使命の途中に休む王女


「ふ〜疲れた疲れた。。
なんで私がこんな任務を任されなきゃいけないのよ。」

カティアン王国の時期王女、ピーキスは王様から大事な任務を任されています。

「だいたい次期王女だっていうのに、ひどすぎるわ。こんな扱い。」

ピーキスは一度も一人で王国の外に出たことはありません。
カティアン王国のしきたりで、次期王女に就任する前には必ずこの使命に従わなければならないのです。

ピーキスはカティアン王国の第一子として誕生しました。
この王国では14歳になると王女として使える為の試練に出なければなりません。
もし、試練に失敗してしまうと次に試練に出れるのは1年後です。
カティアン王国では歴代の王女は皆、一回の試練で王女になることに成功していました。これはこのピーキスのいる銀河ではカティアン王国のみの快挙で、他の王国からカティアン王国は一目置かれているのでした。

王女になると他の王国のお偉いさんたちとの交流や、銀河会議への出席、お食事会、そしてカティアン王国の象徴として模範的に振舞わなければならないのです。

ピーキスはそんな制度にうんざりしていました。

「いっそ、この任務を放棄してどこか遠くにとんでいっちゃおうかしら。」

ピーキスは人一倍の面倒くさがり。雲の上で少し休憩をすることにしました。

「は!あれれ!?」

太陽の光が眩しくてピーキスは飛び起きました。
ピーキスはぐっすり居眠りをしてしまっていました。

「いけないいけない!うっかりお昼寝をしてしまっていたわ。」

ピーキスはあわてて任務に戻ろうとしました。
しかしピーキスは王様から命じられた使命がなんだったのか思い出せません。

そう、王様から、この使命に飛び立つ前にピーキスはこう言われていたのでした。

「いいかい、この使命をちゃんと果たすまで、決して休憩したり、眠ってはいかんよ。
万が一、それを破ってしまった場合は使命がなんだったのか思い出せなくなる魔法をかけているからのう。」

ピーキスは泣き出しました。
そう、使命がなんだったのか思い出せなくなってしまったのです。

「お父様、ごめんなさい。私、途中で疲れてしまってついつい休んでしまったの。本当にごめんなさい。」

ピーキスは自分の責任感のなさにすっかり落ち込んで泣きだしました。

「使命が思い出せなくなってしまったけど、このまま王国に帰ったらみんなの笑い者だわ。カティアン王国の歴史に泥を塗ることになってしまう。どうしよう。」

そんなことを考えていたら日は沈んですっかり夜になってしまいました。
途方に暮れているとピーキスはいきなり後ろから、なにかに背中を突かれました。

つんつんつん。

「わぁ!何!?」

ピーキスが振り返るとそこには一匹のネズミがいました。

「あんまりにも泣いているから心配になって、いてもたってもいられなくなって。」

そういってそのネズミはハートのお花をピーキスに差し出しました。

「ぼくはフラワー王国から来たチュウ吉だよ。実は今日、君が使命に出る日だってぼくのお父様がしゃべっているのをこっそ聞いてやってきたんだ。このお花はこの国に代々伝わる魔法のお花で、このお花を食べたら願い事が一つだけ叶うんだ。」

ピーキスは突然のことになにがなんだかわからなくて混乱しました。

「あなた、フラワー王国からやってきたの?フラワー王国って確か全員王国の外には出ちゃいけないんじゃなかったかしら?」

フラワー王国に住む人たちは、雲へ瞬間移動出来る能力があるのだが、トラブルが絶えなくなった為に国民が外に出ることを、何年も前に禁止されてしまったのだった。

「そうだよ。でもぼくは特別に許可されたんだ。ぼくのお父さんはフラワー王国の王様で、実は僕のお兄ちゃんもこの間、次期王様になるために君と同じように使命を任せられたのさ。でも、君と同じように途中で昼寝してしまって、使命が思い出せなくなって失敗してしまったんだ。僕の王国では過去に何人か失敗しているから国民も責めたりはしていないんだけど、お兄ちゃんはショックでふさぎこんでしまっているんだ。」

ちゅう吉はそういうとハートのお花のハートを引きちぎってピーキスの口に詰め込み食べさせようとしました。

「さぁ!これを飲み込んで、使命がなんだったか思い出すように願うんだ!そうしたら君は使命がなんだったか思い出して無事にカティアン王国に胸をはって帰ることが出来る!」

ピーキスはあまりにびっくりして一瞬でハートのお花を飲み込んでしまいました。

そして言われたままに、戸惑いながらもこう言いました。

「使命が何だったか思い出させてください!」

するとどうでしょう。ピーキスは使命を思い出しました。

それと同時にピーキスはものすごい勢いで叫びました。

「どうしたらいいの!!!私、大変なことをしてしまったわ。もう王女になることはできないわ!!」

その使命とは、フラワー王国に行きフラワー王国の王様にハートのお花をもらってくることだったのでした。

無事にお花がもらえたらカティアン王国に戻り、代々王女になるしきたりとして、カティアン王国一族の前でこの魔法のお花を食べ、カティアン王国の王女にならせてください。とお願いし、正式に王女になるのでした。しかしこの魔法の花の効力は一回きりなので決してカティアン王国に戻る前に食べてはいけない。

「ちゅう吉、君は知っていたの?私がフラワー王国にいってこのお花をもらってくることが私の使命だったって。そしてこのお花の効力が一回切りだって!」

ピーキスはちゅう吉を責め立てました。

ちゅう吉は慌てながらこう言いました。

「そんなこと、知らなかったよ!!僕は、お兄さんが使命に失敗して落ち込んでいるのを見ていてとても辛かったんだ!お父様が次はカティアン王国の時期王女が使命に臨むと話しているのを聞いて、僕は君が僕のお兄さんのように途中で使命を思い出せなくなってしまったらかわいそうだと思って、それで心配でいてもたってもいられなくなってこの花を食べて願ったんだよ!この王国の外にいく許可をくださいって!」

ちゅう吉は泣き出しました。

「普通ならこのお花、5歳になった時にみんな食べさせられちゃうんだ。

それがこの国のしきたりで、みんな大人の監視のもと、なんてことないお願いに使っちゃうんだ。でも僕はお父様の権限で特別にとって置けたんだ。これは本当に必要になった時に食べろって。」

ピーキスはちゅう吉の優しさに心を打たれました。

そしていい考えを思いつきました。

「ちゅう吉、聞いて。私いい考えがある。」

つづく。。


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