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20歳樹木オタクの、ひとり演習林

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執筆者 三浦夕昇 樹木がとにかく好きな20歳。 日本の樹木や、森のことを、写真と共にゆる〜く解説。森の中を散歩するような気持ちで、お気軽にお立ち寄りください。個性豊かな樹木達が、… もっと読む
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#樹姿

樹木図鑑 その⑥ スダジイ 〜宅地の隙間の、深い森〜

高畑勲監督が1994年に製作したジブリ映画「平成たぬき合戦ぽんぽこ」は、東京都西部・多摩地域の開発がテーマになっています。作中に森林破壊の描写があることから分かる通り、かつて多摩丘陵には緑濃い広葉樹林が広がっていたのですが、1950年代〜1970年代にかけての宅地開発で森は激減。現在の多摩丘陵には住宅地が延々と広がっていて、以前存在していた森は”都市公園”という形で断片的にその姿を留めているにすぎません。 こういった諸々の経緯・地域特性を以前から知っていた僕は、”多摩地域は

ハンディを抱えた樹木たちの、華麗なドレスアップ 〜板根が見たい‼︎〜

板のような根と書いて「板根」。 鼻濁音で始まるせいか、この言葉にはどこか仰々しい響きがある。子供の頃、植物図鑑で「バンコン」という用語に初めて出会った時、「なんかよく分かんないけど、スゲ〜」と思った記憶があります。 その図鑑には、マレーシアのラワンの板根の写真が載っていて、それにはもっと驚かされました。なんじゃこりゃあ。 人の背丈より高いところで、幹と根っこが接続して、でっかいスカートが出来上がってる……。言葉の響きに釣り合う、奇しい樹姿。未知なる異形の樹木に、どうしようも