論をするときの他のメンバーとの壁、第三に顧客と接する際の市場の壁である。ブランドを伝えるには、異文化の3つの壁を乗り越えなければならない。
さらに、異文化の3つの壁を克服するということは、自分の文化を相手に押し付けることでも相手の文化に迎合することでもなく、第3の文化(Third Culture)を形成することと考える。それができてブランドが伝わることになる。

本文


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