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【第31回】JATO 日本人ATCリレー形式紹介企画:井上かなえさん

今月インタビューにお答え頂くのは井上かなえさんです。

東海大学を卒業後、ネブラスカ大学オマハ校大学院に進学、バスケットボールチームを中心に活動して現在は東京都世田谷区下北沢にピラティス&パーソナルトレーニングスタジオ『STUDIO TORCH』を構え、養成講座などを行い活躍されています。

井上さんのインタビュー、ぜひご一読ください。

何故ATCになろうと思ったのですか?

高校生の時から漠然と「トレーナーになりたい」という夢はあったものの、調査不足でどこでどうやったらなれるか分からずひとまず日本の大学に進学しました。卒業してからネブラスカ大学オマハ校の大学院へ進学しました。

ATCになろうと思った理由は、ATCとしての役割を担う人がバスケットボール選手だった時に周りにいなかったからです。

ケガをした時、トレーニングをもっとやりたい時、栄養面のことを知りたい時に聞く人がいなかったので全て自分で本などを調べて勉強しながら選手生活をしていました。楽しかったけれど、「こういうことを教えてくれる人がいれば選手はもっと楽だろうな」と思ったのがATCになろうと思ったきっかけです。

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学生、社会人時代に、印象に残っている出来事はありますか?

大学生時代は日本で、大学院時代はアメリカで、学生アスレティックトレーナーとして6年過ごしました。

ネブラスカ大学大学院はとにかく勉強とインターンとの繰り返しで、精神的にも本当に辛かったのであまり覚えていません(笑)。語学力もそこそこのまま大学院に入学できたことは奇跡に近かったですが、その分苦労しました。でも、ATCになるという目標は絶対に通過しなくてはならなかったので、ほぼ根性だけで卒業しました。もう2度と同じことはできないと思います(苦笑) 

日本に帰国してからJALの女子バスケットボールチームで1年フルタイム、そして母校である東海大学でパートタイムで勤務し始めたのですが、契約していた男子バスケ部が数年ぶりに日本一になれた瞬間に立ち会えたことが一番仕事をしていて印象に残っています。東海大学SEAGULLSはアメリカの環境をそのまま再現したようなチームなので、とても仕事がしやすく楽しかったです。

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現在の仕事内容を教えて下さい。

現在は、下北沢にピラティスとパーソナルトレーニングのスタジオを経営しています。

また、一般社団法人を立ち上げ、パーソナルトレーナー・インストラクターの養成講座を行ったり、企業研修の講師として活動しています。

現在の1日の流れを教えて下さい。

1歳の息子がいるので朝、保育園にお見送りをし、そのままスタジオに向かってパーソナルトレーニングセッションをします。日によって違いますが、平均5〜6本、多い時には10本ほどセッションをします。空いた時間に事務作業をしたり、広報活動をしたりと様々です。

また、週末は養成講座やセミナーを行い、後進を育てる活動を行なっています。夜は18:00頃には仕事を終えて子供を迎えに行って帰宅し、食事の準備や家事などをする…という、一般的なワーキングマザーの生活です。 

現在、週に1〜2日休みを取っているのですが、その日は仕事のことは忘れて、子どもと遊びに行くことが多いです。

数年前までは、朝から晩までスポーツ現場に出ていたり、帰宅が24時近くになることも多かったですが、今のライフスタイルがだいぶ定着してきました。

井上さんにとってJATOとはどのような存在でしょうか?

JATOではシンポジウム委員も数年前に勤めさせていただいたので、委員の皆さんにたいへんお世話になっています。私にとってJATO、ATCの仲間はまさに『同志』という存在です。

ATCができること、知識の幅は日本の社会にとってプラスの力になると思っているので、同じように考えている人たちと意見交換をしたり情報共有することは私にとっては必要な刺激になっています。

私は今はスポーツ現場からは離れていますが、「ヘルスケアプロバイダー」という立場で多くの方と関わっていきたいと考えていますし、スポーツの世界はもちろんのこと、ヘルスケアの分野でも貢献できることをどんどん見つけていければと思っていますので、JATOの会員さんと将来何かできれば…と妄想しています!

JATOに加入するメリットを教えて下さい。

日本でなかなか知り合うことが難しい「ATC」と繋がれるチャンスです。そして、JATOに加入しているATCの方は、みんな日本のスポーツ界に貢献したいと心のどこかで考えている人が多いと感じています。もっとつながりを持ってコミュニティの力を大きくしていけたら良いなと思っています。

私自身のATCになろうと思った経緯とも関係していますが、日本の学生スポーツ界はまだまだ安全管理という点で至らない点が多くあり、アメリカでアスレティックトレーニングを学んだ身としては、「こんなあり得ないことが当たり前の日本をなんとかしなければ…」と思っています。けれど、それは一人の力では無理。でも一人一人が正しいことを発信し、多くの人たちに伝えていかなければ常識は変わっていかないと思うのです。

スポーツをより安全で楽しく行える環境を作り、子供たちに夢と希望を与えるものであってほしい。そういう意味でも、JATOの仲間と共に世の中に私たちの知識を発信して行ければ最高です。JATOに加入するのはその手段だと思います。

これからATCを目指している学生にメッセージをお願いします。

これからATCを目指すには、だんだんと教育プログラムも変わってきて難しくなっているのも事実だと思います。

私が学生の時にしていなくて、やっておいたほうが良いなと思うこと。それは、「ATCになって、何をしたい?」という問いを自分にし続け、目標をきちんと持っておくことです。私はATCという資格に憧れがありすぎて、そのさきの「資格を使ってやりたいこと」を見つけるのに、だいぶ時間がかかりました。

もちろん、目標が変わっていくことは良いことなのですが、漠然と資格取得を目指すのではなく、どこでどんな風に働いているのか?をイメージしながら、目の前にあるタスクをコツコツとこなしていくのが大事だと思っています。

また、女性でATC、アスレティックトレーナーを目指す方へ。スポーツ現場での仕事は、自由な時間がほとんどなく、ずっと第一線で働くことは難しいのは事実であり、どこかでセカンドキャリアを考えて働かなければいけないというストレスは男性よりもいくらか強いと思います。

でも、最初はまずやりたいことをとことん「やり切る」ことが大切だなと自らの経験から感じています。キャリアに正解はないし、いつどこで人生が変わるか分からないから、いつでも自分を優先して、好きなことや夢中になれることに全力を出すことが思った通りの結果に結び付くんだろうと思っています。 

自分を大切にしつつ、周りのアスリート、クライアントへポジティブなエネルギーを与える人になる、と思って私も日々、頑張っています。ゴールが決まれば、人はものすごいパワーを発揮できます。ATCのその先を見据えつつ、日々行動してくださいね!

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【編集後記】井上さん、お忙しい中インタビューにお答え頂き誠にありがとうございます。井上さんのイメージは“ガッツがある女性”という風に思いますが、それは学生時代から変わらないのですね!また、子育てをしながら仕事を両立する事は本当に大変な事だと思いますが、井上さんのような存在が、アスレティックトレーナー、特に女性には大変心強いと感じます。
来月は井上さんが信頼を置いている方を紹介頂きました。是非楽しみにしていて下さい!

この記事は、12/15/2019にJATOウェブサイト、およびJATO公式フェイスブックページに掲載したブログ記事を再編集したものです。

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