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お酒の話

私はいま母乳で娘を育てているのでお酒はのんでいない。妊娠中から1年近く口にしていないが、本来はウイスキー以外のアルコールはのめる。

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普段の食事はビール、ウルフギャングでは赤ワイン、餃子の日はシャンパン。食事が終わると母と酎ハイで晩酌。父が大切にしていた響を母と2人で勝手にハイボールにしてのんで怒られた。そんな家庭で育ったのでお酒は身近だった。太りにくいと聞いてハイボールばかりのんでいる時期もあったが必ず二日酔いすることに気づき、やめた。

もともと酒のみ家系でお盆やお正月、祖母の家に親戚が集まると冷蔵庫の上段はキリンラガーで埋め尽くされていて18時頃から食事とともにラガーで乾杯、途中でケーキや果物を挟みつつ最終的に柿の種をつまみにして23時頃のおひらきまで永遠にラガー。その頃には冷蔵庫にぱんぱんに冷やされていたラガーもすっからかんになっている。

小さい頃からその様子を見てきたので、ビール=ラガーだとすりこまれていたがこれは亡くなった祖父がラガー好きだったためでみんなそれに付き合っていただけだった。祖父が亡くなってから冷蔵庫には父の好きなサッポロ黒ラベルが並ぶようになった。大学生のときみんなアサヒスーパードライが好きだと言うので心底驚いた。大学生の行く居酒屋にラガーはなかなか置いていない。

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大学時代はサークルの飲み会、学科の飲み会などはメンバーを聞いてから参加していた。当時はあまり社交的でなく、仲の良い友人がいないと参加しなかった。所属していたコミュニティはなぜかお酒の弱い人が多く、先輩含め「お酒の強い子」のカテゴリにいてつぶれた人の介抱をする役だった。それでも飲み会は嫌いではなかった。

社会人になっていちばん驚いたのは会社のおじさんたちのお酒の強さだった。大学時代の経験から、私はお酒ののめる方と思っていたのでおじさんたちと同じペースでのんでいると失敗した。初めて二日酔いを経験したし、初めて記憶もなくした。それでもお酒は好きで社会人、波瀾万丈だなあと呑気に思っていた。

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夫はお酒をのむが、今まで付き合った夫以外の人はみんな下戸だった。付き合う人の条件に、お酒ののめる人を挙げる酒好き女子はいるが私はそうではなかった。彼氏がカシスオレンジで顔を真っ赤にしている目の前でビールをおかわりする。店員さんにレモンサワーとビールを逆に置かれる。店員さんが去った後に交換する。私にとっては慣れた作業だった。

夫と付き合うようになって、一緒にお酒をのめるのはたのしいと気づいた。外にのみに行くとお金がかかるので家でのむことが増えた。料理のレパートリーは増えたしプレミアムモルツの神泡サーバーを手に入れて2人でわいわい缶ビールをたのしんだ。

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そんな人生を送ってきたので、お酒ののめない今はさぞかしつらいだろうと思われるかもしれないが意外とそうでもない。夫に付き合ってノンアルコールビールをのむこともあるが麦茶で充分。ちなみに、ノンアルコールビールの中ではライムショットがお気に入り。

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お酒なしでも平気な私は今まで何のためにお酒をのんでいたのか?

私は人と話をする口実にお酒をのんでいたのだと思う。

20歳を過ぎてから、友達と遊ぶ=お酒をのむになっていた。会社の飲み会、行きたくない若手も多いと思うが私は苦ではなかった。なぜなら普段話ができないおじさんたちと他愛もない話ができるから。

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単純にお酒の味が好きな人、ストレス発散にお酒をのむ人もたくさんいると思う。でも私はそうではなかったというだけだ。断酒をきっかけにそんなことに気づいた。

大声で言わなくてもいいことを言ったり上司に対して失礼な発言もすべてお酒のせいにできる。次の日には覚えていないことにすればいい。お酒が好きというよりお酒がつくりだすその雰囲気が好きなのだ。

私の飲酒解禁の頃には感染症を気にせずお酒を通じて人とコミュニケーションがとれる世の中が戻って欲しいと思っている。

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