大流行が1年続いている米国でも,集団免疫はまったく実現されていない

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月24日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

JAMA Intern Med. Nov 24, 2020(doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.7976)

 米国の全土,すなわち50州を含む52の管轄地域で,SARS-CoV-2ウイルスに対する抗体を有する人の割合を検討した研究が報告された.

  17万7919 人の残留検体(血清)を対象とした横断的研究で,抗体を有する人の推定割合は 1%未満~23%であった.推定値が算出された49地域のうち42地域は,4回のサンプリング期間にわたって,抗体陽性率は10%未満であった.

 以上により,抗体陽性率は地域によって差はあるものの,ほとんどの人が感染の既往を得られなかったことになる.自然感染によって集団免疫を獲得するには「多くの死者や経済的損失といった犠牲をこれから何年も要する」と同じ号のコメンタリーは警告している.もう集団免疫でCOVID-19を封じ込めるという議論はやめるべきである.

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