谷根巡り
屋根巡りではない。
いわゆる谷根千~谷中・根津・千駄木エリアのうちの谷中と根津を歩いてカフェ巡りと弥生美術館に行って来た。
数年ぶりに会うお友達が弥生美術館に行きたいと言うので、開館時間の10時に待ち合わせする。
その時間に電車で向かうつもりだったけど、モーニングをやっているカフェに行きたくなり、マイカーで根津に。
朝の通勤ラッシュの電車になんて、出来れば乗りたくはない。
予約制駐車場にマイカーを停めて、そこから徒歩20分くらい。
ちょっと歩いたけど、そこかしこにカメラを向けたくなるような光景があるので、iPhoneカメラでパチパチ撮りながらのんびり歩く。
ちょっと曇り空なのが残念だけど、気持ちは良い。
朝のお散歩。
モーニングは古民家カフェのHAGISO。
真っ黒い外観、中にはカフェの他にギャラリースペースなどもあり多目的な建物になっている。
窓際のカウンター席に座る。モーニングセットは「旅する朝食セット」で、今回は青森の食材をふんだんに使ったメニューだ。「旅する朝食」はスタッフさんたちが実際にその土地を訪れ、そこで出会ったお店のお料理や食材を得て作られたメニュー。ネットで調べれば簡単に情報も現物も得られるのに、敢えて現地を訪れる手間と時間とお金をかけるその熱意と誠意が素晴らしい。そんな経緯で出来たお料理が美味しくないわけがない。2015年の島根からスタートしたシリーズ、青森は初東北とのことで、訪れたのは初めてらしい。その旅の成果は以下の通り。
お米:阿波ノ北方米(阿波ノ北方米農園)・津軽ロマン(アグリメイト南郷)
お麩とワカメのお味噌汁:もりた麩・味噌店
焼き鯖:八戸港水揚げ鯖
南部せんべいの卵とじ:元沢せんべい店
青森シャモロックの肉団子:グローバルフィールド
旬野菜の三五八漬け:野菜(アグリメイト南郷)・麩(もりた麩・味噌店)
冷やっこ:極上たまり醤油(もりた麩・味噌店)・青森シャモロックの鶏節(グローバルフィールド)
ご飯が特に美味しかった!
艶やかでふっくらと炊かれた白米。
こんなに美味しくて好みのご飯をいただいたの、ものすごく久しぶり。
もうこれだけでも満足する。
ダイエット?
糖質?
なにそれ食べられるの美味しいの!?
そんなこと吹っ飛んだ(笑)
南部せんべいの卵とじは、メニューに書かれていなければこれがそうであるか分からないくらい、南部せんべい感が全くなくて不思議な一品。
パリパリしたクリスピーな食感がないので卵でとじる時にしっとりしたんだと思割れる。
他もそれぞれ美味しかったけど、唯一お味噌汁だけはちょっと残念。
と言うのも、東北だから味が濃いイメージってあるじゃないですか?
それが京料理かと思うくらいに薄味で、具のワカメも少なくて、これはう〜んってなった。
割と薄味が好みのあたしですが、お味噌汁、それも青森のってなればもっとパンチの効いた濃いものであって欲しかったかな。
上品なお味って言えば言えなくもないんだけどね。
食後にほうじ茶。
お茶碗ではなくてグラスだったのが意外。
毎日こんな朝ごはんだったらいいなぁとため息交じりのモーニングだった。
ごちそうさま。
お隣の展示スペースでは谷中で撮られた写真。
さっき調べたらどうやら以前に松本のカフェ「栞日」で展示されていた写真家の作品だったみたいだ。
なかなかお店の雰囲気にも合っていて良き。
先月にも訪れた弥生美術館で10時にお友達と合流。
楠本まき展を観る。
彼女の作品はV系バンギャにとってはバイブル。
あたしはもうバンギャじゃなくなってしまったけど、その頃のトキメキが蘇って懐かしさに震える。
圧倒的な世界観。
唯一無二の個性。
消えてしまいそうな細い描線。
病んだ言葉の数々。
展示の見せ方も素晴らしくて何度見ても心が震えずにはいられない。
刺激をいっぱい受ける。
併設の竹久夢二の展示も見逃せない。
美人画で有名だし、それしか知らなかったが、それ以外にもたくさんの作品を残していて、その抽斗の豊かさに驚かされる。
和であれ洋であれ洒落たものであれ素朴なものであれ、彼に描けない表現はないのではないかと言うくらいに作風を使い分けていて、楠本まきとは真逆な才能を見せつけられた。
そしてあの時代の男たちのダンディーさ!
