【日本学術会議 任命拒否問題】 Q. 日本学術会議はこれまでどのような「提言」を出しているのですか?

Q. 日本学術会議はこれまでどのような「提言」を出しているのですか?
A. 提言の内容は、先端研究や高等教育など学術につながりの強いものも見られますが、私たちの生活に身近なものも数多くあります。

 子どもや妊婦への受動喫煙対策、サマータイム導入の問題点、自動運転がもたらす未来社会のモビリティのあり方、二度と津波犠牲者を出さないまちづくり、子どもを元気にするための運動、出生前・子どものときからの生活習慣病対策など、国の政策にかかわる幅広い内容が提言されています。


教育のデジタル化に関する提言

 たとえば、2020年9月30日に出された提言では、新型コロナウイルス対策でオンライン授業が行われるなど「教育のデジタル化」が進むなかで、デジタル教材の閲覧履歴やオンライン試験の答案など、民間企業もふくめて大量の学習データが蓄積されているので、個人情報保護に配慮して適切に処理し、国全体で教育改善のために活用するべきだとしています。この提言は、文科省・経産省・総務省などの国の政策に向けられています。

教育のデジタル化を踏まえた学習データの利活用に関する提言
ーエビデンスに基づく教育に向けてー
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t299-1.pdf


10年以上にわたり、複数の提言や報告をしている単一テーマも

 提言のなかには、「子どもの生育環境」に関するもののように、10年以上にわたって複数の提言や報告を出しているテーマもあります。2020年に出された提言では以下のような問題意識を提示しています。

 我が国では、少子化傾向に歯止めがかからず、児童虐待の増加、子どもの貧困の深刻化、子ども・若者の自殺率の高さなど、子ども受難の様相を呈している。OECD諸国と比較しても子ども関連の予算、投資の少なさが際立ち、その方向転換が望まれる。

 この提言では、章ごとに財務省、内閣府、法務省、厚労省、国交省、環境省、文科省、農水省など、どの省に向けたものであるかを明示した提言がおこなわれています。

 また、過去の提言がどのように省庁の担当部局に読まれているかをニ度モニタリングしたところ、「提言を見たことがある」という回答がわずか10%であったため、今回の提言にあたっては、関連省庁の担当部局とともに課題を検討したということです。

我が国の子どもの生育環境の改善にむけて
ー成育空間の課題と提言2020ー
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-t297-5.pdf

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