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5人制サッカーのルールと見どころ|事前に勉強して試合を楽しもう!

音とコミュニケーションのサッカー

5人制サッカーは、視覚に障がいがある選手がプレーするサッカーです。アイマスクを着用した選手たちは、人が情報の8割を得ているという視覚を閉じた状態で、仲間の声と音を頼りに、頭の中でピッチの状況をイメージします。

見えないからこそ、おもしろい。そんな5人制サッカーのルールと競技の魅力を、東京2020パラリンピックにむけて紹介します!

5人制サッカーの特殊なルール

5人制サッカーは、視力がB1クラス(全盲から光覚[光を感じられる]まで)のフィールドプレーヤー4人が、アイマスクを装着してプレーします。

選手たちが見えないからこそ工夫された特殊なルールが、この競技をおもしろいものにしています。

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1.音のなるボール

中に鉛が仕込まれたボールは、転がると「シャカシャカ」と音が鳴ります。その音を頼りに、見えない選手たちはボールの位置や 転がるスピードを察知しています。 大きさはフットサルボールと同じです。

2.Voyという声

フィールドプレーヤーはボールを奪いに行くときに、 「ボイ(Voy)!」と声を出さなければなりません。これは、選手の存在を知らせて危険な衝突を避けるためのルールです。発しないとノーボイというファールを取られます。 「ボイ(Voy)」とはスペイン語で「行く」という意味です。

3.サイドフェンスの存在

40m×20mのピッチの両サイドライン上に、高さ約1mのサイドフェンスが設置されます。フェンスは、ボールがサイドラインを割るのを防ぐだけでなく、選手たちがピッチの大きさや向きを把握することも助けます。また、フェンス際の激しい攻防や、フェンスの跳ね返りを利用したテクニックも5人制サッカーの見所のひとつです。

4.晴眼者や弱視者が務める、ガイド・監督・ゴールキーパー

5人制サッカーは、視覚に障がいがある選手と、目が見える人たちが力を合わせないと勝つことができないサッカーです。ガイド・監督・ゴールキーパーは、晴眼者や弱視者が務めます。

◉ガイド(攻撃の指示を出す):敵陣ゴールの裏に立って、味方が攻めている場面でゴールの位置と距離、角度、 シュートのタイミングなどを声で伝えます。 選手とのコミュニケーションで多彩な攻撃をアシストする5人制サッカーならではのポジションです。

◉監督(ピッチ中央の指示を出す):5人制サッカーの監督は、チームマネジメント、戦略・戦術の立案、選手交代の決定などを行います。また、試合中はサイドフェンスの外側中央に立ち、センターガイドとして、ピッチ中盤エリアの味方選手に対して戦術的な指示や情報を与えます。

◉ゴールキーパー(守備の指示を出す):守備について、見えない選手に声で指示を出します。 また、味方選手とコミュニケーションをとり、自陣ゴール前からの攻撃を組み立てることもあります。

※日本国内の大会では、晴眼者や弱視者もアイマスクを着用すればフィールドプレーヤーとして試合に出場することができます。

競技の見どころ

1.見えない選手たちのイメージ力

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選手たちは、固定された位置にいる「ガイド・監督・キーパー」の3点を基準として、自分の位置を把握します。さらに、ボールの音や味方の声かけ、相手のVoyの声と気配などから空間を認知して、頭の中にピッチをイメージします。

視覚以外の全身の感覚を研ぎ澄ませて選手たちが繰り出すスーパープレーは、本当に見えていないのか? とすら思ってしまうものです。

▼プレー動画はJBFA公式YouTubeチャンネルからご覧ください▼

2.見えない中でのコミュニケーション

人が情報の8割を得ているという視覚を閉じた状態で行うからこそ、5人制サッカーはコミュニケーションのサッカーだとも言えます。

フィールドプレーヤーたちは、見えない同士で声をかけ合ってポジショニングを修正し続けます。また、フィールドプレーヤー間のコミュニケーションだけでなく、見えている人(ガイド・監督・ゴールキーパー)とのコミュニケーションも重要になります。

5人制サッカーのスピード感ある試合の中では、見えていない選手に一つひとつ丁寧に説明するような指示でなく、プレーに必要な情報をピックアップしてコーチングします。

的確なコミュニケーションで、攻守にわたってコンパクトさを維持する組織的なポジショニングは、日本代表チームの強みになっています。ぜひ注目してご覧ください!

3.視覚障がい者スポーツの常識を覆す、接触プレーの激しさ

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これまでの視覚障がい者スポーツでは、視覚障がいの度合いが重いほど(見えにくいほど)、動く範囲が限定され、味方や相手と接触することがないように安全性が配慮されていました。しかし、5人制サッカーでは、選手は自分の考えで判断し、ピッチを自由に駆け巡ることができます。全力で駆け出して、ぶつかって転んでも、立ち上がってボールを追う。5人制サッカーのピッチには、視覚障がい者が日常では感じることが難しい「動くことの自由」があるのです。

そんな、5人制サッカーでは接触プレーが多くなり、見えていない選手がプレーするとは思えない激しい競技になります。「見えないならこのくらい」「障がい者はここまで」……といった、固定概念や価値観をひっくり返す、そんな力と可能性がある競技なのです。

大会スケジュール

※予選グループの日本代表の試合スケジュール
8月29日(日)男子予選 - グループA 日本 vs フランス
8月30日(月)男子予選 - グループA ブラジル vs 日本
8月31日(火)男子予選 - グループA 日本 vs 中国

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