カミュ「ペスト」を読む
こんな時だからこそ「異邦人」の著者であるアルベール・カミュの「ペスト」を読んでみる。不条理な物語は異邦人で主人公ムルソーを通して鮮やかに書かれていたが、このペストの主人公で医師のリウーは描き方が異なっている。前者は個人の視点から見ているが後者はより第三者的な社会の視点から見ているように思う。架空の物語なのにあたかも実際のアルジェリアで起こったかのような展開で、主人公以外の登場人物(友人タルー、老吏グラン、司祭パヌルー、犯罪者コタールなど)が未曾有の出来事でどのように変化してい