見出し画像

劇場版「鬼滅の刃」の大ヒットから証明された、映画館の価値。


簡単な自己紹介ですが、

More Cinema in Life. 〜ITのチカラで、映画館をもっと身近に〜

というビジョンのもと、映画館に特化したチケット予約情報サービス、映画館専用デジタルサービスを提供している「映画ランド」を運営しています。

画像1


『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が異例の大ヒットを記録

※記事は2020.11.9時点

遅ればせながら、先日『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を鑑賞しました。
もともと「鬼滅の刃」を観ていなかったのですが、この歴史的な瞬間に参加したく、丸々土日2日間をかけて、Amazonプライム・ビデオでアニメ全26話を一気観しました(笑)

そして、劇場版を観に行ったら、映画館で思わず号泣してしまいました・・・
映画館でアニメ映画を観て、こんなに泣いたのは初めてです・・・
血肉を持つ本物の人間よりも、すべてが優しすぎて、熱すぎて、切なすぎます・・・。

この歴史的な瞬間に乗車(参加)できて、本当によかったです。

コロナ禍で、映画館の存在意義を大きく問われていた


記憶にまだ残っていると思いますが、少し前、3月〜5月の間、特に都内の映画館は臨時休業を余儀なくされていました。その間、日本だけではなく、世界的にもネットの先行配信の動きが出ており、「映画館はなくてもよいじゃないか」のような雰囲気が世界中に漂っていました・・・

しかし、劇場版「鬼滅の刃」の大ヒットにより、映画館の価値が大きく証明されました。
コロナという暗闇の中で、映画館にとって大きな希望の光が見えたと感じます。


大ヒットから証明された映画館の価値:
「映画館は、映画の売上を最大限にできるチャンネル」

劇場場「鬼滅の刃」が大ヒットした要因について様々な記事で取り上げられていますが、いろんな要素が重なり合った結果なので、本記事では割愛させていただき、「映画館」というチャンネルを活用した結果、200億以上の興行収入(売上)を達成したというところにフォーカスして解析していきたいと思います。


まずは、映画館のビジネスモデルとその強みから掘り下げていきましょう。


① 都度課金モデル


見放題のようなサブスクモデルではないため、利用ごとに、利用者に対して利用料金を徴収できます。SVOD(定額制動画配信サービス)
の利用者だと「見放題」を目的としてできるだけお得に観れるという心理のため、映画館のような売上を立てるのはなかなか難しいです。今回の「鬼滅の刃」は2回以上観ているリピーターが多いと言われ、この都度課金モデルで利用者あたりの売上が2倍〜3倍に膨れ上がっています。


② 利用者単位で、利用料金を徴収できる


1人に1席を用意しているので、1人にはもれなく1席の料金を徴収できます。ネット配信サービスだと、比較的にそれが難しいです。
例えば、家族5人で映画館にいくとしても、5人に5席が必要のため、「5人×席料(鑑賞料金)」が発生します。ですが、ネット配信の場合は、家族5人みんなで家で映画を鑑賞した場合は、1作品の鑑賞料金(新作だと2千円前後)となります。


③ 体験型サービスにより、利用料金を高く設定できる


大きなスクリーン、素晴らしい音響、同じ空間で他の人と感動を共有できる

などといった付加価値の体験を提供できるからこそ、利用料金を多少高く設定できる強みを持っています。同じコンテンツ(映画)でも高く料金を設定できます。当然、場所代も上映代も人件費も発生するので、その反面、経営の難しさも付随しています。





④ 複数人で参加できる、参加型レジャー施設


デートだったり、友達同士、家族のみんなで参加できるところも映画館の一つの大きな強みです。誰かからの誘いが始まりで、1人ではなく、その連動で2人や3人、複数人で見に行くこととなります。ましてやキャストファン、コンテンツファンの間でみんなで応援していこう!となれば、ますます多くの人が利用することとなり、マネタイズという面では、口コミだったり人の誘いという連動で、売上を伸ばすことができます。



