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いま、渋谷がジャズで熱い!気軽に生演奏を聴きに行けるジャズクラブの魅力について。

JAZZ SUMMIT TOKYO オリジナル企画「サスティナブルジャズ」第5回目

ゲスト:前田毱子(まえだまりこ)
長崎県壱岐産まれ0歳から福岡市博多育ち。寿司屋のアルバイトの経験から23歳の時にバーテンダーへの道を歩む。サントリーカクテルアワードなどの大会に出場しNBA(日本バーテンダー協会福岡支部)では研究部に所属。
福岡時代に自主企画でJazzピアニストの平戸祐介さんのソロピアノを開催したことを機に、LIVEイベント企画などをスタート。
8年前に東京へ移住し LD&K に入社3年前にjazzbar琥珀ブッキングマネージャーとして東京渋谷からLive Musicの感動や文化を広める為、発信継続中。
jazzbar琥珀
https://www.udagawacafe.com/kohaku/

左 ゲスト:前田毱子

ミュージシャンが好きなハコ「jazzbar琥珀」

中山 今回のサスティナブルジャズは、ジャズクラブの経営者の目線から見たジャズの持続可能性についてお伺いしたいと思います。ゲストは前田毬子さんをお呼びしています。前田さんは、8年前に株式会社LD&Kに入社。3年前にjazzbar琥珀のブッキングマネージャーとして渋谷からLive Musicの感動や文化を広めています。僕もお世話になっていますが、まず、会社とお店のことからお伺いしましょう。LD&Kさんはレーベルですよね?その中で飲食事業もやっていらっしゃって、前田さんはjazzbar琥珀のオープン当初から携わっていらっしゃいますよね?
 
前田 そうですね、オープンから半年後くらいからブッキングもはじめました。ジャズが中心ですが、ポップスにも出ていただいたり、後々はシャンソンもと思っています。やっぱりライブ力のある方に出ていただきたいというのはありますね。
 
中山 幅広いですね。ジャンルを隔てなくされている意図は?
 
前田 最初はジャズミュージシャンじゃないといけないと思いましたが、ライブというものが好きなんです。ライブの魔力ってありますよね。足を運んで一緒の空間で感じる。そんなライブの素晴らしさを琥珀から発信したいと思った時に、ジャンルを分ける必要はないかなと。
 
中山 僕も月1回くらいでセッションをやらせていただいていますが、場所もすごく良いですよね。渋谷駅から徒歩5分くらいだし、スモーキーな空間も好きです。こだわり抜かれていて、ミュージシャンがとっても好きなハコだと思います。
 
前田 そういう風に言ってもらえたら嬉しいですね。
 
中山 毬子さん自身はなぜジャズを聴くようになったんですか?
 
前田 きっかけは、街中で流れてた音楽がすごく良いなと思って。ただ、何の曲かどのジャンルかもわからなくて。そこで、レコードがたくさんあったバーのマスターに探してもらって、聴かせてもらいながら、「これです!」って言って。それで、ジャズのフュージョンが好きだということを知ったんです。そういう、自分が素晴らしいと思ったものとか感動とかを人と共有したいんですよね。
 
中山 そういう人のおかげで演奏できているんですよね。

左:鈴木直人(Guitar)  中央:牧野竜太郎(Vocal)  右:松尾由堂(Guitar)

「もっと自分出しちゃえ!出しちゃえ!」っていつも思いながら聴いています。

中山 続いて、ジャズの将来。ジャズの持続可能性についてお伺いしたいと思います。
 
前田 ジャズの未来について私が語るのはおこがましいですが、素晴らしいミュージシャンと出会うと、もっと色々な人に「知ってもらいたい」という気持ちが強くなるんですよね。どんなに素晴らしいミュージシャンであっても、知ってもらわないと感動は連鎖しないじゃないですか。じゃあ、どうやって知ってもらうかというと、うちで演奏してもらったり、SNSで知ってもらったりすると思いますが、やっぱりミュージシャンって見られる仕事なんですよね。どんなにお客さんが少なくても多くても、「見られている」ということを意識したMCとか服装だったり、自分のキャラクターを作り上げるのも必要だと思います。別に、プロデューサーがついてなくても、自己プロデュース能力がこれからは必要ですよね。昔と違い、今は自分でやって自分でデビューする人が多い。だから、やっぱりミュージシャンとなったら、もっと自分のこと・自分の内面をアピールすることが大事だと思います。
 
中山 セルフプロデュースできている人はお客さんが来やすいと思いますか?
 
