農業が出来ないはずの寒帯気候のグリーンランドで農業が大ブームの理由 英検1級合格者の英語の勉強2
地理の授業を受けた人なら学んだと思いますが、寒帯気候(ツンドラ気候)(ケッペンの気候区分 ET)の地域は基本的に樹木の生育が出来ず、農作物を育てることはできません。
つまり国土全体が寒帯気候であるグリーンランドでは農業が出来ない。
しかし、そのグリーンランドで野菜の栽培がブームになっています。
前回のブログではshrimpとprawnの違いに関して書きました。
家庭教師での英語の勉強も、点数を取って他の人たちに自慢するような勉強ではなく、様々な社会問題に関して、日本語の何倍もの情報量を得られる英語での情報から、深く専門的に学びながら教養を付けていく。
という、英語の勉強もある。
これは、英語の習得に熱心な生徒は、物語文(小説など)や随筆などの読解は得意ですが、論説文や説明文の読解がとても苦手な生徒が多く、それは、社会問題に対しての知識が不足、または、学校で学んだ知識を日常生活に応用する力が不足しているような気がします。
と、いうことで以前生徒に説明した
グリーンランドの農業への挑戦について
地球温暖化の影響によって世界中で変化が起こっています。
グリーンランドでは、レタスの値段が肉の値段よりも高い。
かつて、気候の関係で農業が出来なかったグリーンランドでは、野菜を栽培することはできませんでした。つまり、野菜をすべて国外から輸入しなければなりません。ただ島国でアイスランドやカナダの北極圏の東部以外の地域とは島国のために離れており、食料の60%以上をデンマークのオールボーの港から数日かけて輸入しているグリーンランドでは、レタス1個も3000円前後するそうです。
新鮮なサラダを食べたい。
ということがグリーンランドの住民の悲願でもあったわけです。
北極圏の温暖化は、世界の平均温度上昇の2倍以上のスピードで進んでいる。
グリーンランドの沿岸部以外の国土の80%は一年中雪に覆われています。しかし、温暖化の影響でその雪の一部が急激な速度で解け始めています。つまり、雪は太陽の光を反射して大気に放出できますが、雪が解けることにより、海などがその熱を吸収してしまい、他の地域よりも気温上昇が高くなっているわけです。
グリーンランドの漁業にも大きな変化が。
日本にも輸入されるグリーンランドの甘えび、pink gold shrimp、は低脂肪で高たんぱく、また冷たい海で育ったために、身体が締まっていて、甘くジューシーで日本でもロイヤルグリーンランドシュリンプは大人気です。
以前はグリーンランド南部でよく捕れていた甘えびも、海温度が上昇した現在は、生息地域も北上してしまいました。また、以前はマグロやサバが取れていたのですが、現在ではタラがメインになっています。
微妙な海の温度の上昇がその地域の生態系を変えてしまうわけです。
グリーンランド南部の野菜栽培の挑戦
温暖化が進行して、気温上昇と多くの研究者の試行錯誤の末にグリーンランドでも農業を行うことができるようになりました。
寒さに強い野菜が中心になりますが、キャベツやポテト、カブ、いちご、ケールなどが主な栽培野菜となります。国内で農業によって食料需給率を上げたことは大きな意味があります。
グリーンランド南部では牛や羊の放牧も行われる
現在グリーンランド南部では羊や肉牛の放牧も行われています。南部の最大の町はQaqortoqがメインの町ですが、農業関連の調理学校や屠畜場などもあり、農業の中心地となっているのはNarsaqです。
首都ヌークNuukでは温室栽培が一大ブーム。
グリーンランド最大の都市(と言っても人口は2万人以下ですが)のNuukヌークは現在国際線も発着できる国際空港が建設中で、街も拡張中で観光都市として爆発的な人気を博すのも時間の問題と言われています。
グリーンランド南部に比べて北部になるヌークは気候的に農業を行うまでには至っていませんが、温室栽培の施設を作り、キャベツやレタスの生産をしている農家が何件かあり、この流れはさらに拡大すると言われています。
当日収穫した野菜で料理が提供される。日本ではそれほど珍しいことではないことであっても、グリーンランドでは夢にも思わなかったことなのです。日本人に説明するとしたら、沖縄に室内スキー場がオープンするような感じです。
地球温暖化や農業栽培に貢献するGlacial Rock Flour
現在、グリーンランドのGlacial Rock Flour(日本語訳をいくつかチェックしたのですがそれほどいい訳とは思わないので原文で行きます。)が地球温暖化対策や農業の生産性を向上する堆肥として注目されているのをご存じですか?
このGlacial Rock Flourは氷河が削られて、それが細かく分かれ小麦粉のようになった粉です。これが栄養価を豊富に含んでおり、野菜の生育を飛躍的に上げる事例も多くあり注目されています。
また、この粉が二酸化炭素を土壌に貯蔵することもでき温暖化防止に効果的と言われており、オーストラリアの記事でも何度か紹介されており、オーストラリアでも注目されています。
地球温暖化問題を日本とは全く違った環境で生活している地域の一例で理解するメリット
日本の地球温暖化は自然環境以外の影響が高いのに対して、グリーンランドでは自然環境からの温暖化のみとなっています。
世界でいろいろと起こっている社会問題も地域が異なれば全く違った視点でとらえられているということを理解して生徒にも理解してもらいたいと思っています。
論説文や説明文に強くなるために
現在起こっている事実や過去に起こったことを客観的に伝える論説文や説明文はある程度の知識をしっかりと整理して理解しないと文章を正確に読解することは難しいと思います。
例えば、SATの英語やTOEFLの得点で、例えばTOEFLの得点をいろいろな生徒で比較すると、この論説文や説明文の理解度の違いに行きつくような気がします。
今日の書いたブログのように、人口は日本の2万分の1(まるで地図の縮尺のようです。)なのに、国土は日本の5.7倍ある国にも、切実な問題があることを理解して、広い視野を持つようにしてもらいたいです。
とにかく、数学(特にグラフや図形)、論説文、説明文は英語力が高い生徒が乗り越えなければならない大きなハードルです。
ただ、生徒の文章理解力を大きく生かして(個人ごとの長所を伸ばして)教えることで克服は可能です。(当然まじめに勉強してくれるならという条件ですが。)苦手なものを敬遠して学生生活を送っても、いつか必ず大きな壁に当たり不本意な選択をしなければならなくなります。
理屈で論説文を教えない。
とても大切なことだと思います。
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