しかし、新作映画は映画館以外でも、DVDやデジタル配信でも売上を作ることができるので、それについても見ていきたいと思います。


新作映画の主なセールスチャンネル

新作映画のセールスチャンネルとして、主に以下の6つです。

・SVOD (定額制動画配信サービス)

・TVOD (都度課金型動画配信サービス)

・EST (ダウンロード動画販売サービス)

・DVD & Blu-ray(レンタル)

・DVD & Blu-ray(購入)

・映画館

新作映画のセールスチャンネル


利用料金:タイムセールや学生・シニア料金といった割引料金ではなく、「一般料金」を指す
利用期間:利用するための代金を支払ってから、利用可能な期間


利用単価をもとに「利用回数」に合わせて見ていきましょう。

チャンネル売上比較


結果が明らかです。

もちろん、チャンネルによってはコストだったり、ステークホルダーの配分だったり、利益構造が同じではないので、一概には言えないですが、売上の「最大限」というところに関しては、「映画館」であることは間違いないです。

とはいえ、映画館はずっと同じ作品を上映しているわけではないことから公開期間(セールスできる期間)が限られるので、ヒットすれば公開期間が長くなりますし、興行成績がよくなければ、他の作品に入れ替えられ、公開期間が短くなります。

それから、賃料・人件費・上映するための環境整備といった運営コストを抱えているのも映画館の経営の難しいところです。

補足として、それぞれのチャンネルはその利用者の需要を満たしているので、映画館以外のチャンネルの良し悪しについて話したいのではなく、あくまで映画館はセールスチャンネルとして、新作映画の売上を最大限にできる素質を持っているという意味です。


映画館の強みを活用した「勝算シナリオ」




「鬼滅の刃」が歴史的な興行収入を生み出した最もの理由は、コンテンツ力はもちろん、劇場版の公開前に「起爆剤」をしっかり仕込んでいたからです。

アニメ配信が、まさにその「起爆剤」です。


「鬼滅の刃」のアニメ版を見た多くの人が、延長線として映画館に足を運んでいました。少し前に公開されて大ヒットした「今日から俺は!!」「コンフィデンスマンJP」もその一例です。
ドラマを配信して、ドラマのヒットがその起爆剤となり、多くのドラマファンを取り入れて、映画館に流した結果、劇場版も大ヒットしました。

仮に、今回は劇場版「鬼滅の刃」を映画館ではなく、ネット配信で流した場合は、おそらく「27話」としてなのか、「シーズン2」なのかという形で配信することになると思いますが、間違いなく、今回のような興行収入200億以上の売上規模を超えることはないと言えるでしょう。

劇場版をヒットさせるために、最初から戦略的にアニメ版を配信したのか、アニメ版がヒットしたから劇場版を決定したのか、ニワトリタマゴでどちらか先だったのか、その経緯を把握していないのですが、いずれにせよ、今回のような興行収入200億以上規模の売上を生み出したのは、

「 コンテンツ力(鬼滅の刃)」✕「 戦略(公開タイミング)」✕「 チャンネル(映画館)」に変わりはないでしょう。


それから、映画館全体が本作の上映枠を大量に用意したのも一つ大きな要因でした。


映画ランドでもこれまで見たことのない上映回数です。
▶  https://youtu.be/S7mxoOiFF8w




劇場版「鬼滅の刃」をこれから観に行かれる方は、「映画ランド」は上映時間や混雑状況を一発検索できて、上映時間をクリック・タップするとそのまま映画館の予約ページに行くので、ぜひ使ってみてください。


※上映スケジュールが表示されるまで少し時間がかかる場合がございます。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の上映スケジュール | 映画チケット予約なら映画ランド
▶ https://eigaland.com/movie/83007/showtimes


01年に公開された宮崎駿監督の劇場アニメ『千と千尋の神隠し』を超えて、史上最高記録の達成となるか、映画館をサポートしているプラットフォーマーとして注目していきたいと思います。



これからも映画館の可能性を信じていきたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?