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インドネシアにおける有限責任会社(6)

上場会社

インドネシアで上場するためには、主要規制当局であるインドネシア金融庁(Otoritas Jasa Keuangan, OJK)の認可が必要です(第6条)。

上場後は、KSEI(インドネシア中央証券預託機関、Kustodian SentralEfek Indonesia )やKPEI(インドネシア清算・保証公社、KliringPenjaminan Efek Indonesia)が発行する取引規則や会員規則、規制など、すべての上場企業に課される追加要件を満たすことが必要となります。

ジャカルタ証券取引所とスラバヤ証券取引所は2007年に合併し、ジャカルタを拠点とするインドネシア証券取引所(IDX)が誕生しました。

インドネシアの株式市場は、近年最も好調な地域市場のひとつではありますが、他の東南アジア諸国と比較しますと、マレーシアの約1000社、シンガポールの約700社、タイの約860社に比べ、インドネシアの上場企業数は約800社ですので、これらの国の数倍の人口を有する国としては比較的小規模にとどまっています。なお、東証一部への上場企業の数は2022年3月末時点で2176社です。

OJK

2011年、インドネシア金融庁(OJK)に関する法律第21号が制定されました。OJKは、銀行部門、資本市場、保険、非銀行金融機関を含む金融サービス部門を規制・監督する広範な権限を持つ、独立した国家機関です(OJK法第6条)。

OJKは、不正行為や資本市場規制違反(第49条)が疑われる人物を調査するために、民間の調査官を採用することができます(第27条第2項)。

これらの調査官は、情報の入手、証人の喚問と尋問、捜索、口座の凍結(第49条)など、幅広い権限を有します。

また、OJKは、規則、規制、法令を起草・提案し、金融サービスの規則や規制に違反した当事者に対する行政制裁を立案・課し、営業許可を付与・取り消すこともできます(第8条、第9条)。

OJKはまた、消費者からの苦情を受理し、調停します(第29条)。OJKは、消費者からの苦情を解決するよう金融機関に命じたり、解決しなかった金融機関を追及したり、消費者に損失を与えた当事者から失われた資産を取り戻し、補償を得るために法的措置を講じたりすることができます(第30条)。このうち2名は、財務省およびインドネシア銀行の職員に割り当てられている(第10条)。

上場規則

ジャカルタ証券取引所に上場するための主な要件は以下の通りです。

ー有限責任会社であること

ーOJKによる登記確認

ーコミサリスの30%が独立コミサリスであること

ー少なくとも1名の独立取締役がいること

ー監査委員会および内部監査部門の設置

ーコーポレート・セクレタリー(会社の法定書類や会計書類の整備と管理に責任を持ち、会社が法令を遵守し運営されるよう務める役職)の設置

その他、会社がIDXのメイン・ボードとディベロップメント・ボードのどちらに上場を希望するかによって、追加要件が適用されます。

例えば、メイン・ボードでは、以下の要件を満たす必要があります。

ー少なくとも過去の会計年度で利益を計上していること

ー過去3会計年度の監査済み財務諸表(過去2会計年度と直近の中間財務諸表は無限定意見)を提出していること

ー純資産が1,000億ルピアであること

ー株主数が1,000名以上であること

ー上場前のIPO後、非支配株主および非主要株主が少なくとも3億株を保有していること

かかる3億株は、①IPO前の株主資本が5,000億ルピア未満の場合、払込資本総額の20%、②IPO前の株主資本が5,000億ルピア~2兆ルピアの場合は、払込資本金総額の15%、③IPO前の株主資本が2兆ルピア以上の場合、払込資本総額の10%に相当するものである必要があります。

外国企業の上場

インドネシアでは、外国企業のIDXへの上場が認められています。しかし、本稿執筆時点では、政府の働きかけにもかかわらず、上場を希望する外国企業は見当たりません。

上場企業の株式取得

外国人投資家を含め、会社の50%以上の株式を取得したい、または会社の経営方針を決定したいと考える当事者は、その会社の残りの株式に対して公開買付けを行わなければなりません。

この公開買付けは、少なくとも1つのインドネシア語の全国紙で行われ、株式譲渡から2日以内にOJKに報告されなければなりません。

また、取締役、コミサリス、および5%を超える株式を所有する当事者は、取引から10日以内にOJKにその所有権を報告しなければなりません。

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