前田 楽しいじゃないですか。別におしゃれじゃなくてもいいんですよ。その人の魅力を出す、自己プロデュースですよね。スーツ着とけばいいわけではなく。私はミュージシャンじゃないから感じ取るだけだけど、「わー!」ってくる時のミュージシャンってそういう心の中にあるものを音にして形にできる人なんですよね。
 
中山 音楽自体が内面から出るものを形にするものなんですね。それこそ、ファッションと音楽って通じるものがあると思う。ロックの人とジャズの人の服装や髪型って全然違って、ギタリストはだいたい長髪っていうイメージがあったり。文化だもんね、結局。文化を作って、そこの周波数が合う人が集まる。
 
前田 私は、「もっと自分出しちゃえ!出しちゃえ!」っていつも思いながら聴いています。
 
中山 ミュージシャンの目線からはわからない、音楽に落としすぎるから。だけど、毬子さんから見ると、そういう風に感じられるんですね。

ShunskéG (Vocal)

音楽のライブ力を感じられる、もっと魅力的なお店にしたい。

中山 お店として「持続可能性」を考えた時には、どんなことを考えてやっていらっしゃいますか?

前田 お店としては、やっぱり魅力的なブッキングをやって行きたい。音楽をうちの店で発信していくことは、音楽のライブ力を感じてもらいたいからで。私はそれこそシャンソンをやりたいくらいだし、もっと魅力的な店づくりを、ミュージシャンたちと一緒にタックを組んでやって行きたいですね。あとは、渋谷という立地もいいし、フェスをやりたいんだけど、渋谷区やスポンサーも必要だったりするんですよね。だから、最初は自分たちだけでできることを考えた時に、回遊イベントをやりたいんです。渋谷は色々なお店があるじゃないですか。ライブをやっていなくても、ジャズが好きで店内に流れていたり。洋服屋でも良いし、何か音楽やライブを好きな人たちと一緒にやりたい。
 
中山 確かに、系列店もたくさんあるし すぐにでも実現できそうな感じも。ぜひ、お手伝いさせて下さい。

色々な人がフラっとジャズを楽しめる空間。

中山 渋谷は、文化面でも良い街だなという中で、ジャズもエネルギーが上がって来ていると思いますよね。渋谷がジャズのスポットになっていくのではと、東京在住のものとして感じていました。ただ、ジャズのライブのお店というよりも、本当に一般のお客さんがフラッと来て、お食事やお酒を楽しんだり、いろんな人達を巻き込める場所なんじゃないかなと。一般のお客さんがフラっと来て、ジャズを知る。そういう場所に。
 
前田 最近は、やっぱりそういった20代前半の若い女の子やカップルがポツポツ増えてきてますね。「来てみたかったんです〜!」などと言って楽しんでくれています。
 
中山 本当に色々なお店があると思いますが、価格帯はどうされていますか? 
 
前田 安くて自分のほしいものが手に入るのは素晴らしいと思うけど、空間も美学だと思うから、空間も一緒に提供したいんですよね。こだわり抜いた空間だからこそ、安く提供してしまったら価値が下がってしまう気がするし、そこの塩梅は難しいですね。でも、若者の学生さん達にも来てほしいから、琥珀に関しては、MCもあり、投げ銭もあり、チャージ500円だったりと、間口は広くしています。
 
中山 僕も幅広い世代に来てほしいと思っていて、若い子にセッションホストをお願いしたりすると、琥珀さんでしか生まれないエネルギーがあるなと思います。琥珀さんって本当に素敵な空間ですよね。毬子さんをはじめ、皆さんの空気感なのか、人と人との距離を縮めてくれる。何でもない話の中で人間同士が繋がれて、当事者意識を持ってジャズを楽しめる。琥珀さんはそういう空間だなと思います。


文・編集 小林真由美

Jazz Bar 琥珀 https://www.udagawacafe.com/kohaku/

中山拓海サスティナブルジャズ#5 https://www.youtube.com/live/JqRzHqCxxg8?feature=share

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