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江戸の人にとって9月は菊の月です。現代の10月頃にあたり、まさに菊の花が咲きはじめる季節のため「菊月」や「菊咲月」とも呼ばれます。 ちなみに、この菊人形は実際に浮世絵にも描かれているものです。ピンチになると「しばらく~」という掛け声とともに現れる、歌舞伎の人気演目『暫(しばらく)』のヒーローの見せ場の再現です。 『暫(しばらく)』には主人公を女性に変えた派生作品『女暫(おんなしばらく)』もあり、庶民のニーズに応えて男女両方の主人公が菊人形化されています。今に例えると、大ブー
夏の軒下に吊るすものといえば風鈴。ですがもうひとつ、江戸っ子に人気の “吊るす観葉植物“があります。今回は「釣りしのぶ」のご紹介です。 ざっくりと釣りしのぶの作り方を書きましたが、材料となる山苔やしのぶを探すのも、山苔が崩れないよう成形するのも、葉が出てくる場所を予測しながらしのぶを巻き付けるのも一筋縄ではいきません。各工程で職人の観察眼や技術が大変に問われるものでした。 釣りしのぶは、江戸の庭師が趣味で作ってみたものを出入りしていた屋敷へ、お中元として贈るようになったの
本格的に日差しが強くなるこの時期、江戸の浅草寺には年に一度のご利益を求めて人々が参拝に押し寄せます。今回はそこで開催される「ほおずき市」のご紹介です。 浅草寺の四万六千日は7月10日ですが、我先にと、ご利益を得るため前日から駆けつける人が多かったようです。そのうち7月9日もご利益の対象となり、いつからか7月9日・10日の両日が四万六千日とされるようになりました。 現在も毎年7月9日・10日の四万六千日には浅草寺で「ほおずき市」が開催され、露店が立ち並びます。 ほおずきは観
植木や草花を愛でる園芸文化が庶民まで広く浸透するようになると、そうした人々を対象にした仕事も増えていきます。今回はその一部のご紹介です。 一口に植木屋といっても、「地植え」を中心に扱う人、「鉢植え」を中心に扱う人、特定の品種だけを栽培する人、新たな品種を開発する人など多岐にわたりました。 規模の大きな植木屋になると、広大な敷地内でさまざまな植木や草花を育てていたようです。お客さんはその植木屋の敷地へ自由に入り、見物をすることができました(気に入ったものがあれば購入もできます
桜の季節の後、江戸っ子が次に夢中になるのは藤の花。 藤の花が咲くと、人々は春の終わりと夏の訪れを実感しました。 また、藤の花にとどまらず、日が長くなると共に多種多様な花が見頃を迎え、あちこちの花見スポットが観光客で賑わいます。 桜だけではない江戸の花の名所の数々、今回はその一部のご紹介です。 これらの名所は『江戸名所花暦(えどめいしょはなごよみ)』など、当時のガイドブックにも記載されています。名所になったきっかけは様々ですが、現代も変わらず花見スポットとして名を残している
春を代表するイベントである桜の花見は、江戸時代に庶民に広まりました。 お洒落をして郊外へと足を伸ばし、桜並木の下で散歩や弁当を楽しむ1日がかりのイベントです。そんな江戸の花見の成り立ちや、当時の名所を調べてみました。 音曲の師匠と弟子たちが身につけているおそろいの着物は、浮世絵に描かれているものを参考にしています。桜色と格子柄がかわいいですね。 桜並木が生まれて花見のスポットが拡大するにつれ、こうした「お花見ご一行」といった団体行動が多く見られるようになります。また、周辺に