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DXの道 第11話「ノーコード推進協会」

【初出:月刊JASTPRO 2022年12月号(第523号)】

ここまで、JASTPROコード管理システム刷新や事務所業務デジタル化に向けたノーコード活用についてご紹介して参りました。今回は少し視点を外に向け、当協会が先日入会したノーコード推進協会について、第1回総会の内容も含めご報告いたします。

ノーコード推進協会とは

2022年9月に「ノーコード推進協会(NoCode Promotion Assciation=NCPA」が発足しました。当協会は早速入会を申請し、10月に入会が認められました。ノーコード推進協会は「日本のソフトウェア文化を変革する」ことをビジョンに掲げて立ち上げられた組織で、ノーコードツールを開発する企業やユーザー企業・団体によって構成されます。ホームページでは設立趣旨として以下のように書かれています。

これまで国内の企業や地方自治体などの組織が業務アプリを開発する際にはIT企業に依頼するというのが当たり前の文化でした。しかし、多くの組織ではIT予算の獲得が厳しく、この文化が原因でDXが進まないという状況が生じています。そこで、これまでの考え方を改め、自らでプログラミングをせずに業務アプリを開発するという思考、いわゆる「ノーコード思考」を国内に広め、日本のソフトウェア文化を大きく変えていき、日本を強いデジタル国家にして世界をリードすることを目標とします。

「ノーコード推進協会(NCPA)とは(https://ncpa.info/about/)」より引用

入会する意義

「ノーコード思考」、その考え方は仕事や事業のデジタル化を外注ベンダーに丸投げするのではなく自分たちで主体的に進めていこうとする当協会の考え方に極めてマッチします。また、当協会の事業そのものである貿易円滑化の促進という観点からも、ノーコード協会への参画には大きな意義があると考えました。

当協会の事業、つまり「国連CEFACT日本事務局としての広報普及事業」「JASTPROコードの発給管理事業」は、それぞれ「貿易円滑化に資するデジタル技術に関わる標準化普及活動」「日本における輸出入手続きの簡易化に資するコードの運用」であり、いずれもIT・デジタルに深くかかわるものです。特に前者は、貿易手続におけるデータの標準化・構造化推進が目的です。これまでは主に貿易に関わるIT専門家を対象としてきましたが、昨今ではノーコード・ローコード開発の普及などもあり、ユーザー部門の重要性が一層高まっています。こういった背景もあり、国連CEFACT日本委員会においても広報すべき対象をIT専門家だけでなく、情報システムの決定権を持つ経営層やエンドユーザーに広げ始めたところです。

ノーコード≠ノールール

ノーコードの普及によって開発の担い手がエンドユーザーへ拡大していくとしても、データの標準化・構造化の重要性に変わりはなく、むしろ高まっていくと当協会では考えています。なぜなら、エンドユーザーがシステムをノーコードで開発するということは、特に他システムとの接続性を考えた場合、エンドユーザー自身がデータの標準化・構造化について十分に理解する必要が生じたということだからです。

ノーコードによるシステム開発ではプログラミングそのものは不要になるものの、データ構造やシステム接続性の適切な設計が重要であることには変わりがありません。この認識から、当協会ではノーコードに特化したガイドライン整備や一定の標準化等が有効であると考えています。設計当初から国際的な標準を意識することで、特に貿易業務においては国内外事業者との接続性確保という効果も期待できるでしょう。

こういった考えから、当協会はノーコード推進協会に加盟することを決めました。既存事業の強化や新規事業開発に向けたツールとしてノーコードを活用しつつ、国連標準に基づいたデータ標準化・構造化の知見をノーコードの世界に対して発信・共有し、役立てていただくことを目指します。

第1回総会ご報告

去る11月28日に、最初の総会がオンラインで開催されました。当協会から筆者が出席しましたので、簡単に報告いたします。

代表理事や副代表理事によるあいさつでは、先にご紹介した協会のビジョンが改めて説明され、「ノーコード」という言葉を2023年の新語・流行語大賞にノミネートされるくらいメジャーにしたいという意気込みや、日本でDXを進めるためにはノーコードが不可欠であるという認識でいること、従来のフルコード開発とのすみわけについては、パイの取り合いではなくマーケットそのものを広げる、連携して協業するという意識が重要であることが語られました。

活動プラン

その後は、入会状況が順調に増加していることと発足1年間の加盟目標数が紹介され、参加門戸を広げるための会則変更が議決。続いて活動プランが紹介されました。プランは、「ノーコードに関する情報共有」「ノーコードツールやノーコード思考の普及啓発」「ノーコードでカバーできる業種・業態の拡大」といった分野に大別されます。これらを、今後設置される部会を通じて実施することになります。

総会の時点で用意された部会は3つ。1つ目の「出版部会」ではノーコードに関する書籍やホワイトペーパーの作成、ツール紹介動画や用語集の製作などが計画されています。2つ目「広報教育部会」ではマスコミへの働きかけやハッカソン・アイデアソン実施、IT関連団体や商工会等との共同事業実施が挙げられました。3つ目の「地方創生部会」は、地方におけるノーコード活用を盛り上げたいという思いから設立された部会です。地方ではプログラマをはじめとしたIT人材が少なく、ノーコード活用の推進によってDX加速を実現させられる可能性が都市圏よりも大きいのではないかという見解は、筆者も強く同意します。

スピード感とワイガヤ

ここまで、開始から約40分。盛りだくさんのトピック、時間内に終わるのだろうかという心配がまったくの杞憂に終わるほどのスピード感が印象的でした。また、スピーカーが話している間にも、併設されたチャットでは出席者同士のコメントが次々と発信され、自然とワイガヤが発生。その話題をスピーカーが拾って話を広げていく展開もありました。こういった仕掛けも功奏し、非常に参加している感の高い総会となりました。

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