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求道者が紡ぐ、深淵な音色[岩川光×尾花毅]

岩川光(ケーナ)

動画を再生した瞬間に、分厚く芯の通った力強い音色の迫力に驚いた。ケーナとギターという組み合わせから、静謐なサウンドを先入観として抱いていた筆者は、自分が恥ずかしくなった。岩川が時折、自身の声を発しながら奏でるサウンドはジョン・コルトレーンの最後期の、人力演奏の限界まで到達したかのような高みに上り詰めた求道者の面影を感じた。対する尾花も岩川の発する尋常ではない音の波動に対して、その指先から熱量の高い音を爪弾き出す。ケーナとアコースティックギターというシンプルな編成から、ここまで豊かでダイナミックなサウンドが生まれる驚きは、月並みな表現だが「目から鱗」という言葉が当てはまる。「目から鱗」とは、まさにこのような演奏を前にして発せられるのがふさわしい言葉ではないだろうか。視聴者は1曲目の「Brisa Verrde」と「Hikaru:Ⅱ」から、それを強く感じ取れるだろう。

尾花毅(7弦ギター)

 岩川と尾花が編み出す楽曲は、どこか懐かしさを感じさせる親しみやすさを持つが、だからと言って日本的な郷愁というわけではなく、人間の深淵に訴えかけるような温かさと独自の世界観を有している。今、日本の地でこんなにも豊かな音楽が奏でられていることは喜ばしい事だ。岩川作曲の「Aguamente」における神々しさを纏った演奏で、その独自性を堪能してほしい。

 また、4Kでの動画収録というのも、この2人の圧倒的なパフォーマンスの魅力を収めるのに貢献している。鮮明な画質はもちろんだが、岩川の深く胸に迫る豊潤な音色、尾花の繊細に編み込まれた刺繍のような、きめ細かなギターの響きが刻銘に記録されている。眼前で行われているパフォーマンスに肉迫する映像で、演者の演奏の特徴をよく捉えている。今後も「JAZZ SUMMIT TOKYO」が発表する4K動画に期待していきたい。

収録会場:MAC's CARROT(目白)

 ケーナという楽器の表現の可能性を拡げ続ける岩川と、7弦ギターの名手である尾花の名演をいつでも身近に聴く事が出来ることは非常に喜ばしいが、この動画をキッカケに2人の演奏の魅力に、もっともっと触れていってほしい。

文:小島良太(ジャズライター・ジャズフリーペーパー「VOYAGE」編集長

▼紹介の動画はこちらにてご視聴いただけます。
動画配信サービス『JAZZ SUMMIT TOKYO PREMIUM』
https://www.jazzsummit.tokyo/premium

岩川光webサイト
https://hikalucas.wixsite.com/hikaruiwakawa

尾花毅webサイト
https://www.obana7cordas.com/

JAZZ SUMMIT TOKYO 公式webサイト
https://www.jazzsummit.tokyo/

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