タイムマシーンに乗って会いたい♡
そしてあの時代の人たちの達筆なこと!
同じ日本語なのに読めない。
文字を手書きする習慣が極端に減りスマホやパソコンのキーボードを打つ毎日。
神様、これは堕落でしょうか、それとも進歩でしょうか!?
小学校レベルの漢字でさえ書けなくなる時があり、これはどう考えても堕落だ。
明治と平成、偉大な才能を堪能して美術館を後にする。
お昼を回りふたりともお腹ペコペコ。
予め調べておいてランチする予定のカフェに徒歩20分近くかけて辿り着いたら、まさかの臨時休業。
なんってこと。
素晴らしいアートで心ははち切れんばかりに満たされたけど、胃袋は空っぽよ。
どうしてくれよう。
すぐにGoogle mapをチェックしたら、すぐ近くに良さそうなカフェを見つけたのでGo!
1階が陶器の展示販売をしているお店の2階ある「喫茶ニカイ」、2階にあるからニカイ、分かりやすいネーミングだ。
急な階段を上がると昭和レトロな世界がそこにあった。
大正解。
お休みだったカフェへの未練は瞬間で吹っ飛ぶ。
大正解!
カレーが美味しそうだったけど、苦手なモツ肉だったので、コンビーフ丼にした。
正確な名前は薬味がどうしたこうしたってものだった気がするけど忘れた。
コンビーフなんて食べるの久しぶりだ。
懐かしい。
各種の薬味があるので意外にさっぱりしたお味。
セットの飲み物をニカイ・クリームソーダにする。
シロップのソーダ割じゃなくてラムネみたいだ。
アイスに建てられた旗はお店の看板の形で可愛い。
BGMは昭和歌謡曲など懐メロが流れている。
とにかくレトロ。
1階は器のお店になっているので、ちょっと覗く。
素敵な器が並んでいるけど、それ相応のお値段なので気楽には買えないのが残念。
でも、100均のお皿じゃなくて、本当はこういう素敵な器を当たり前に使う暮らしがしたい。
予定ではもう一軒カフェに行くつもりだったけど、ニカイで長居してしまったので時間切れになってしまった。
ニカイで長居。
ラップだね(笑)
根津駅に向かう途中、花手水を公開しているお寺があったので寄り道する。
最近流行っている花手水。
いつでもどこでもやっているわけではないので、偶然に見られて運が良かった。
Instagramに載せたら、一乗寺の公式アカウントからいいねを貰えた。
お寺や神社もSNSを利用している時代。
なんだか不思議だけど素敵でもある。
根津駅まで一緒に歩き、友人を見送った後、ひとりで銭湯をリノベーションしたカフェに入る。
ここはスペシャリティーコーヒーのお店でパンなどのフードは持ち込みOKになっている。
カンター席と地下のテーブル席があり、地下は元ボイラー室だった場所だ。
ボイラーの焚き口もそのまま残っている。
カウンター席が埋まっていたし、ボイラー室に興味があったのでもちろん地下の席にする。
天井が低くてどことなく地下室特有の湿気と静寂に満ちた空間。
なかなか見ることのないボイラーの存在感。
この雰囲気だけども訪れる価値がある。
ここでゆっくりしたかったし、更にもう一軒回るつもりだったのに、急用が出来たので早々においとますることになってしまったのは残念だった。帰りがけにお隣の亀の子束子のお店で亀の形のクッキーを買う。束子で出来たクリスマスツリーなどが売っているとてもオシャレなお店。ふたりの女性店員さんと少しお話をする。行こうと思っていたカフェがお休みだったと言ったら、この辺のお店は気まぐれ営業なんですよと。あと、このエリアのカフェを巡るには1日やそこらでは足りないですよねとも。こう言う地域に根差したお店って本当に魅力的だと思う。
今までも谷中には遊びに来てたけど、主に谷中銀座周辺しか歩いてなかったので、この根津にかけてのエリアは新鮮だったし、むしろこちらの方が好きだと思った。
他にもたくさん行きたいカフェやお店があるし、路地を歩いているだけでも楽しいので、また近々訪れたい。
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