日本企業と英語
新入社員時代、商社で働いていたワタクシ。
新入社員で右も左もわからないので、クライアント(日本人)の対応は先輩、海外サプライヤー(外国人)への資材発注、生産管理等はワタクシに任されていた。
教育係でついてくれた先輩は、その会社で新入社員時代から15年働いている生粋の終始雇用派の先輩で、社内メールから、外部へのメールなど全てにおいて、事細かく「こう書きなさい!」と指導をしてくれるお局だった。
もちろん日本語のビジネスマナーはわからなかったので感謝はしている。
…が、
問題は英語のメール。
ワタクシはネーティブではないが、少なくとも彼女よりは英語ができる。
しかし、彼女には英語でもビジネスにおいては「型」にとてもこだわる人で、彼女が作り上げた「型」に沿った書き方をしない著しく憤慨する人だった。
そんな彼女に強要されて著しく「え"ぇ"???」と思ったもの
その1:「Dear Mr./Mrs.」の書き出し。
社内の内部のメールですら「〇〇様」と書くようにと指定してきたそのお局、英語のメールであっても「Dear」と「Mr./Mrs.」のセットは絶対に必須。
金融系の仕事をしていても、ビジネスで普段やり取りをしている相手に対し、「Dear」はほぼ見ない(100人に一人、見るか見ないか)だし、まして「Mr.」「Mrs.」なんて書いてくる人は見たことない。
まして、その当時やり取りをしていたのは海外の向上やら問屋。Dear Mr.なんて書くの絶対におかしすぎる。
その2:外国人の名前に「San(さん)」をつける。
相手が外国人だろうと何だろうと「さん」をつけさせるオツボネ。仮にその人の名前がJamesなら「Dear Mr. James san」
…Mr.とSanは被るんじゃ…
…SanじゃなくてSamaじゃないとだめなんじゃ…
様々な混乱を招く設定なのだが何しろ「San」をつけさせられた。
その3:「Thank you for your usual support」から始める
おそらく「いつもお世話になっております」って書きたいんだろうなぁとは思ったのだけれども、そんな表現英語でしない。こんな英文を書いたところで読み手は困惑する。
ちなみに英語のメールでは書き出しは「I hope this email finds you well」とか、既に会話が始まっているものへ大しての返信なら、単刀直入に返信に入る。ワザワザ毎回「Thank you for your usual support」などというおかしな呪文をリピートしたりはしない。
その4:自分の名前は名字で〆る。
一般的に英語のメールでは自分のファーストネームを書く。名字で書く人はほぼいない。が、しかし、ファーストネームを書こうものなら
「女子中学生じゃあるまいし、自分の下の名前なんて書かないで」
と注意をされた。
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結果、壊滅的に手直しされた物凄く怪しいメールフォーマットを使用する事を強いられそれを数年使い続ける羽目になったワタクシ。物凄く滑稽に見えたに違いない、。
しかし、刷り込みは恐ろしいもので、海外に出ても数年は、この癖が抜けない呪いにかかってしまったのである…
英語にも丁寧な表現やフォーマルな表現はあるけれど、日本語程の決まりきった型のようなものはない。
…しかし、ここ最近、日本語のメールを書く極端に機会が少なすぎて、日本人のクライアントにたまにメールを書くと、意識的に避けないとカタカナが増えてしまったり、新入社員の様に物凄くたどたどしくなってしまう今日この頃である。
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